映画「パラノイドパーク」
paranoid park アメリカ フランス 2007 08年4月公開 DVD劇賞 |
ガス・ヴァン・サント監督が「エレファント」同様にちょっと重めのテーマを扱っている作品ということで、これは是非とも観てみたいと思っていた作品です。
主人公は16歳の少年アレックス。かわいいガールフレンドはいるけれど、どこかしっくりとはこないし、家では両親が離婚の危機にあり、弟はそれにストレスを感じている様子。そんな折、彼は友人に誘われて、パラノイドパークと呼ばれるスケボー場に通うようになる。
あるとき、1人でパラノイドパークにいるところを不良グループに声をかけられ、公園の近くにある線路で貨物列車を使った遊びに誘われる。その数日後、授業中に呼び出されたアレックスは線路で発見された警備員の死体に関して何か知らないかと問われるのだが・・・。
うーん、思ったほどではなかったけど、やっぱり良い作品でした。
素行の良くない少年たちが集まるスポットに通ってはいるものの、アレックス自身は決して不良少年ではなくて、まだまだ容姿にも言動にもあどけなさをたっぷりと残している16歳。そんな彼が、大きな秘密を抱えてしまい、それでも、自分の日常を生き続けていく姿を淡々と静かに、印象的な映像と音楽とともに映し出す作品で、「エレファント」の監督ならでは!と思わせてくれる1本だったと思います。
特に饒舌なセリフなどもなしに、主人公の不安、焦りなどの葛藤を、ふとした表情やしぐさ、そして、クリストファー・ドイルの見事なカメラワークの中に見事なまでに再現してみせたのは素晴らしかったです。
日常の中に不意に訪れる不条理な現実がそのまま心身ともに揺れ動く思春期の少年と被さっていくのですが、アレックスを演じたゲイブ。・ネヴァンス少年はそれを見事に表現していたと思います。公式サイトを見ると、彼、身長が180センチ以上あるんですね。そんな風にはとても感じさせなかった表情のあどけなさと実際の肉体のアンバランスさもこの作品の成功要因の1つだと思います。
ただ、事件の内容を徐々に明かすというミステリ調の演出をとってしまったところに、「エレファント」以上に主人公の内面に入ろうとしてしまったものの、あくまで淡々とした描き方を通すので、感情移入していいのかどうなのかもよくわからない感じになってしまったように思い、「エレファント」ほどははまれなかったかなぁ。
* * *
参考過去レビュー
素晴らしすぎる傑作です。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 映画「天使の分け前」(2013.06.13)
- 映画「屋根裏部屋のマリアたち」(2013.05.29)
- 映画「ハッシュパピー バスタブ島の少女」(2013.05.27)
- 映画「リンカーン弁護士」(2013.05.06)
- 映画「偽りなき者」(2013.05.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント