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2009年5月17日 (日)

「白魔」 マッケン

白魔 (光文社古典新訳文庫)

白魔
(White People)

アーサー・マッケン
(Arthur Machen)

光文社古典新訳文庫 2009.3.
(original 1899/1928 etc.)

目の離せないラインナップの続く古典新訳文庫から、怪奇小説で知られるイギリスの作家マッケンの作品が。ウェールズ出身ってのがまた幻想的で良いですねぇ~。

収録されているのは5作品。うち3作品は「翡翠の飾り」という短編集から選出されたショートショート的な3作品。

いずれも主人公達が日常世界から幻想世界へと足を踏み入れていく様子を描く作品で、日常のすぐ側に広がるオカルト世界を描くものの、読んでいてそこまで「怪奇」という感じもしなかったです。全体にちょっと分かりづらい印象も強いんですが、なかなか面白い1冊でした。もうちょっと解説が充実してると理解の助けになったかなぁと思いますが、それは自分の問題ということで。

以下作品ごとにメモを。

・「白魔」

表題作。少女が森の中で神秘的な魔女の世界へと足を踏み入れていく物語。

これは、怖いというよりも、美しい作品でしたね~。思春期の少女にイギリスの森、魔女と鉄板でしょ。でも、ちょっと分かりづらい印象も強かったです・・・。「雰囲気」はよく伝わるんですけどねぇ。

割と繊細で美しい世界観を感じてしまったので、タイトルの「魔」ってのもそこまでピンとこなくて、原題の「白い人々」のほうがしっくりきました。

あと、冒頭の議論が面白かったんですけど、そことのつながりもイマイチぱっとせずというか。

この作品冒頭で導入的に善悪に関して議論する人々が描かれるんですが、この頃の幻想文学ってこういう哲学的な議論を導入に使うのが多いですよね。流行ってたんですかね。

 

・「生活のかけら」

ロンドンに暮らす新婚夫婦の日常に、徐々に忍び寄る故郷ウェールズの世界。

ちょっと長めの作品なんですが、半分くらいまでは普通に夫婦の日常をのほほんと描くだけの、まさに「生活のかけら」といった感じの作品で、マッケンはこういう作品も残したのかぁ、なんて思って読み進めていくと、あれよあれよと物語は不思議な方向へ。

作品としての美しさは「白魔」のほうが上だけれど、ロンドンを彷徨う場面が結構好きだったのと、物語の意外性で、この作品のほうが自分は好きでしたねぇ。

ただ、こちらもちょいと分かりづらい印象があるのは「白魔」と同じ。

最後に収録されている3短編は「白魔」の系列で、これまた「美しい」という形容詞が似合う怪奇幻想短編でした。

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