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2009年6月27日 (土)

「七つの人形の恋物語」 ポール・ギャリコ

七つの人形の恋物語 (角川文庫)

七つの人形の恋物語
(love of seven dolls)

ポール・ギャリコ
(Paul Gallico)

角川文庫 2008.8.
(original 1954)

ミュージカル化されていたりすることでも有名なギャリコの作品。文庫は名作「スノーグース」が併録されてますが、今回は、「七つの人形の恋物語」にだけ触れて記事を書きます。

主人公ムーシュはパリに出て女優になる夢が破れ、落ちるところまで落ちてしまった人生に悲観し、自らの命を絶とうとセーヌ川へと向かう。そんな彼女に声をかけたのは、人形劇の人形達であった。そして、人形達と話をするうちに、ムーシュは彼らの巡業に同行することになる。

人形達の主催している冷徹な男キャプテン・コックに怯えながらも、人形達のあたたかな愛情に囲まれて巡業を続けるムーシャであったが・・・

ネタバレせずに感想を書くのが難しい作品ですね・・・。

7体の人形たちのキャラが皆素晴らしいし、ムーシュの運命の行く末にも目の離せない作品でとても面白かったです。ギャリコ作品って一定のクオリティがありますね。しかも、ジャンルが全く違う作品で良い作品を量産しているのが純粋に凄いなぁと思う。

そんなわけでネタバレっぽくなりそうなので、以下反転して感想を。

<ネタバレしそうなので反転させてお読みください>

これ、読み始めはファンタジーなのかと思って読んでいたんですが、しっかりと現実を描いた恋愛小説になっていて、それが分かると、途端に切なさいっぱいになってしまいますね。

人形たちも、ムーシュも、我々読者も、薄々は感じて分かっている現実なんだけど、あえてそこから目をそらして、なかったことにして、こんなファンタジーがあれば良いなという幻想に身を寄せてるわけで、冒頭から終盤まで人形たちが喋れば喋るほどに溢れ出す切なさに、思わず胸キュン(←きもい)しちゃうような作品でした。

読者の想像力によって、冒頭から語られていた物語の裏側に潜む、一人の不器用な男の物語が同時に語られだして、作品世界が一気に広がるような感覚があって、作家の導きによって読者に自分で作品を深めさせてくれるギャリコの語りの上手さに大満足の1冊でした。

それにしても、不幸な境遇に育ったにせよ、不器用にもほどがありすぎなのでは・・・。

<ネタバレおわり>

そんなわけで、とても面白い1冊でした。

* * *

<参考過去レビュー>

ギャリコ作品を。

「ほんものの魔法使」 ポール・ギャリコ

本物とニセモノを大きなテーマに描かれる作品。これもとても面白かった!

映画「ポセイドン」

なんとビックリ、「ポセイドン・アドベンチャー」はギャリコ作品なのですよ。

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