映画「ブーリン家の姉妹」
the other Boleyn girl アメリカ イギリス 2008 2008年10月公開 DVD鑑賞 |
英国好きとしては外せない1本。英国史を語る上で絶対に外すことのできない(その割に日本での知名度は低めの)ヘンリー8世と彼をとりまく女性たちを描いた作品です。
劇場で観たかったのですが、タイミングを逃し、ようやくDVDで観ることができたといういつものパターンです。
16世紀の英国、新興貴族のブーリン家には美しい姉のアン(ナタリー・ポートマン)と心優しい妹のメアリー(スカーレット・ヨハンソン)の姉妹がいた。あるとき、世継となる王子が生まれないことから王妃との関係が悪化しているという国王ヘンリー8世(エリック・バナ)が訪れることになり、姉妹の父親は姉のアンを王様の愛人として差し出そうとする。しかし、国王は既に結婚していた妹のメアリーを気に入ってしまう。
一家は王宮で暮らすようになり、やがてメアリーは王の子供を妊娠する。プライドを傷つけられた姉のアンは不祥事を起こし、フランスへ追放されてしまうのだが、その後帰国した彼女は、国王に近づいていき・・・。
カトリックから離脱し、英国国教会を誕生させるきっかけとなった国王ヘンリー8世とブーリン姉妹の数奇な人生を描き出す歴史絵巻。
いやはや、最初からずっと心配顔だった姉妹の母親は、一体どのような思いで全てを見届けていたんだろうか、ということがとても気になってしまう程に波乱に満ちた姉妹の物語でした。
英国版『大奥』というのがぴったりな感じの宮廷を舞台にしたドロドロとした女の戦いが描かれるのですが、日本のものとは違って粘着質なイジメがあったりするわけでもなく、もうちょっと深い人間ドラマとして楽しむことができました。ま、でも、国は違えど、似たようなことはどこでも起こっていたんだなぁって感じですよね。
メアリーが最初はいやいやだったのに、いつの間にやら王様にひかれてしまっていたのですが、ヘンリー8世ってそんなに魅力的だったんですかねぇ。彼が音楽家として有名で作曲なんかをしているのは知っていたんですが、実際、どんな方だったのか気になります。
最終的な姉妹の行く末を観た後で、結局歴史に残ったのはアン・ブーリンのほうで、妹のメアリーはすっかり影に埋もれてしまったということを考えると、一度は敗れてしまったアンの執念の強さを思い知らされました。
ちょっと物足りなかったのは、実際の歴史でも姉妹と大きくかかわるジェーン・シーモアがおまけ程度の登場でそれゆえにアンの受けるショックがちょっと伝わりづらかった点ですね。彼女のことをもうちょっと深く描くとさらにドロドロ度が上がったんですが・・・。(その後、ジェーンが亡くなった際、アンの呪いだと噂されているらしいので、ブーリン姉妹を描く上では割と面白い人物だと思うのです。)
それにしても、英国国教会の誕生裏話は、なんというか、愛人と結婚する為に宗教を作ってしまうってのは、なんだか、コメントもできないような史実ですよね・・・。てか、この王様、これを良いことに、その後結婚しまくるってのは、もはや手の施しようがないというか。イギリス王室のスキャンダルが昨日今日にはじまったわけではないのがよく分かりますよね~。
ここのところ、偶然にも、『宮廷画家ゴヤは見た』、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』とナタリー・ポートマン出演作品を観ていたのですが、彼女は本当に出演する作品ごとで全く違う演技を見せてくれます。今回も、アン・ブーリンの感情の機微を見事なまでに演じていて、フランスから帰国してちょっと雰囲気変わった感じとかそれはそれは素晴らしかったです。もともとかなり好きな女優さんでしたが、ここ数年の活躍でその株は上がる一方。
他の女優陣ももちろん見事で、スカーレット・ヨハンソンは言わずもがなですが、キャサリンを演じたアナ・トレントも溢れんばかりのオーラが素晴らしかった!!
これを観終えると、そのままの流れでケイト・ブランシェットの『エリザベス』を観たくなってしまいますね~。エリザベス女王の生母の生き方に彼女の強さの片鱗を感じました。
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