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2009年7月31日 (金)

映画「ティンカー・ベル」

ティンカー・ベル [DVD]

tinker bell

アメリカ

2008

2008年12月公開

DVD鑑賞

ディズニー系の記事をアップするたびに書いてますが、ディズニー好きです。そのため、今回の記事はやたらと熱く語ってますので、ひいてしまわないようにご注意ください。

基本的にビデオリリースだけの続編モノはオリジナルの価値を下げているとしか思えないようなものばかりなので観ないという主義で、ピクサーのジョン・ラセター氏がディズニーのアニメ部門を統括するようになってから、こうした続編製作にストップをかけたことも高く評価しています。

でもって、その続編製作にストップをかけるきっかけとなったのが、今回の『ティンカー・ベル』の原型となった同タイトル作品。2007年、ブリタニー・マーフィを主演に迎えほとんど完成していた作品を観たラセター氏があまりの酷さに激怒し、これら続編製作を指揮していたヘッドの人を更迭させたのです。

そんなわけで、今回、劇場公開までされることになったことにとても驚き(アメリカをはじめ世界のほとんどの国ではDVDリリースのみなんですが)、果たして、ラセター・マジックでどこまで改善された作品になっているのか、とても気になる作品でした。

ストーリーは・・・

赤ちゃんがはじめて笑ったときに生まれるという妖精たちは、ネバーランドにあるピクシー・ホロウと呼ばれる場所で人間界に四季を運ぶなど様々な仕事を行っていた。

あるとき、いつものように生まれたばかりの妖精が、ピクシー・ホロウで自分の持っている能力を判別する為のテストを受ける。素晴らしいモノづくりの才能が認められた彼女は、ティンカー・ベルと名づけられた。

モノづくりの妖精たちの仕事は、他の妖精たちが仕事で使う壷などの道具を作ったり、修理したりすること。春が近づき、人間界に春を運ぶため、他の妖精たちが花を作ったり、テントウムシの色づけなど各自の能力を生かし、準備を進めていた。

ところが、他の妖精たちと共に、人間界に赴いて春を運ぶことができると信じていたティンカー・ベルは、自分の仕事がずっとピクシー・ホロウに留まり他の妖精たちが使う道具を作るだけだということを知り、他の仕事をやってみたいと強く願うようになり・・・

なかなか面白い作品でした。

続編製作をストップさせたにもかかわらず4部作製作が決定している点からも、この作品にはかなりのテコ入れがなされて、ちょっとした特別扱いを受けているということが伺われます。(まぁ、かなりの制作費をつぎ込んでいたらしいのでどうにか取り戻そうと必死なのかもしれませんが。)

現代的なテーマが盛り込まれた割と骨太なストーリーや、妖精の本場アイルランドを意識したようなケルトっぽい音楽もとても良い。

しかし、しかし、しかし、

3次元CGアニメにはしてほしくなかった!!!!!!!

これに尽きます。

確かにピクサー作品は素晴らしいですが、基本的に3次元のCGアニメって、CGでここまで表現できるようになったのかという驚きはあっても、絵画的な美しさに圧倒されるレベルには未だ達していないと思うのです。妖精たちの世界など、手描き(2次元CGも可です)によるクラクラしそうなほどに美しい絵で観てみたかったなぁと。

そして、ティンカー・ベルの絵のタッチがあまりに『ピーター・パン』のキャラと違うために違和感が。というのも、ティンカー・ベルはマーク・デイビスという伝説のアニメーターが担当したキャラで、以前、「ディズニーアート展」という展覧会で見た今にも飛び出してきそうなティンカー・ベルの生イラストの美しさといったら、それはそれは素晴らしかったのです。

せめて、もうちょっとオリジナルのティンクに近いと良かったんだけどなぁ。

実はエンドロールの2次元イラストは結構好きだったので、全編あれでやってくれたら良かったのになぁと強く思ってしまったのでした。(そんなわけで自分は全米では年末公開の久々の2Dミュージカル作品「フロッグ・プリンセス」が今から楽しみで仕方がない。)

でもってストーリーです。

このところ、ディズニーは『ハイスクール・ミュージカル』や『魔法にかけられて』などの実写作品や、それこそ『トイ・ストーリー』などのピクサー作品でもアイデンティティの発見みたいものを描くことに力を入れている印象があります。まだみてないけど、多分、最新作の『ボルト』もそんな作品なのではないかという感じが。

そして、自分自身を知ることが、自分の力で未来を切り拓くということにつながり、結果として、魔法などで新しい自分に変身するのではなく、自分を大切にするということを前面に出した作品が増えているように思います。(90年代後半くらいからこの傾向が強まってきて、最近は割と顕著な気がします)

そして今回の『ティンカー・ベル』はそれがこれでもかというくらいに主張される仕上がりでした。そして、そこにさらに、彼女の仕事が完全な裏方で、華やかな世界を支えているという設定が加わることで、不況の今、社会を支える労働者達を応援し励ますようなメッセージが感じられ、単なる子供向けの作品を越えた力強さを与えることに成功しているのがとても面白かったです。

ただ、(ちょっとネタバレなので反転させてください)

産業革命はどうなんですか!?結果的に妖精たちが便利な道具を使って仕事をするようになり、味のある手仕事が妖精界から失われるのではないかと思うと、ちょっと寂しいですよね。てか、それこそ、妖精界にはそんな世界観を与えてほしくないというか。

ネタバレついでに。

ラストシーン。もしやとは思いましたが、ウェンディでしたね~。オルゴールの選曲もナイス!この後、続編でピーター・パンと出会い、やがて、あの少女に対して猛烈な嫉妬を抱くようになるまでも描かれていくんでしょうか。ちょっと楽しみ。

(ネタバレ終わり)

そんなわけで、いろいろ書きましたが、『ピーターパン2』なんかを劇場公開しておきながら、この作品はDVDのみのリリースにする本国アメリカはどうなのか?と思ってしまうくらいに、劇場公開されてもおかしくないレベルの作品で面白かったですよ。

モノ作り大国として日本では特にウケが良いのではないかとも思いますが。

で、ピクシー・ホロウツアーみたいなアトラクションはいつできるんですかね??

* * *

参考過去レビュー

映画「ルイスと未来泥棒」

ジョン・ラセターによる新生ディズニーからの力強いメッセージが感じられる、近年の作品の中ではちょっと注目すべき1本だと思ってる作品。

映画「永遠のこどもたち」

直接この作品と関係があるわけではないので参考って感じではないですが、"「ピーターパン」の続編"としての完成度の高さが素晴らしいと思った1本。ホラータッチですが一見の価値ありです。

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コメント

こんばんは。またお邪魔します。

わたくし、こう見えても大昔からのティンカー・ベルファンなのですが、
そういう経緯があって作られた作品だったとはちっとも知りませんでした。
ネタバレ反転部分のご意見と、ネタバレついでに1票ずつ!
かなりビックリしたり、嬉しくなったり、でした。
でも、この年齢になって、立体的で日本語を喋る(!吹き替えしかなかったの)ティンカー・ベルが観れて
モノを作る仕事の端くれのわたしは、ただそれだけで嬉しかったです。

投稿: 悠雅 | 2009年7月31日 (金) 20時49分

>悠雅さん

この映画は数年前にゴタゴタがあったのを
ニュース記事などで読んでいたので、
ここまで大きく公開されることになったのを知り
実はちょっとビックリしてました。

続編以降でどのようにピーターパンに繋がっていくのかや、
彼女が一人前の妖精として成長していく姿などが
どのように描かれるのかが楽しみです。

投稿: ANDRE | 2009年8月 1日 (土) 18時55分

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