来日公演 「A Chorus Line」
コーラスライン
オーチャードホール@1階最前列センターブロック
09年夏の来日ミュージカル祭り第3弾。
映画版「コーラス・ライン」はなんどか観たことがあって(最後の「ONE」だけは本当に好きで、DVDで数え切れないくらい観てるのですが)、昨年、ドキュメンタリー映画「ブロードウェイ♪ブロードウェイ」に感動し、今回の来日公演はとても楽しみにしていました。
これ、映画版と舞台版、曲とかがちょっと違っていたりはするのですが、大枠は同じ。とあるミュージカルのコーラス隊のオーディション会場を舞台に、監督が皆に自分自身のことを語るように言い、候補者たちが自分たちの人生について語り始めるという内容。
主役ではないその他大勢のバックダンサーではあるけれど、ブロードウェーでの仕事を得るためのダンサーたちの熱い思いが素晴らしい楽曲の数々とともに描かれていきます。
いや~、微妙な点もあったのですが、それでも良かったです。この作品を舞台で観ることができたことにただただ感謝です。やっぱり映画よりも生です!!
最前列だったので、前を遮るものが何もなく、ダイレクトに役者さん達の息使いが感じられたのがとても良かったです!字幕は見づらいですが、英語もそんなに大変な作品ではなかったので、ちょっと頑張りました。
ただ、オケピが目の前にあるため、オケの音が強くて舞台上の台詞や歌が聞こえづらい場面がチラホラと。会場全体の音響が原因なのか、自分の席だけの問題なのかは分かりませんが・・・
以下、思ったことを時系列でつらつらと。
★「I HOPE I GET IT」
冒頭のピアノが鳴った後の、「5,6,7,8!」がCDを聞いていて一番テンションが上がるところなんですが、 ちょっと控え目の掛声だった気がします・・・。自分が持ってるのは再演版のサントラなんですが、CDのほうは熱いんですよねぇ。
でも、この1曲目はとても面白い!まだ候補者がたくさんいる場面ですけど、なんか見どころがいっぱいなんですよ。中央で踊ってる人たち以外が隅でちゃんと演技してるのが良いです。控えている間中、鏡の前で髪をいじっているボビーがツボでした。
★「I CAN DO THAT」
これ、結構好きなんですよね。ドキュメンタリー「ブロードェイ♪~」では熾烈なバトルが繰り広げられたし。その先入観が強かったせいか、とーっても物足りなかったです。申し訳ないです。
ただ、これに限らず、今回のカンパニーは「ツアーカンパニー」という印象がちょっと強く残ってしまう感じで、全体的に物足りないことが多かったです。群舞は割と良いんだけど、一人一人が自分の見せ場の場面で、輝ききれてないような感じを受けました。
★「AND...」
話の途中で「and」が出てくると皆が自分の胸中を歌いだす面白い曲。口パク&アクションだけになったボビーがなにを話てるのかが気になる!!自分、このボビーの役者さん、結構好きかも。
★「AT THE BALLET」
シーラ、良かったですね!シーラはこうでなきゃ!っていうシーラだったので嬉しかったです。
★アル&クリスティーン
映画でのこの2人、結構好きなんですよねぇ。
今回アルが代役の方だったんですが、今回の公演でダンスリーダーを務めているという役者さんだったこともあって、キレのあるダンスが良かったです!
クリスティーン、音痴がどうこうっていうレベルをはるかに超えてる気が・・・。しかも、オーディションなのに、あまりにもマイナス情報すぎだろ!とちょっと心配になってしまいます。
★「HELLO TWELVE, HELLO THIRTEEN, HELLO LOVE」
皆の悩みが熱い思春期ソング。
マーク、水20杯って、多分、そこまで多くないよ・・・。(自分が普段そのくらい飲むことがあるってだけですが)。
コニー、全然悪くはないんだけど、やっぱり高良さんを見たかったなぁ、と思っちゃいますねぇ。RENTのアレクシーが良いからいいんだけど、やっぱりコニーも見たい!!
思春期ソングといえば、映画オリジナルの「サプライズ」はなんともコメントしづらい曲ですよね・・・。中学の時に授業で観て、あの場面だけチョイ悪系の人々が大盛り上がりしてましたよ。舞台版にないのは分かってるのに、リッチーは観てるだけで、そのイメージが強いです。
★ジュディ
天然キャラがとてもお気に入りなんですが、「ブロードウェイ♪~」で最終的に決まったジュディがとても好きだったので(素も天然な感じでまさにジュディ!)、今回はどんな人がやるのかなと思って観ていたのですが、この舞台のジュディも良かったです!
ちょっと飛ばして
★キャシー
キャシーの扱いは映画版より断然舞台版が良いですね!
一人ダンスのシーンもなかなか良かったです。
ただ、とても疑問なのは、彼女はなぜザックがいるとわかっていて、このオーディションを受けたのかということ。他の作品のオーディションを受けるべきなのでは??
★ポール
これはもうさ、あのドキュメンタリーを観てしまった人は多分、誰がこの役をやっても物足りないんじゃないでしょうか。
ドキュメンタリーで、それまで数え切れないほど観て、聞いてきたであろう審査員たちを泣かせてしまった演技を観てしまっているので、ここが泣き所だとわかっているのに、舞台を見ながら頭の片隅にはドキュメンタリーのほうがチラチラしてしまうっていう。
でもポールの役者さん、嫌いじゃないですよ。とても存在感があったと思います。
★ザック
今回のザック、なんと若いころにブロードウェイ版に出演していた方なんですね!
そんなわけで、ONEの振り付けをしている場面での踊りのキレが半端なかったです。映画のマイケル・ダグラスは踊らないもんなぁ。
★「ONE」
カーテンコールのONE。
ヤバイです。
この曲が始まった瞬間、感極まってしまいました。
映画のDVDでこの場面だけを何度見たか分かりません。
金色の帽子と衣装でのダンスと、あの名曲が今、目の前で!!
細かな不満点もある舞台だったけれど、ラストの感動は半端なかったですよ。
★まとめ的な
ミュージカルというと自分にとっては第一に「歌」なんですが、コーラスラインで描かれるミュージカルは第一に「踊り」なんですよね。ダンサーの夢の頂点であるブロードウェイでどんなに小さな役でも良いから!という熱い思いだけで作られた作品なだけあって、ダンスシーンはシンプルなのに見ごたえのある演出が見事でした。
劇場で観ると、我々観客が、オーディション会場で彼らの前にいるザックの視点になり、最後のONEでは彼らが出演している舞台を見る客になるという、作品世界に自分が溶け込んでしまったような錯覚を感じるのも嬉しいですね。これは映画には決してできない、生の舞台ならではの魅力だったと思います。
そしてそして、ダンスがメインの作品なんですが、歌の楽曲が捨て曲なしな感じで名曲ばかりなのがまた憎い。
あと、1階最前列、お一人様だったのでちょっと緊張してたんですが、意外にも周囲にお一人様が沢山いたので安心して鑑賞できました。
参考過去レビュー
ブロードウェーの再演版オーディションの様子を追ったドキュメンタリー。傑作です。
09年夏の来日ミュージカル祭り
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