「図書館の神様」 瀬尾まいこ
図書館の神様 瀬尾まいこ ちくま文庫 2009.7. |
以前から気になっていた作品が文庫化したので早速読んでみました。
主人公は清はバレー選手を夢を見ていたが、高校時代の部活での事件をきっかけにバレーを諦め、今は高校で国語の講師をしている。担当科目が国語であるにもかかわらず、文学などに全く興味のない清だったが、文芸部の顧問を任されることになり、唯一の部員である垣内君と2人、放課後の図書室で過ごすようになる。
運動一筋の青春を送ってきた清には、毎日を図書室で過ごす文芸部の魅力が理解できずにいたのだが・・・
うーむ、面白い部分は非常に面白いのに、気になる部分が非常に気になる、そんな作品でした。垣内君のキャラは素晴らしいのに、清のキャラ設定がどうも納得がいきません。
この内容だったら、清は国語科の講師ではなくて、理系科目の講師とかにしたほうが、説得力があったような気がします。新人だから文芸部を押し付けられたとかいうことにして。国語教師としての清のありようがあまりに酷いのですよ。
一方の垣内君、同じ高校にいたら友達になりたい!と思わせる素晴らしい好青年。一緒に文芸部やろうよ!と声をかけたいです。「実は僕は、ワルだから」とか大好きです。
清の抱えているトラウマが割りと重いのですが、垣内君も同様に何かを抱えていて、そんな2人が静かに語らいながら時を過ごしていくというのは、とても好きな設定だっただけに、ちょっともったいないな、と。
垣内君と清はそれほど年齢が離れていないので、ラブストーリーになるのかなとも思ったのですが、淡々とした関係がとても心地よくて、卒業式で交わす言葉も非常に良かったです!
終盤の垣内君のスピーチも良かったですねぇ。文学の醍醐味をぎゅっと凝縮したコメントにこちらがワクワクしちゃいました。
そんなわけで、清がメインキャラなのに、読み終わって残ったのは垣内君ばかりっていう・・・。
全体的に清はいただけないんだよなぁ。
ちなみに、音楽系部活だった自分は、文化系ながら、朝練、昼練、夜練があって、夏休みもほぼ毎日練習で、コンクールに向けて頑張っていたので、清が抱く文化系部活像とはかけ離れた日々だったのですが、それでも、文化系の部活が描かれる作品は体育会系作品よりかはずっと少ないので、そういう意味ではちょっと嬉しい作品でした。
そうそう「夢十夜」は確かにちょっと怖いんですよね。久々に読んでみようかな。
あと、「こころ」は我が高校では割と人気あった気が。自分の周りだけかもしれないけど。
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