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2009年9月27日 (日)

映画「PARIS パリ」

PARIS-パリ- (通常版) [DVD]

Paris

フランス

2008

2008年12月公開

DVD鑑賞

「猫が行方不明」や「スパニッシュ・アパートメント」など好きな作品の多いセドリック・クピッシュ監督の最新作ということで気になっていた1本。

シングルマザーのエリーズ(ジュリエット・ビノシュ)は弟のピエール(ロマン・デュリス)から心臓病のために余命幾ばくもない状態であることを聞かされ、仕事の量を減らし、子供達と共に彼のアパートで同居をはじめるようになる。

窓の外からパリの街を眺めていたピエールは向いのアパートに暮らす女子大生のレティシアのことが気になっていた。

大学で歴史学を教えるロラン(ファブリス・ルキーニ)は授業に出席していたレティシアに一目ぼれし、同級生を装って彼女の携帯にメールを送り始める。

ロランの弟の建築家や、市場で働く男達、パン屋で働く女性たちなども描かれパリに暮らす人々の生活を静かに映し出していく・・・。

一応主人公はエリーズとピエールの姉弟ということになると思いますが、同時進行でかなりの物語が描かれて、2時間かけて、そこに生きる人々の姿からパリという街を描こうという試みはなかなか面白かったです。ラストの台詞にこの作品の全てが凝縮されていましたね。

好きだったのはパン屋の女将さんかなぁ。出身地別性格判断によって、バイトを次々と変えていくんですが、お客さんやバイトさんとのやりとりがかなりお気に入りです。

同じ監督の作品でありながら、「スパニッシュ・アパートメント」のスタイリッシュさとエネルギーは完全に封印されていて、死にゆく青年が窓の外から見つめるパリの姿をただただ静かに映し出すというスタイルはちょっと物足りなかったかなぁという気も。あのスタイリッシュさを期待してしまったんですが、完全にベクトルの違う作品でした。

これ、ちょっと登場人物が多いですよね。ファッションモデルとの再会を夢みてアフリカからやってくる青年のエピソードとか別にあってもなくても良かったような気がしないでもありません。

あと、割とメインなんですが、大学教授のエピソード、あの女子大生は一体・・・。まさにフレンチですな。エリーズが彼女の部屋を訪ねる場面、結構好きでした。

ピエールを演じたロマン・デュリスは、「スパニッシュ・アパートメント」のグザヴィエと同じ青年だとはとても思えない繊細な演技を見せていて、幅のある役者だなぁと感心しちゃいました。

市場で働いていたジャン氏を演じるアルベール・デュポンテルは、『モンテーニュ通りのカフェ』のピアニストやら、『地上5センチの恋心』の作家さんやら、このところ良く見かける俳優さん。

ジュリエット・ビノシュは言わずもがなとして、この映画、フランスの実力派俳優豪華競演という感じですね。

やや地味目な作風ですが、ハリウッド作品にはないフレンチな香りを様々な意味で感じられる作品で「PARIS」という大胆なタイトルも納得の1本だったと思います。

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