映画「ロック・ミー・ハムレット」
Hamlet 2 アメリカ 2008 日本未公開 DVD鑑賞 |
ハムレットを題材にした作品、しかもミュージカル仕立ての続編!?ということで、とーっても気になっていた1本。まぁ、こういうのは未公開でも仕方ないかなぁ・・・。
売れない役者ダナ・マーシュズ(スティーブン・クーガン)は、スターの夢破れてアリゾナ州ツーソンの高校で演劇を教えていた。受講生は演劇に熱心な2人しかいなく、上演した作品は学校新聞で酷評される始末。
そんな折、他の芸術系科目がなくなってしまい、多くの学生達が彼の授業に流れてくる。演劇になど全く興味のないヤンチャな生徒たちに手を焼いていたところ、彼の授業も今期限りで終わりになることが告げられる。なんとか良い作品を上演しようと彼が書き上げたオリジナル戯曲は、「ハムレット2」というミュージカル形式の作品だった・・・。
もうちょっとおバカなコメディ作品なのかと思っていたんですが、役者として花咲かず、妻との仲もギクシャクで、学校での仕事もピンチとなり、とにかく崖っぷちな主人公が必死にもがき苦しむという内容で、思っていたいよりも割とシリアスな作品でした。
可もなく不可もなくといった感じの作品なんですが、ところどころ面白い場面があって、恐らく映画好きな人のほうがより楽しめるんじゃないかと思います。
でもって、シェイクスピア的なものを期待して観ると、完全に肩透かしを食らわされてしまうので(まぁ、『ハムレット』を知ってたほうが劇中劇の役名なんかが理解できるとは思うけれど)、ご注意を。
ヤンチャな学生たちの前に現れた一人の教師が彼らを変えていくというと、傑作『今を生きる』なんかを思い出させますが、作中でも、主人公が学生達を前に『今を生きる』や『陽のあたる教室』の話をするも、空回りしてしまうくだりがあり、それらの2番煎じではないぞ、という意気込みも感じられましたね。
ただ、この作品で一番物足りなかったのは、主人公が生徒達の心をつかむ、これぞ!というエピソードが用意されていなかったこと。彼のあまりの不甲斐なさに生徒の方が心を開かざるを得なかったかのような感じだったのがちょい残念。
劇中劇、正直面白い作品だとは思えないけれど、意外とミュージカルシーンの完成度は高くて、ミュージカル好きとしては結構楽しめる場面でした。
この劇中劇の内容を巡って大きな議論が巻き起こるという内容ですが、なんか、別に高校生だし、このくらい大丈夫では?と思ってしまったんですよね。
でもって性やドラッグの描写がふさわしくないという議論だけではなくて、キリストが現代にやってきてロックな曲で踊りまくるのが神への冒涜だということになるんですけど、だったら「ジーザス・クライスト・スーパースター」はどうなるんだ??という気が。『聖☆お兄さん』なんて漫画流行る様な日本の視点から観てしまうと、この手の議論はどうしても入り込みづらいです。
あと、こういう作品ではもはやお決まり過ぎる展開ですが、それまで練習に出てなかった人がいきなり本番だけ出演するとか、本当にありえないですから!
さて、この作品、一番の収穫はエリザベス・シューが本人役で出演していること。しかも、女優を辞めて田舎町の病院で働いているという設定です。実際に現状では第一線で活躍しているとは言えないであろう彼女、よくこの役を引き受けたなぁと思います。あまりの自虐っぷりに驚いてしまいました。80年代は『バック・トゥ・ザ・フューチャ』のヒロインやら『カクテル』やら、『ベビーシッター・アドベンチャー』(昔よく金曜ロードショーとかでやってた!)やら大活躍だったのにねぇ。
主演のスティーブン・クーガン、正直あまり記憶に残らない英国バイプレイヤーといった感じですが、『コーヒー&シガレッツ』の「いとこ同士?」はかなりお気に入り。
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