映画「プール」
プール
2009
日本
2009年9月公開
劇場鑑賞
『かもめ食堂』も『めがね』も劇場鑑賞しているので、やっぱり気になるこのシリーズ(?)。今回は監督・脚本が違うのでちょっと不安ではあったのですが、もうすぐ公開も終了しそうな中、滑り込みで観にいってきました。
京子(小林聡美)はタイのチャンマイでゲストハウスを営み、近所に住む、市尾くん(加瀬亮)や菊子(もたいまさこ)、そして、母親を探しているタイ人の少年ビーらとおだやかな日々を過ごしていた。あるとき、さよ(伽奈)が日本からやってきて・・・。
PascoのCMがアジアっぽいのに変わったときは、「バリ島かな?」と思っていたんですが、あれはチェンマイだったんですねぇ。自分が以前バリ島行ったときに宿泊したヴィラもプールがあって、のんびりまったりと過ごしていたので、そのときのことがちょっと思い出されました。
なんかこの映像を見て、自然の音を聞いているだけで、ゆったりまったりと癒されてしまいますねぇ。
でもってたびたび画面に登場する美味しそうな料理の数々。鑑賞後に昼食を食べようと12時10分からの回を観たんですが、途中から本格的にお腹が鳴り始めてしまい、静かなシーンの多い映画なだけにちょっと気まずかったです。劇場には似たような状況に陥ってる人が多数いましたが。鑑賞後はタイ料理を食べよう♪と思ってレストランに行ったんですが、勘違いしてしまいそこはベトナム料理屋だったというオチが・・・。
なんて話は置いといて、映画の感想です。
出演者達のあまりに自然な演技や、作品全体を包み込むまったり感は退屈な人には極めて退屈なのではないかと思うんですが、ポカポカと日向ぼっこをしているような感じで僕は結構好きでした。
ただ、せっかく監督が違うのに、『かもめ』&『めがね』の萩上直子の空気感を変に模倣しているような気もして、もしかしたらこれが大森美香の作風なのかもしれないけれど(ドラマ脚本を見る限り違うと思うんだけど)、そんなところがちょっと残念でした。この作品、ちょっと物足りなかった点がちらほらあるんですが、それは恐らく、ここに起因しているんだろうなぁと思うんです。
監督・脚本の大森美香はTVドラマの脚本家のイメージが強い方で、僕がこれまで観てきた中でも1、2位を争うほどに好きなドラマである『ニコニコ日記』や、朝ドラ『風のハルカ』など、NHKでの仕事がとりわけ印象的なのですが(民放だと『漂流教室』とか『不機嫌なジーン』とかが印象深い)、今回の映画、個人的には、作品のまったり感に対してちょっと饒舌すぎたと思います。
『かもめ』や『めがね』は語らないところに作品の良さがつまっていたと思うんですが、この作品は色々なことを語りすぎてしまっていて、個人的にはもうちょっとさりげない感じでストーリーは薄っすらと感じられる程度でも良かったかなぁと。
ただ、大森美香脚本のドラマは『ニコニコ』や『風のハルカ』なんかで顕著ですが、親子関係を描く作品が上手いと思っているので、今回も特にビーのエピソードは『ニコニコ日記』を彷彿とさせてしみじみしちゃいました。ビー君、かわいかったです。
一方、京子&伽奈は、2人が鍋を食べながら話をする場面の京子のあっけらかんとしたところは、嫌いではなかったのですが(恐らく彼女の中に色々なことがあったけれど、最終的にはあの一言に集約させるしかなかったんだろうな、と感じた。何を言っても娘は納得できないだろうし。)、あの場面がもうちょっとあっさりとしてても良かったかなぁとも。この作品で最も饒舌だと思ったのはここなんですよねぇ。こんなこと、今さらここで語らなくてもそれまでの場面で十分描かれていたし、あの場面だけがちょっと作品から浮いてたようにも思いました。
この場面自体は全然悪くは無かったので、ここは萩上作品の空気感の模倣とのアンバランスさが強く出てしまった場面なんだと思います。
物足りないついでなんですが、今回は、食べ物の映り方がちょっとあっさりしていたのも実はちょっと物足りなかったです。『かもめ』や『めがね』と比べてしまうと美味しそう度合いが大分下がったというか。といいつつ、上述のような状況だった上に揚げバナナが食べたくなったんですが・・・。
キャストは文句のつけようがない個人的には超豪華スターキャストなんですが、新人の伽奈さんが大御所の皆さんに全くひけをとることのない自然さを見せてくれていて、今後の活躍が楽しみになりました。
あ、そうそう、プールサイドでの歌、ポカポカした感じで良かったですね♪
参考過去レビュー
小林聡美&萩上直子作品を。
フィンランド行きたい・・・。
メルシー体操のインパクトが今でも頭から離れない。
TVドラマ『つくし図書館』 (『2クール』より)
30分ドラマですが、萩上&小林&もたい作品第3弾。流れ的にはこのドラマがシリーズ3作目という感じですよね。異国や南の島ではなくても、しっかりとあの独特の空気感を出している隠れた名作だと思います。2クールは、『つくし図書館』も良かったけど、『めがね』のキャストたちによる同窓会の回も面白かったです。『プール』の主題歌の「タイヨウ」は「2クール」同様にハンバートハンバートでしたね~。
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コメント
滑り込みでもご覧になれてよかったです~。
母が家を出た理由が詳らかでなければ納得できない、という方が多い中、
これでも語りすぎだ、と仰るANDREさんの感想は新鮮に感じます。
わたしなどは、娘がなるだけ近くに居てほしいと思うものだから、
あのお母さんは余程のことがあったんだろうな、と少ない言葉の裏を想像してばかりでした。
それにしても、昼食抜きでご覧になったとは、なんと無謀な!(笑)
でも、確かに今回は前2作(?)に比べて、お料理は控えめでしたよね。
わたしは、『南極料理人』のほうが、拷問状態でした(笑)
投稿: 悠雅 | 2009年10月16日 (金) 21時59分
>悠雅さん
お返事が大変遅くなってしまい
本当に申し訳ありませんでした。
自分はそれまでの場面で、
どうやら母が勝手に家を出たということも、
娘がそれを快く思っていないことも、
だけど母は決して娘が嫌いになったとか
そういうわけで出てきたのではないことも、
しっかりと伝わってきていて、
その時点で「めがね」や「かもめ」よりも
過去を語る作品だなぁと思っていたため、
あそこまではっきりと台詞にして述べられてしまったことに
ちょっとビックリしてしまったんですよね。
市尾がビーと共にいなくなった後は、
そのまま市尾&ビーの場面に切り替わって、
あの後母娘が何らかの話をしたであろうことだけが
やんわりと伝わるような感じのほうが好きだったかなぁと。
昼食抜きは本当に辛かったです・・・。
『南極料理人』も美味しそうな作品ですよね。
映画もとても気になってるのですが、
原作のほうも読んでみたいなぁと思っている今日この頃です。
投稿: ANDRE | 2009年10月20日 (火) 01時12分