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2009年11月17日 (火)

映画「幸せになるための恋のレシピ」

幸せになるための恋のレシピ [DVD]

ensemble, c'est tout

フランス

2007

日本未公開

DVD鑑賞

リリースされたばかりの未公開作品。

原作はフランスでベストセラーとなったアンナ・ガヴァルダの小説「恋するよりも素敵なこと パリ七区のお伽話」(原題は映画と同じ)です。

どこかで見たことあるような単語を寄せ集めた感じの邦題がちょっと気になりますが・・・。

アパートの屋根裏部屋に暮らし、ビル清掃会社で働く主人公カミーユ(オドレイ・トトゥ)はあるとき、同じアパートに暮らす青年フィリベールと知り合い親しくなる。貴族の末裔であるという彼が暮らす部屋はとても広く、レストランでコックとして働くプレイボーイのフランクがルームメイトとして同居していた。

あるとき、一人で暮らしていたフランクの祖母が倒れ、彼は祖母の見舞いに行くようになる。

そんな折、カミーユがインフルエンザで高熱を出してしまい、フィリベールは彼女を寒い屋根裏部屋から自分の部屋へと運び、看病を続け、やがて、彼女もまた同じ部屋で暮らし始めることになるのだが・・・

パリを舞台にそれぞれに孤独で悩みを抱えた大人たちが出会い、新たな一歩を歩み始める姿を描く。

なかなか面白い作品でした。でも邦題から想像されるような甘いラブコメという感じの作品ではなく、もうちょい骨太で現代文学的な乾いた印象の強い人間ドラマでした。DVDのジャケもかなり微妙・・・。これ、レストランとか料理とか、あまりメインじゃないですから。

てか、あの部屋、どんだけ広いんですか!?一体何人一緒に住めるんだ!という感じですよ。

そこまでドラマチックなできごとが続くわけでもないんですが、90分ちょっとの短い作品ということもあって、どこか居心地の良いテンポの良さがあって、あっという間に終わってしまったという印象です。

そんなに明るい題材でもないし、主人公達がかかえるコンプレックスやストレスはかなり大きいんですが、それをふんわりと包み込むような優しさみたいなものが感じられて、ドンヨリとした重い作品になりそうなところを非常に上手くカバーしてるんですよね。

原作小説の日本語版が上下2分冊になっていることを考えると、それなりの長編なんだと思うんですが、映画はかなりコンパクトにまとめていて、この部分はもっと語られても良いのではないかなと思うような箇所が割と多かったです。想像で補うことはできるんだけど、多分原作ダイジェストみたいな感じになってるんだろうなぁというのが感じられてしまいました。

特にラスト近くでフィリベールが大きな決断をするんですが、そこにいくまでのドラマがちょっと物足りなかったかなぁと。カミーユとフンラクばかりに焦点が当たりすぎてしまったのがちょっと残念。しかもこの2人に関しても家族関係の部分とか多分もっと沢山のエピソードがありそうで、割と映像の行間を読んでそれを埋めていかなければいけない作品でした。原作がちょい気になります。

ミレーユとフランクの急接近に、フランクもそこまで悪い青年ではないけれど、同じ家で何度も色々な場面を目撃しているだろうし、「ミレーユよ、本当に良いのか!?」と思ってしまうんですが、まぁ、そんなところがフランス映画の面白さでもあります。でもって、ラスト近くの駅での場面はベタベタのベタも良いところなんですが、予定調和な安心感もあって、嫌いじゃなかったです。

ラスト、後日談的なシーンがありましたが、画面の片隅にフィリベールたちが本当にひっそりと映っていて、あえて語りはしないけれど、その間にあったドラマを想像させてくれたのがなかなか良かったですね。鑑賞後の余韻もとても爽やか♪

拒食症気味の主人公ということもあり、オドレイ・トトゥがかなり痩せているのにビックリ。あと、珍しい超短髪を観ることができます。彼女も、「アメリ」の枠にとらわれず結構精力的に色々な作品に出演してますよね~。

クロード・ベリ監督の遺作となったとのことですが、そう思って観てみると、祖母の描かれ方がなんとも感慨深かったです。

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コメント

先ほどこの映画を観終わって、検索してみたらこの記事を見つけたので読んでみましたが面白いですね(^^)
だいぶ前の記事なのでこのコメントも読んでもらえてないかとは思いますが。。。
たしかにこの邦題はテキトウ感マックスですよね(笑)
原作があることを知らなかったので読んでみたいなと思いました。

投稿: ほしこ | 2013年1月19日 (土) 21時26分

>ほしこさん

コメントどうもありがとうございます。
古い記事でもコメント大歓迎です♪

未公開映画の邦題は本当に適当につけたようなものが多いですよね。もうちょっとlどうにかならないのかなといつも思います。

この映画、観てから結構経ちますが、やたらと大きなアパートが出てきたという印象が強く残ってます。

投稿: ANDRE | 2013年1月21日 (月) 22時16分

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» 幸せになるための恋のレシピ  ensemble, c'est tout [映画の話でコーヒーブレイク]
オドレィ・トゥトゥ主演のフランス映画っていうと、やっぱり「アメリ」をイメージしてしまいますが、 こちらはそれほどおとぎ話っぽくありません。 フランス映画とアメリカ映画って、背負っている文化が違うとこうも雰囲気が変わるのは何なんでしょうか? おそらくキャサリン・ゼタ=ジョーンズの「幸せのレシピ」を意識したタイトルなんでしょうが、 メインキャラの男性が料理人だからってこのタイトルは如何なもんでしょうか??? 原題は「一緒に、それがすべて」みたいな意味でしょうか?   **************... [続きを読む]

受信: 2009年12月13日 (日) 02時36分

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