« 映画「パイレーツ・ロック」 | トップページ | 映画「幸せになるための恋のレシピ」 »

2009年11月16日 (月)

映画「パッセンジャーズ」

パッセンジャーズ 特別版 [DVD]

passengers

アメリカ

2008

2009年3月公開

DVD鑑賞

この手のサスペンスは、予告などを観てしまうとやっぱり真相が気になってしまうので、DVDでチェック。(劇場まで行く勇気はなかなか出ません。)

これ、これまで短編オムニバスばかりだったロドリゴ・ガルシア監督(作家ガルシア・マルケスの息子)がついに長編を撮ったということでもちょっと気になってました。

あるとき、航空機が不時着し多くの犠牲者が出る。主人公であるセラピストのクレア(アン・ハサウェイ)は、奇跡的に生き残った乗客たちのケアを任される。事故は亡くなったパイロットの過失で起こったものとされていたが、墜落前にエンジンから火が出たとの証言があり、クレアは航空会社による隠蔽があるのではないかと疑い始める。そんな折、彼女がケアをしていた生存者達が次々と行方不明となり・・・

いわゆる「衝撃のラスト」もので、最後は驚きのどんでん返しがあるんですが、近頃この手の「衝撃のラスト」が多いこともあって、それ自体にはそこまでの新鮮さはありません。

しかし、この作品の面白いのは、単に「衝撃のラスト」で驚いて終わりというのではなく、そのラストによって、作品全ての観方ががらりと変わり、全体の印象がサスペンス映画から、愛に溢れた素晴らしい作品になってしまうこと。

ま、序盤から中盤にかけてサスペンスっぽさをもうちょっとあおってくれたほうが嬉しかったですけどね。ハラハラ感がまるでなかったし。

以下、ネタバレっぽくなってくるので反転させてください。

この作品が提示する考え方はとても優しくて、本当にこうであってくれたら、ちょっと嬉しいかなぁ、と思わせてくれるんですよね。

こういう結末の作品って多いですけど、登場人物の全員がってパターンは珍しいですよね。

航空会社の人が執拗にパイロットの過失であったと主張していた本当の理由に気がついた瞬間、とても切なくなってしまいました。

しかし、ちょっと残念だったのが、結局主人公は自分で事実に気づくことができなかったということ。リストを見せるとか、最終手段も良いところだよ・・・。もうちょっと、周囲の人とのエピソードの中から主人公がハッと悟るような展開にしてもらいたかったかなぁ。でもリストを見せたのが上述の航空会社の人だってのを考えると、彼のどうしようもない思いも伝わってくる感じでますます切ない。

<ネタバレ終わり>

そんなわけで、「衝撃のラスト」からもう一歩踏み込んだところに、深い哲学と温かな愛情を感じることができ、流石はロドリゴ・ガルシア、といった感じの作品だったと思います。

「彼女を見ればわかること」とか結構好きだったしね。短編集で力をつけた作家がついに長編を発表した、という小説作家みたいなキャリアの重ね方にノーベル賞作家の血を感じました。

|

« 映画「パイレーツ・ロック」 | トップページ | 映画「幸せになるための恋のレシピ」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
お邪魔が遅くなりました。

映画館で観れたのに、こんな作品だとは思わずスルーしてしまったんですが、
知ってたら観たのに!と思う反面、知ってたら面白くないわけで、
やっぱり、何も知らずにキャストだけで観て正解でした。
ただ、ANDREさんも含めて、意外に好感触の方が多かったので、
ちょっと気になっていた作品でもありました。

パトリック・ウィルソンが意味不明な動きをするものだから、
前半はすっかり翻弄されてしまったけれど、
真相がわかると、主人公たちが一気に愛しくなってしまいました。
ホント、これが本当だったらいいのになぁ…と思います。
この題材で、この読後感を与えられるって、ちょっと凄いですね。

録画を観た夫が、3回くらい見直していた…というのは
やはり気に入ったからなんでしょう。彼にしては珍しいことです。

投稿: 悠雅 | 2010年4月24日 (土) 01時25分

>悠雅さん

コメントどうもありがとうございます!

この手の作品って、
「なーんだ」で終わってしまって、
後に何も残らないB級映画になってしまうことが多いのに、
この作品は温かな余韻をいつまでも残してくれましたね。
さすがはノーベル文学賞作家の息子は違う!
と思ってしまいました。

3回も見直されていたということは、
かなりお気に召されたんですね~。
でもその気持ちも良く分かります!

投稿: ANDRE | 2010年4月26日 (月) 11時06分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 映画「パッセンジャーズ」:

» パッセンジャーズ [LOVE Cinemas 調布]
主演は本年度アカデミー賞主演女優賞ノミネートのアン・ハサウェイ。日本では『ゲット スマート』が昨年公開されました。実は監督のロドリゴ・ガルシアも恋人役のパトリック・ウィルソンも全然知らなかったり。アン・ハサウェイの作品は彼女が出ているというだけで無条件で鑑賞対象となるのでありました。(笑)というわけで、朝8時出発で2週連続横浜遠征です。... [続きを読む]

受信: 2009年11月17日 (火) 00時28分

» mini review 09396「パッセンジャーズ」★★★★☆☆☆☆☆☆ [サーカスな日々]
飛行機事故で奇跡的に生還した5人の乗客のカウンセリングを担当するセラピストが、不可解な事態に巻き込まれていく心理サスペンス。事故に関する事実を証言しながら次々と失踪(しっそう)する生存者たちをめぐり、スリルと謎が複雑に交錯するサスペンスフルなドラマが展開する。真実を追求するセラピストを演じるのは、『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ。監督は『美しい人』のロドリゴ・ガルシア。予想を裏切る衝撃の結末に息を飲む。[もっと詳しく] ガルシア=マルケスにはあり、息子のロドリゴ・ガルシアには希薄な「視線」... [続きを読む]

受信: 2009年11月17日 (火) 01時57分

» ★「パッセンジャーズ」 [★☆ひらりん的映画ブログ☆★]
今週の平日休みは、「TOHOシネマズららぽーと横浜」で2本。 その1本目。 「プラダを着た悪魔」の大ヒットで一躍有名になったアン・ハサウェイ主演。 ひらりんは「プリティ・プリンセス」から注目してたよーー。 ... [続きを読む]

受信: 2009年11月17日 (火) 04時15分

» パッセンジャーズ [★YUKAの気ままな有閑日記★]
『ジェネラル〜』を観たかったが、時間の都合でコチラを先に観ることに―【story】突然の電話で起こされたセラピストのクレア(アン・ハサウェイ)は、墜落した旅客機事故から奇跡的に生き残った5人の乗客(パッセンジャーズ)のトラウマ的なストレスを治療するため、担当のセラピストに命じられる。クレアは大任にやる気を見せるが、生存者の一人エリック(パトリック・ウィルソン)は彼女のカウンセリングを拒否し―     監督 : ロドリゴ・ガルシア 『美しい人』【comment】    ヤバイなぁ〜困ったゾ〜     ... [続きを読む]

受信: 2009年11月17日 (火) 07時11分

» 『パッセンジャーズ』 [cinema!cinema! ミーハー映画・DVDレビュー]
アン・ハサウェイ主演のサスペンス『パッセンジャーズ』を観ました。 3月の公開作品の中では気になり度としては高い位置にあった作品なんだけど、結局観られたのは4月も中旬になって。。。 こんな調子じゃいけないなー。観たい映画はもっと公開直後に観るようにしよう。。。... [続きを読む]

受信: 2009年11月17日 (火) 13時13分

» パッセンジャーズ [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
その真相を、追ってはいけない__飛行機事故で奇跡的に生き残った5人の乗客(パッセンジャーズ)何故、彼らだけが生き残ったのか?・・・。 物語:スリリングな物語の幕開けは、大ヒットテレビドラマ「LOST」のような飛行機の墜落事故現場……。奇跡的に生き残ったのは...... [続きを読む]

受信: 2009年11月19日 (木) 21時37分

» パッセンジャーズ [悠雅的生活]
胴体着陸。失踪。家の鍵。 [続きを読む]

受信: 2010年4月24日 (土) 01時15分

» 【映画】パッセンジャーズ…※あのタイプのヤツです [ピロEK脱オタ宣言!…ただし長期計画]
{/hiyoko_cloud/}{/kaeru_fine/} 最近TVで観て一番笑ったのは、椿鬼奴とRGのバービーボーイズ{/face_nika/}だったりするピロEKです{/face_nika/} 本日7月10日は「ウルトラマンの日」{/shootingstar/}らしいです。日付が変わったときにウルトラマンがツイートした事で知りました{/face_warai/} …となると一個前の記事はギリギリ早まっちゃった感じですね{/ase/}、惜しい{/ase/}{/ase/} 今日アップだったらナイ... [続きを読む]

受信: 2010年7月13日 (火) 13時34分

« 映画「パイレーツ・ロック」 | トップページ | 映画「幸せになるための恋のレシピ」 »