« 映画「雲南の花嫁」 | トップページ | 映画「おっぱいバレー」 »

2009年11月26日 (木)

映画「扉をたたく人」

扉をたたく人 [DVD]

the visitor

アメリカ

2008

09年6月公開

DVD鑑賞

公開中から気になっていた1本。この手のミニシアター系作品はDVDリリースが早いですねぇとか思ってたらもう年末で、もうじき公開から半年なんですねぇ。早い。

主人公はウォルターはコネティカットの大学で教鞭をとっていたが、惰性で授業をこなし、妻を亡くしてからは心を閉ざし、独り頑固に生きていた。あるとき、学会発表でNYを訪れた彼は、久々にNYにある別宅へと帰ってくる。しかしそこには、見知らぬ男女が。詐欺にあって長く留守になっていた家を貸されてしまった移民カップルであった。ウォルターは行き場をなくした2人を気遣い、新しい住居が見つかるまでの間、しばらく共同生活をすることになる。

こうしてジャンベ奏者をしているシリア出身のタレクとセネガル出身でアクセサリーを販売しているゼイナブの2人と暮らし始めたウォルターはタレクの演奏するジャンベのリズムに魅せられ、彼からジャンベを習い始める。そんなある日、地下鉄で無賃乗車を疑われたタレクがウォルターの目の前で逮捕されてしまう・・・

序盤の人生に疲れた老教授がジャンベのリズムにひかれていく辺りまではとても力強く明るい物語だったんですが、事件後は一転、重たい社会派作品に。しかも、結局は一個人の力ではどうしようもないことなので、ラストもそのまま大きなしこりが残って幕を閉じてしまいました。

しかし、この大きなしこりこそがこの作品が伝えたい自由の国アメリカの現実だということなのだと思います。最後に大きく映る星条旗がまたやるせなさを大きくしますね。

そのやるせなさをジャンベで見事に伝えるラストも良かったです。音楽は言葉を越えますね。

てか、こんなにジャンベが大きく取り上げられている作品だとは思っていなかったので、これは劇場の良い音響であのリズムを感じたかったなぁとちょっと後悔。(劇場で観る作品の選択において、音楽系の作品かどうかというのは自分の中では大きな基準の1つなのですよ。)

見ていて結構好きだったエピソードは、主人公がピアノを習っていた理由。それまで、頑固なオヤジでしかなかった主人公が実は妻への愛に溢れた人物であることが分かり、一気に我々との距離が縮まったように思いました。

と褒めつつ、実は内容的に後半はちょっと消化不良でした。

移民の青年と出会ってからがどうもペースが早かったのではないかと。わずか数日の触れ合いで主人公にあそこまで行動をさせるには、ジャンベのセッションだけではちょっと説得力に欠けていたのではないかと。

さらに、母親となんとなく親しい感じになる下りはいかにも映画っぽいんだけど、個人的にはいらない気がする。映画にロマンスはつきものなんでしょうかね・・・。

あと、全く落ち度がなかったわけではなくて、不法移民だったという点は否めない事実なので、彼がどんなに善良な人間であっても、不法であることを理解しながらも滞在していたのだから、どこか自業自得なのは否めないと思ってしまうんですが、どんなもんなんでしょうか。アラブ系というだけで罰則が厳しいとか、以前の問題で。(もしかして、自分は遅れて提出されたレポートは頑なに受け取らないタイプ!?)

タレクの逮捕前まではかなり好きだったんですけど、伝えたいこともよく分かるし、それを伝える手段としての映画としての作り方は最後まで素晴らしかったと思うものの、後半は内容的にちょい肩すかしな感じでした。

最後に、これは珍しく邦題が上手いですね。オリジナルの「the visitor」という意味はそのままに、単に「訪問者」とするよりもずっと余韻が感じられるし、閉ざされていた主人公の心が開いたり、後半の主人公の奔走が、大きな扉を前にしてそれを開こうとしているようにも感じられ、作品をとてもよく表現していたと思います。

あと、どうでもいいことだけど、文系の学会が割とリアルに学会だったのが良かったです。小部屋で参加者が少ない感じとか。(自分も似た世界にいるもので・・・)

ちなみに家で鑑賞したおかげで、見ながら一緒にテーブル叩いてセッションに参加しちゃいました。結構気持ち良かったです。

|

« 映画「雲南の花嫁」 | トップページ | 映画「おっぱいバレー」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントありがとうございました。
ご訪問が遅くなってしまいました…

わたしは、音楽系の映画は出来るだけ劇場で観るようにしています。ウチのテレビがボロいせいもありますが、音がまったく違いますからねえ。
でも、
>ちなみに家で鑑賞したおかげで、見ながら一緒にテーブル叩いてセッションに参加しちゃいました。
というのも、いい楽しみ方だなーと思いました。これって家ならではですよね。

投稿: りお | 2009年12月 5日 (土) 22時23分

>りおさん

コメントどうもありがとうございます!
ちょっとバタバタとしていたため、
レスが遅くなってしまい
大変申し訳ありませんでした。

自分も音楽系の映画はできる限り映画館で
見るようにしているのですが、
この作品に関しては、
ここまで音楽がメインだとは思っていなかったので、
DVDでもいいかな、と流してしまったんですよね・・・。

家で一人で見ていたので、
それはそれはノリノリで
テーブルを叩いてしまいました。
かなり楽しかったです♪

投稿: ANDRE | 2009年12月 9日 (水) 01時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/145222/46860770

この記事へのトラックバック一覧です: 映画「扉をたたく人」:

» 扉をたたく人 [LOVE Cinemas 調布]
初老の大学教授と不法滞在の移民青年との心の交流を描いた作品。監督は俳優のトム・マッカーシーで長編はこれが2作目。主演は本作でアカデミー賞主演男優賞ノミネートのリチャード・ジェンキンス。共演は名作『シリアの花嫁』のヒアム・アッバス。予告編の時から『シリアの花嫁』での演技が忘れられないヒアムを観たくて鑑賞を決めていた作品です。... [続きを読む]

受信: 2009年11月26日 (木) 01時21分

» 『扉をたたく人』 (2007)/アメリカ [NiceOne!!]
原題:THEVISITOR監督・脚本:トム・マッカーシー出演:リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバス、ハーズ・スレイマン、ダナイ・グリラ鑑賞劇場 : 恵比寿ガーデンシネマ公式サイトはこちら。<Story>コネチカットで暮らす大学教授のウォルター(リチャード・...... [続きを読む]

受信: 2009年11月26日 (木) 05時11分

» 扉をたたく人 [☆彡映画鑑賞日記☆彡]
 『扉を閉ざしたニューヨーク─ 移民の青年との出会いと“ジャンベ”の響きが 孤独な大学教授の心の扉を開く。』  コチラの「扉をたたく人」は、「サンシャイン・クリーニング」同様たった4館での上映から、口コミで広がり6週目にして全米興行収入トップ10に入り、6か...... [続きを読む]

受信: 2009年11月26日 (木) 06時26分

» 「扉をたたく人」 [心の栄養♪映画と英語のジョーク]
静かだけど、力強い作品でした [続きを読む]

受信: 2009年11月26日 (木) 07時19分

» 「扉をたたく人」 [ハピネス道]
JUGEMテーマ:映画nbsp; 毎年、年末に年間ランキングをつけていますが、この作品はTOP10入り確実です。感動しました。音楽がキーワードになっているからかもしれませんが「ONCE ダブリンの街角で」を観たときのことを思い出しました。クチコミで徐々に上映館数を増やし、ロングランヒットしたのも共通点。音楽が好きな人にはぜひ観ていただきたい作品です。アフリカン・ドラム“ジャンベ”のリズムが人と人とを結び、会話以上に心を通わせる様子に胸を打たれました。主演のリチャード・ジェンキンスはこ... [続きを読む]

受信: 2009年11月26日 (木) 08時32分

» 『扉をたたく人』 [めでぃあみっくす]
俳優生活40年目にして初めての主演映画だというリチャード・ジェンキンス。これまで数多くの映画で様々な役を演じた名脇役として見慣れてきた彼ですが、その彼のいろんな魅力がまさに凝縮されたような映画でした。そしてそんな彼が演じたウォルター・ヴェイルこそアメリカそ....... [続きを読む]

受信: 2009年11月26日 (木) 20時14分

» 扉をたたく人 [映画三昧、活字中毒]
■ 恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞扉をたたく人/The Visitor 2007年/アメリカ/104分 監督: トム・マッカーシー 出演: リチャード・ジェンキン... [続きを読む]

受信: 2009年12月 5日 (土) 22時18分

» 扉をたたく人 -the Visitor [風を見たくて]
この映画はあまり期待感もなく見たのだが、意外と良かった。変化のない大学教授、ひょんなことから変わり始めるそんな日常を通して、9.11以降の移民政策の変化が描かれる。 登場人物のタレクがシリア出身という設定、またその母親役が「シリアの花嫁」にも出ていたヒアム・アッバスということもあって俄然感情移入してみてしまった。彼女は、この映画でもいい存在感を出してます。 当初、パッとしない老教授の話くらいに思っていたのだが、次第にこの映画のテーマが人種の坩堝たるアメリカと移民であることに気づく。ディテールの描き方... [続きを読む]

受信: 2009年12月 6日 (日) 18時47分

» 『扉をたたく人』'07・米 [虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...]
あらすじ愛する妻に先立たれ、全てに心を閉ざし、無気力な毎日を送っている大学教授のウォルター(R・ジェンキンス)。ある日、ニューヨークで移民青年タレクと予期せぬ出会いを果たす... [続きを読む]

受信: 2010年5月28日 (金) 22時50分

» 扉をたたく人  THE VISITER [映画の話でコーヒーブレイク]
こんな映画があったこと、全く知りませんでした。 主演のリチャード・ジェンキンスが昨年のアカデミー主演男優賞にノミネートされていたことも、 昨年日本で公開されていたことも知りませんでした。 友人のMさんから「いい映画らしい」とお薦め頂き、レンタルビデオショップでやっと見つけました。 1年前も、ごくごく限られた少数館でのみの公開だったようですね。    *****************      扉をたたく人   THE VISITER    ******************  < ... [続きを読む]

受信: 2010年6月 7日 (月) 00時53分

» 扉をたたく人 [映鍵(ei_ken)]
「ピアノ」が呪縛の象徴として描かれているのが印象的でした。人はチャンスがあれば変われるのだなぁと…。ただ、主人公が収容所で叫ぶ場面に「アメリカ的傲慢さ」が感じられて残念 [続きを読む]

受信: 2010年11月26日 (金) 16時10分

« 映画「雲南の花嫁」 | トップページ | 映画「おっぱいバレー」 »