映画「扉をたたく人」
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the visitor
アメリカ
2008
09年6月公開
DVD鑑賞 |
公開中から気になっていた1本。この手のミニシアター系作品はDVDリリースが早いですねぇとか思ってたらもう年末で、もうじき公開から半年なんですねぇ。早い。
主人公はウォルターはコネティカットの大学で教鞭をとっていたが、惰性で授業をこなし、妻を亡くしてからは心を閉ざし、独り頑固に生きていた。あるとき、学会発表でNYを訪れた彼は、久々にNYにある別宅へと帰ってくる。しかしそこには、見知らぬ男女が。詐欺にあって長く留守になっていた家を貸されてしまった移民カップルであった。ウォルターは行き場をなくした2人を気遣い、新しい住居が見つかるまでの間、しばらく共同生活をすることになる。
こうしてジャンベ奏者をしているシリア出身のタレクとセネガル出身でアクセサリーを販売しているゼイナブの2人と暮らし始めたウォルターはタレクの演奏するジャンベのリズムに魅せられ、彼からジャンベを習い始める。そんなある日、地下鉄で無賃乗車を疑われたタレクがウォルターの目の前で逮捕されてしまう・・・
序盤の人生に疲れた老教授がジャンベのリズムにひかれていく辺りまではとても力強く明るい物語だったんですが、事件後は一転、重たい社会派作品に。しかも、結局は一個人の力ではどうしようもないことなので、ラストもそのまま大きなしこりが残って幕を閉じてしまいました。
しかし、この大きなしこりこそがこの作品が伝えたい自由の国アメリカの現実だということなのだと思います。最後に大きく映る星条旗がまたやるせなさを大きくしますね。
そのやるせなさをジャンベで見事に伝えるラストも良かったです。音楽は言葉を越えますね。
てか、こんなにジャンベが大きく取り上げられている作品だとは思っていなかったので、これは劇場の良い音響であのリズムを感じたかったなぁとちょっと後悔。(劇場で観る作品の選択において、音楽系の作品かどうかというのは自分の中では大きな基準の1つなのですよ。)
見ていて結構好きだったエピソードは、主人公がピアノを習っていた理由。それまで、頑固なオヤジでしかなかった主人公が実は妻への愛に溢れた人物であることが分かり、一気に我々との距離が縮まったように思いました。
と褒めつつ、実は内容的に後半はちょっと消化不良でした。
移民の青年と出会ってからがどうもペースが早かったのではないかと。わずか数日の触れ合いで主人公にあそこまで行動をさせるには、ジャンベのセッションだけではちょっと説得力に欠けていたのではないかと。
さらに、母親となんとなく親しい感じになる下りはいかにも映画っぽいんだけど、個人的にはいらない気がする。映画にロマンスはつきものなんでしょうかね・・・。
あと、全く落ち度がなかったわけではなくて、不法移民だったという点は否めない事実なので、彼がどんなに善良な人間であっても、不法であることを理解しながらも滞在していたのだから、どこか自業自得なのは否めないと思ってしまうんですが、どんなもんなんでしょうか。アラブ系というだけで罰則が厳しいとか、以前の問題で。(もしかして、自分は遅れて提出されたレポートは頑なに受け取らないタイプ!?)
タレクの逮捕前まではかなり好きだったんですけど、伝えたいこともよく分かるし、それを伝える手段としての映画としての作り方は最後まで素晴らしかったと思うものの、後半は内容的にちょい肩すかしな感じでした。
最後に、これは珍しく邦題が上手いですね。オリジナルの「the visitor」という意味はそのままに、単に「訪問者」とするよりもずっと余韻が感じられるし、閉ざされていた主人公の心が開いたり、後半の主人公の奔走が、大きな扉を前にしてそれを開こうとしているようにも感じられ、作品をとてもよく表現していたと思います。
あと、どうでもいいことだけど、文系の学会が割とリアルに学会だったのが良かったです。小部屋で参加者が少ない感じとか。(自分も似た世界にいるもので・・・)
ちなみに家で鑑賞したおかげで、見ながら一緒にテーブル叩いてセッションに参加しちゃいました。結構気持ち良かったです。
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登場人物のタレクがシリア出身という設定、またその母親役が「シリアの花嫁」にも出ていたヒアム・アッバスということもあって俄然感情移入してみてしまった。彼女は、この映画でもいい存在感を出してます。
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こんな映画があったこと、全く知りませんでした。
主演のリチャード・ジェンキンスが昨年のアカデミー主演男優賞にノミネートされていたことも、
昨年日本で公開されていたことも知りませんでした。
友人のMさんから「いい映画らしい」とお薦め頂き、レンタルビデオショップでやっと見つけました。
1年前も、ごくごく限られた少数館でのみの公開だったようですね。
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扉をたたく人 THE VISITER
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コメント
コメントありがとうございました。
ご訪問が遅くなってしまいました…
わたしは、音楽系の映画は出来るだけ劇場で観るようにしています。ウチのテレビがボロいせいもありますが、音がまったく違いますからねえ。
でも、
>ちなみに家で鑑賞したおかげで、見ながら一緒にテーブル叩いてセッションに参加しちゃいました。
というのも、いい楽しみ方だなーと思いました。これって家ならではですよね。
投稿: りお | 2009年12月 5日 (土) 22時23分
>りおさん
コメントどうもありがとうございます!
ちょっとバタバタとしていたため、
レスが遅くなってしまい
大変申し訳ありませんでした。
自分も音楽系の映画はできる限り映画館で
見るようにしているのですが、
この作品に関しては、
ここまで音楽がメインだとは思っていなかったので、
DVDでもいいかな、と流してしまったんですよね・・・。
家で一人で見ていたので、
それはそれはノリノリで
テーブルを叩いてしまいました。
かなり楽しかったです♪
投稿: ANDRE | 2009年12月 9日 (水) 01時44分