映画「ワン・デイ・イン・ヨーロッパ」
one day in europe ドイツ スペイン 2005 07年9月公開 DVD鑑賞 |
ヨーロッパを舞台にしたオムニバス映画。05年の作品が07年に日本公開になり、DVD化が09年。公開時にちょっと観たいなと思っていたことすら忘れかけていたころにレンタル店で発見しました。
サッカーのヨーロッパチャピオンを決めるトルコのチームVSスペインのチームの試合がモスクワの競技場で行われる日、ヨーロッパの4つの都市を舞台に繰り広げられる人間模様を描く4話のオムニバス。
ドイツ映画はたまに見るとやっぱり面白い!
どの話にも共通しているのが、その都市を訪れた旅行者である主人公が強盗被害にあうor強盗被害を装うという状況で警察に被害を届けるということ。全部でヨーロッパ7カ国の登場人物たちが、それぞれのお国柄を代表して巻き起こる騒動がユーモラスにえがかれていて、なかなか面白い作品でした。
それぞれのキャラクターがちゃんと自国語を喋るので、7カ国語が登場する作品なんですけど、EUという共通通貨を使う圏内でありながら、意思の疎通もままならずにトラブル続出というヨーロッパの雑多さをとてもよく映し出している作品。
ただ、字幕が英語をベースにして、英語以外の言語には括弧<>をつけているんですけど、英語中心の作品でもないし、その他6カ国語は何の区別もなしに同じ括弧でくくられているので、もう一工夫してくれたほうが分かりやすかったかな、と思う。ま、耳で聞いて判断してね、ということなのかもしれないけど。
どの話も同じ1日を舞台にしていて、サッカーの試合で町は大盛り上がりだし、警察官もTVに夢中という状況下が共通するところにも、ヨーロッパでのサッカー人気の高さが感じられるんだけど、主人公たちは、当事国ではないからか、まるでサッカーに興味がないというのもちょっと面白い。
以下、4話それぞれに感想を。
①ロシア・モスクワ編
仕事で訪れたイギリス人女性はタクシー運転手にだまされ強盗被害に遭い、持っていた荷物をすべて奪われてしまう。その様子を見ていた現場近くに暮らすロシア人の奥様がそんな彼女を気の毒に思い、あれこれと世話をしてくれるのだが・・・
ロシアのおばちゃん&警察たちのマイペースっぷりがとても微笑ましいです。目には目を、マイペースにはマイペースを、って感じでちゃんと機能するのも面白い。でもって、イギリス人の自分が一番、みたいな横暴さが随所に見られて、彼女は被害者のはずなのに、怒鳴ってばかりな人みたいな感じになってしまってるのがまた面白い。
最後のオチも面白いんだけど、イギリス人女性がこの時点において疲労困憊で、もうどうでもいいわ、って感じになるところが良かったですね。あのおばちゃんを前にしたらもう何も言えないよね。
②トルコ・イスタンブール編
お金のないドイツ人青年は保険金を目当てに強盗にあったこと偽装し、タクシーで警察に向かうのだが、やたらと親切なタクシー運転手にあってしまい・・・
とにかく要領の悪いドイツ人。トルコの警察は似たような偽装被害届けが多いからから、とても慎重で厳しい。そして、トルコ人運転手もやたら親切。そんなトルコ人たちを前に、悪いことをしてるドイツ人のほうが逆ギレしてしまう様子が面白い一編でした。
③スペイン・サンチアゴ編
巡礼の旅を終えたハンガリー人男性は記念に写真を撮ってもらおうとして、大切なカメラを盗まれてしまう。警察官に被害を訴えるのだが、お気楽な警官にふりまわされてしまい・・・
自殺未遂の末に巡礼の旅に出たネガティブなハンガリー人と、超お気楽なスペイン警官たちのやりとりが面白い。言葉がうまく通じないこともあって、ハンガリー人がひたすら笑い飛ばされてしまうのがちょっと気の毒でありながらも、スペイン人の陽気さは憎めない。
大切なのは旅に出た事実と心に刻まれた思い出なんてのは分かってるけど、やっぱり悔しいよね。
④ドイツ・ベルリン編
フランスからやってきた大道芸人の男女。思ったほどの収入が得られず金に困った2人は強盗被害を装い、保険金を得ようとするのだが、土地勘が全くないため、警察に疑われないよう、被害にあったことにする場所を探すのに四苦八苦して・・・
ドイツの現状をまるでわからずにほとんど勢いだけで強盗偽装をするフランス人たちがボロを出しまくりなのが面白い。ドイツ映画でドイツを舞台にしてるだけあり、社会情勢が非常に上手く取り入れられていて、興味深い一編でもありました。
そうそう、各エピソード間に出てくる飛行機で都市を移動するアニメが結構お気に入り。
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