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2009年12月11日 (金)

「ロックンロールミシン2009」 鈴木清剛

ロックンロールミシン2009 (小学館文庫)

ロックンロールミシン2009

鈴木清剛

小学館文庫 2009.1.
(original 1999)

以前『ラジオデイズ』を読んで、三島賞受賞の『ロックンロールミシン』もいつか読もうと思っていたら、今年になって改稿したバージョンが出ているのを書店で発見。丁度良い機会なので読んでみました。

主人公の賢二はそれまで勤めていた会社を辞め、新しい人生を模索していた。そんなとき、高校時代の友人が仲間達と3人でインディーズの服飾ブランドをたちあげる。最初は興味深く彼らの仕事を見ていた賢二だったが、やがて、それを手伝うようになり・・・という物語。

「インディーズ」の良いところも悪いところも描いた作品で、なかなか面白かったです。

ただ、「ラジオデイズ」を読んだときにも思ったんですが、この人の書く文章は、第3者的視点の語りで進んでいたものが突如主人公視点になっていたりする視点の移り変わるタイミングがどうも自分の中でしっくりこなくて、とても読みづらい印象なんですよね。

ラストに彼らが選択する道はやっぱり「インディーズ」だからの結果で、いくら若いからとは言え、その調子だったら、20年後くらいには「あの頃は若かったからねぇ」なんて言いながら、全然違う仕事してるんじゃないのか、なんて思ってしまったり。

音楽はCDという形で大量生産できるし、絵なんかは1つ売れたときの単価が高いけど、洋服は手間も費用もかかって、個人で大量生産するのは限界があるようなイメージが強くて、そういう業界でインディーズな精神で作品を発表し続けて成功するのってかなり大変ですよね。あまりそういうことを考えたことがなかったので、服飾業界における芸術性の追究というのはなかなか面白い問題だな、と思いましたね。しかも服って消耗品だしね。

オリジナルを読んでいないので、今回の改稿によってどのくらい変わったのかは分からないんですが、作品のテーマである「インディーズ」っぽさを表現するという意味で、かえって、改稿とかしない荒削りな文体のほうが合うんじゃないかとか思ったんですが、そういうのは、オリジナルを読んでみないとなんともいえませんね。

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コメント

こんにちは。

このタイトルを見て、一瞬「まぁ、これをご覧になったのね」と思ったんだけど、
小説だったのですね。
わたしは全く別の理由で、DVDで映画を観たんですけど、
小説が先にあったことは、今まで知りませんでした。
映画の能天気な感想しか書いてないけど、TBを送ってみました。

わたしのような年代になると、向こう見ずで危なっかしいと感じるけれど、
若い人ならばこそ、の夢へ向かう姿が、ある意味とても眩しくて、
失敗も挫折もあってこそ、の人生だものね…という見方でした。

20年経って、「あの頃は若かった」と別の仕事をしているかもしれないし、
まだ夢を追いかけて青息吐息の暮らしをしているかもしれないし、
何かのチャンスでどかんと売り出せたかもしれない…
そんな思いで映画を見終わったと思います。
でも、同年代の人が見ると(読むと)また違う思いがあるでしょうね。

っていうか、どうも自分には合わないと思う読み辛い文章が時々ありますね。
それで挫折した作品、結構あります。。。

投稿: 悠雅 | 2009年12月11日 (金) 09時07分

>悠雅さん

コメントありがとうございます。

そうそう、この作品、
加瀬亮の出演で映画化されてるんですよねぇ。
行定監督は「きょうのできごと」がとても好きなので、
同じく若者たちを主人公にした小説を映画化したこの作品も
観てみたいなぁと思っていたところでした。
映画版を見たらまた感想を書きますね。

自分は冒険することのできない性格なので、
彼らのような若さとパワーにあふれた輝きは
羨ましく思うと同時に、
ちょっと冷めた視点で見てしまったり(天邪鬼なもので・・・)。

この作家さんは、別の作品も同じように読みづらかったので、
多分、文体との相性が悪いんだと思います。
たまにそういう作家がいるんですよねぇ。

投稿: ANDRE | 2009年12月13日 (日) 00時55分

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