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2010年2月

2010年2月27日 (土)

「マンスフィールド・パーク」 ジェイン・オースティン

マンスフィールド・パーク (中公文庫)

マンスフィールド・パーク
(mansfield park)

ジェイン・オースティン
(Jane Austen)

中公文庫 2005.11.
(original 1814)

昨年のはじめに「今年はオースティン制覇!」などと言ったにも関わらず、結局1冊も読まなかったのですが、4年以上積読されていた1冊をようやく読みました。積読の理由は700ページという分厚さ。電車で立っているときに読むと普通に手が疲れます・・・。

主人公ファニー・プライスは実家が貧しく、伯母のバートラム令夫人の家に里子に出され、マンスフィールド・パークという広大な敷地を持つお屋敷で暮らすことになる。

居候の身であることから皆から距離をおいて接せられていたファニーだったが、2人の従姉妹と2人の従兄弟たちの中でも、良識があり信頼のおける次男のエドマンドに心を寄せ、エドマンドも良き相談者としてファニーに信頼を寄せるようになっていく。

そんなあるとき、近隣に引っ越してきたヘンリーとメアリーのクロフォード兄妹がマンスフィールド・パークの人間関係に波乱を招く・・・。

かなりの大作でしたが、なかなか面白い作品でした。近所に引っ越してきた新参者というのはオースティン作品お馴染みの出会いのパターンですね。

後年に書かれている作品ということもあって、『高慢と偏見』や『感性と知性』なんかよりも、人間描写が深まっていて、主人公たちの恋模様以上に、様々なかけひきに満ち溢れた人間関係をたっぷりと楽しむことのできる小説でした。

主人公がとてもよくできた娘さんで、自分が居候の身であることをわきまえた上で、常に控えめにふるまう一方で、他の従姉妹や伯母、隣人たちの身勝手さはときに滑稽でもあり、非常にスリリングな時もあり、なかなかの読み応え。読みながらワイワイつっこみを入れると心の中で大盛り上がりすること間違いなしです。

要所要所に盛り上がりを見せるイベントが用意されていて、かなりの長編なんですが、続きが気になってしまって一気に読みたくなってしまうのは、流石はオースティンといったところでしょうか。

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2010年2月25日 (木)

映画「コララインとボタンの魔女 3D」

 

Coraline

アメリカ

2008

10年2月公開

劇場鑑賞(3D字幕)

愛してやまない映画、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のヘンリー・セリックが手掛けるストップモーションアニメということでとても楽しみにしていた作品。別に3Dに興味はないので、2Dでも良かったのですが、3D上映ばかりなので、ついに初3Dを体験してきました。ついでに吹き替え版ばかりだったので、都内唯一の字幕上映だった六本木ヒルズにて鑑賞。やっぱりダコタ・ファニングの声で観たいですから!

セリック監督の作品を観るのは、「ナイトメア~」、「ジャイアント・ピーチ」(「ナイトメア~」が人気ですが、こちらもかなりオススメです)につづいて3作品目ですが、この2作はDVDまで持っていて何度も観ているお気に入り映画です♪

主人公の少女、コララインは園芸の本の原稿にかかりっきりの両親から相手にしてもらえず、引っ越してきたばかりの新居で時間を持て余していた。近所の住人を訪ねて回ってもどこか風変わりな隣人ばかり。

そんな折、家の中に壁紙で覆われた鍵のかかった小さな扉があるのを発見したコララインは母に頼んで、扉の鍵を開けてもらうのだが、扉の向こうには何もなく壁のレンガが顔をのぞかせているだけであった。

その夜、物音で目を覚ましたコララインは昼間には何もなかったあの小さな扉の奥に通路があるのを発見する。通路の向こう側は入ってきたときと同じコララインの家だったのだが、かけてある絵の様子などところどころが違っている。そして、扉の向こうの家で彼女を待っていたのは、両目がボタンになってしまった両親。もともといた世界の両親とは違い、ボタンの目を持つ「別の」両親たちはコララインの理想とする両親そのもので、コララインは幸せな時を満喫するのだが・・・。

噂にたがわずなかなか面白かったです。

こういうストップモーションアニメの持つ「本物」の魅力って何なんですかねぇ。CGのアニメってどんなにCGが進化したと言われても、未だに「CGにしてはリアル」の域を出ていないと思うんですよね。この作品だってCGで制作することだって可能だったと思うし、これを見てとてもリアルなCGアニメだと思う人もいるんじゃないかと思うんですが、どこが何って言えないんだけど、CGとは違う何かが確実にあると思うんです。芸術作品的な美しさというか。

サーカスとか、裏の(?)世界の庭とか、観ているだけでワクワクしてしまう造形の見事さは流石!でした。

ただ、欲を言えば、キャラクターのデザインがティム・バートンだったらなぁ・・・と。主人公のコララインをはじめとして、人間キャラクターのイラストのタッチがあまり好きじゃなかったです。動物は良かったんですけどねぇ。

どのような物語なのか、事前に一切情報を仕入れなかったので、ストーリーがどう展開していくのかわからず、「ボタンの魔女」の「魔女」がいつどのように出てくるのかとワクワクしながら見られたのも良かったです。

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2010年2月24日 (水)

「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」 万城目学

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)

かのこちゃんとマドレーヌ夫人

万城目学

ちくまプリマー新書 2010.1.

『鴨川ホルモー』などで話題の万城目氏の最新刊が新書で出版されました。「文庫派」な自分は、ドラマで『鹿男』は見たのですが、実際に著作を読むのは『ホルモー』に続いて2冊目。こうして新書でオリジナルの長編が出たりするのは大歓迎ですね~。

小学1年生のかのこちゃんの家では老犬の玄三郎とゲリラ豪雨のときに迷い込んだ猫のマドレーヌを飼っている。世界の様々なことに興味津々のかのこちゃんは、「刎頚の友」すずちゃんと共に驚きと発見に溢れた毎日を過ごしている。

一方、猫達の世界では、マドレーヌは、犬語が分かる上品な猫ということで、「マドレーヌ夫人」と呼ばれていた。

かのこちゃん、マドレーヌそれぞれの視点で描かれる温かく切ない物語。

『ホルモー』は良くも悪くも漫画みたいな小説で、つまらなくはないんだけど、あまりにエンタメ過ぎる気がしたし、ドラマで見た限り『鹿男』もかなり風変わりな作品でした。ところがところが、『かのこちゃん~』、なんとびっくり、読んでいる間思わず笑顔になってしまうような、ほんわかと心温まる小説でした。

いやはや、万城目氏、こういう作品も書けるんですねぇ。そうなってくると、今後、どのような作品を書くのかというのが、ちょっと楽しみになります。

まず、マドレーヌ夫人というのが猫の名前であることに驚かされ、さらに、物語が猫視点で展開することにおや?と思います。で、そのまま続くのかと思いきや、今度はかのこちゃん視点が。こういう作品全体の構成からしてワクワクさせてくれましたね~。

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2010年2月23日 (火)

映画「マチュカ ~僕らと革命~」

【ワールド・チルドレン・シネマ】マチュカ~僕らと革命~ [DVD]

Machuca

チリ

2004

日本未公開

DVD鑑賞

昨年末、レンタル店にて「ワールド・チルドレン・シネマ」なるシリーズ名で、様々な国の子供が主役の映画を集めたDVDが並んでいるのを発見。これはなかなか良い企画!そんなわけで、その中から1本観てみました。

舞台は1973年のチリ、サンティアゴ。この時代、チリでは、1970年の選挙で社会主義政府が発足し、社会主義政策がとられるようになり、街中ではデモ行進が頻繁に行われていた。

主人公のゴンサロは裕福な家に育った11歳の少年。あるとき、彼の通う私立の小学校が近くの貧民街に暮らす少年たちを無償で受け入れることになり、ゴンサロは貧民街に暮らす少年ペドロと親しくなり、ペドロの近所に暮らす年上の少女シルバナに淡い思いを寄せるようになる。

しかし、クーデターにより社会主義政府が倒される日が刻一刻と近づいていた・・・

チリの社会情勢が大きく変わった1973年を一人の少年の視点から描いた作品で、鑑賞前は特にその時代のチリに関する知識を持っていなかった自分でも、時代背景が分かるように丁寧に物語が展開してくれたおかげで分かりやすく、なかなか興味深い作品でした。

映画の作り方としては、カットとか、BGMとかが荒っぽいところもあって(特にBGMが80年代前半のテレビドラマみたいな感じだった)、上質な作品という感じではないのですが、とにかくストーリーで見せる作品でかなりの見ごたえ。てか、チリの映画なんて多分観たの初めてです。

一番のみどころはなんといっても、コンデンスミルク!無駄にドキドキしちゃいましたよ。

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2010年2月20日 (土)

映画「ノウイング」

ノウイング プレミアム・エディション [DVD]

knowing

アメリカ

2009

09年7月公開

DVD鑑賞

この手の映画は鑑賞後に「なーんだ」と脱力して終わることが多いのですが、予告などを見ると、どのようなオチなのかが気になってしまうので、DVDにて鑑賞です。

1959年、マサチューセッツ州レキシントンの小学校で創立を記念してタイムカプセルを埋めることになる。生徒達は未来を想像して絵を描くように言われるが、女性とルシンダはとりつかれた様にして紙いっぱいに数字の羅列を書き、それをタイムカプセルに入れる。

50年後。創立50周年を祝し、掘り起こされたタイムカプセルからルシンダの書いた紙を手に入れたのは、MITで天体物理学を教えるジョン(ニコラス・ケイジ)の息子ケイレブであった。ジョンは息子が学校から持ち帰ってきた手紙に書かれた不可解な数字の羅列が、事故や自然災害などで多くの人命が失われた際の年月日と死亡者数を予言していたことに気づき、そこに書かれた未来の日付に起こるであろう災害を食い止めようとするのだが。やがて、この数字の羅列に秘められた謎が明らかになり・・・という物語。

とにかく謎が謎を呼ぶ展開で、オチは読めても割と先が読めないこともあって、主人公の設定などを含めて、全体にドンヨリとした暗さがあるものの、適度な緊張感をもって最後まで楽しむことのできる作品でした。この手のディザスター&サスペンスの作り方としてはとてもよくできている作品だと思います。ま、すごく面白かったとか、大好きだとか、そんな感じではないんですが。あくまで「よくできている」映画だと思うということです。

この作品、なんとビックリ、最初は単なるパニック映画だと思っていたら、結構ディープなキリスト教映画でした。旧約聖書の預言書がベースになっていて、ところどころにキリスト教的なモチーフがちらほらと。宗教的な知識が深いと色々と凝って作られているところもあるんだろうけど、特にそういうことに精通しているわけでもないので、深いものがありそうだということはなんとなく分かるんだけど、なんとなくどまりなわけですが。

最後のオチは、この手の映画のオチとしてはそろそろ見飽きた感もありますが、この作品では冒頭からそれっぽさがちゃんと感じられていて、細かいところまで伏線が張られていたので、かなり冒頭で多分そうなんだろうな、と思いながら見てました。賛否両論あるかと思いますが、オチへの持って行きかたなどは、序盤に語られる運命に関わる哲学的討論などもうまく生かされていて、なかなかしっかり面白くまとめてたのではないでしょうか。ここで描く主張が好きか嫌いかは別として、ですが。

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2010年2月18日 (木)

映画「男と女の不都合な真実」

男と女の不都合な真実 コレクターズ・エディション [DVD]

the ugly truth

アメリカ

2009

09年9月公開

DVD鑑賞

軽いラブコメを見たいと思い、DVDがリリースされたばかりのこの作品を見てみました。

テレビの報道番組のプロデューサー、アビー(キャサリン・ハイグル)は理想が高くなかなか恋愛を成就させることができずにいた。あるとき、男が求めているのは体の付き合いだと豪語するマイク(ジェラルド・バトラー)が彼女の番組に出演することになり、セクハラ発言を連発。アビーは激怒するが、彼の出演により番組の視聴率は急上昇。

やがてアビーは片思い中の隣人コリンとの恋を成就させるため、マイクからの恋愛指南を受けるようになるのだが・・・

なんか、主要登場人物が出そろった段階で、どのような展開になるのかが全て分かってしまうような内容の薄い作品ですが、そこそこには楽しめました。

内容が内容なだけに下ネタも結構多いのですが、コメディとしての面白さはいまいちだったかなぁ。レストランの場面とかやりすぎなくらいの下ネタなのに、全然面白くないっていう・・・。笑いの趣味ってのは人それぞれですが。

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2010年2月17日 (水)

映画「ビハインド・ザ・サン」

ビハインド・ザ・サン [DVD]

behind the sun

ブラジル

2001

04年11月公開

DVD鑑賞

先日テレビでブラジルが特集されているのを見ていたら、ふと「セントラル・ステーション」が観たくなったのですが、どうせなら同じ監督によるまだ観ていない映画を観ようと考え直しレンタルしてきました。

舞台は1910年のブラジル北部の荒野。プレヴィス家とフェレイラ家は長年にわたり土地の権利を巡り争い、一族の誰かが一人殺されたら、その報復として相手の一族の者を一人殺すということ繰り返していた。

あるとき、プレヴェイス家の長男が殺されたため、20歳になる次男のトニーニョはフェレイラ家へと向かい兄の仇を討つ。しかし、それは次の満月に、フェレイラ家の誰かによってトニーニョの命が狙われることを意味していた。

無益な殺しの連鎖が続く中、弟を連れてサーカスを見に出かけたトニーニョはそこで芸を見せていた娘に一目ぼれしてしまうのだが・・・

原作はアルバニアの作家イスマイル・カダレによる「砕かれた四月」で、東欧からブラジルに舞台を置き換えて映画化したとのこと。この映画の面白さから考えると、原作はもっと面白いに違いないことが予想されます。うーん、原作が読みたいぞ。白水社かぁ。Uブックスで出してくれないかなぁ。

これはなかなか見ごたえのある作品でしたね~。

主役は次男ではなく、末っ子の三男のほうですかね。愛くるしい子役なのですが、最後の最後まで、美味しいところを全て持って行ってしまう役どころを非常に好演してました。

無益な復讐を繰り返す一家の息子たちがそれに疑問を感じ、自由な世界を夢見る姿を、静かなまなざしで描くんですが、サーカスの娘に恋をする次男も、字も読めないのに1冊の本の中に無限の世界を描き出す三男も、幸せな未来をつかんでほしいと祈らりながら見ていたところに、そうきたか、と唸ってしまうラストが待っていて何とも言えない余韻残りました。

さとうきびを絞る歯車を動かすために同じところを何度もぐるぐると歩かされている牛たちの姿がそのまま復讐を繰り返す一家の運命を象徴しているんですが、そんな牛たちでさえも自らの意思で動くのを目の当たりにした兄弟たちの行く末は必見です。

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2010年2月15日 (月)

「あめりか物語」 永井荷風

あめりか物語 (岩波文庫)

あめりか物語

永井荷風

岩波文庫 1952.11. (2002.11.改) 

original 1908)

以前読んだ「墨東奇譚」がなかなか良かったので、何か他の作品も読もうと思い、荷風2冊目です。

永井荷風はちょうど100年ほど前の20世紀初頭にアメリカとフランスに数年に亘って滞在しているんですが、そのときに書かれた短編集です。姉妹編として「ふらんす物語」もあるのですが、こちらはアメリカを舞台にした作品を集めています。

面白いのは、彼が残したものが旅行記ではなくて、自分が訪れた土地を舞台にした短編小説であったということ。粋なことをしてくれます。

100年前のアメリカの姿を垣間見ることのできるのはとても面白くて、人種差別のことや、日米の価値観の違いなどにもふれていて、なかなか興味深く読むことができましたね。彼はきっとこの国をそこまで好きではなったのではないかと思う。まぁ、旅の真の目的はフランス滞在のほうだったようですし。

あと、「墨東~」を読んだときに、荷風の情景描写の美しさにハマってしまったので、彼が当時のアメリカをどのように描くのかということをとても楽しみにしていたのですが、残念ながら、思ったほどではなかったかなぁ・・・。後半になると詩的な文章も多くなるんだけど、そこまでハマれず。「墨東~」よりも30年ほど前の若き日の作品なので、仕方ないのかもしれませんが。悪くはないんだけど、洗練されてないというか。(←何様なんだか・・・)

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2010年2月12日 (金)

映画「縞模様のパジャマの少年」

縞模様のパジャマの少年 [DVD]

the boy in the striped pyjamas

イギリス アメリカ

2008

09年8月公開

DVD鑑賞

マーク・ハーマン監督は『ブラス!』、『リトル・ヴォイス』、『シーズン・チケット』などTHE英国な作品が多いイメージの監督なのですが、そんな彼の新作はホロコーストを扱った作品ということでとても気になっていた1本です。

第2次大戦中のドイツ、8歳の少年ブルーノは軍人である父親が昇進し、ベルリンから郊外の土地へと引っ越してくる。屋敷の近くにはフェンスで仕切られた農場のような建物があり、ブルーノはフェンスの中にいるパジャマのような服装の人々のことが気になっていた。

やがて、ブルーノはフェンスの中にいる一人の少年と知り合うのだが・・・。

はぁ・・・。

この映画多分二度と観ません。

あまりにつまらなかったから、とかそういう理由ではなく、あまりに重かったので。

ラスト10分までは、かなり作品の世界にハマってしまって、完全に見入ってしまってたんですが、最後の最後でガツーンとやられてしまいました。コレに関しては後でもうちょい詳しく話します。

とにかく主人公の少年の瞳が素晴らしくて、少年の細かな心情がその瞳の中に見事に描かれていたように思います。物語も徹底した少年視点で描かれていて、彼の周りの世界がキラキラと輝いているのが感じられるような映像なのもとても良かったです。森を走り回る場面とかかなり好きでした。

これは、観るものにフェンスの中で起こっている出来事についてある程度の知識を持っていることが前提になっているわけで、子供視点で物語が描かれれば、描かれるほど、大人たちの様子に垣間見える真実に気づき、無垢な少年の頭の中にある世界とのギャップが強く感じられるつくり方はとても上手かったと思います。

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2010年2月11日 (木)

映画「ウェディング・ベルを鳴らせ!」

ウェディング・ベルを鳴らせ! [DVD]

Zavet

セルビア フランス

2008

09年4月公開

DVD鑑賞

昨年の公開時に面白そうだなぁと思っていた作品。セルビアなんて歴史の授業に登場するくらいで、人々がどのような暮らしをしているのかとか全然知らない国なので、それを見るだけでワクワクします。

エミール・クストリッツァ監督は非常に高く評価されている監督ですが、自分が観るのは『それでも生きる子供たちへ』(感想)の中の短編に続いて2作品目。ちなみに短編の『ブルー・ジプシー』は結構好きでした。

主人公は山間の村に祖父と2人で暮らす15歳の少年ツァーネ。少年の将来が気がかりな祖父から、街に行って牛を売ったお金で、聖ニコラスのイコンと何かお土産を買い、そして、花嫁をつれて帰るように言われ、ツァーネは一人町へと赴く。

町でたまたますれ違った少女ヤスナーに一目ぼれしてしまったツァーネは彼女にアプローチするが、マフィア達とのトラブルに巻き込まれてしまい・・・。という物語。

えっと、なんかとっても感想を書くのが難しい映画です。奇人変人大集合みたいな感じで、次々と現れる個性的なキャラクターたちが、笑うに笑えないコテコテのギャグを連発し、やたらと小ネタ満載な作品でした。でもって、全体的に牧歌的な雰囲気もあって、主人公の見た目が幼いこともあって子供向け映画のような感じもするのに、やたらめったら猟奇的で下ネタも満載なため、もう何がなにやらよく分からなくなってしまいました・・・。

日本で言うと、クドカンとか三木聡とかの作品のノリに近いと思うんですが、文化的な背景を共有していない為、笑いどころがつかみづらい部分も多く、結構置いていかれてしまったような印象です。

ベタな笑いの部分はベタすぎて、どこまで本気なのか心配になってしまうくらいだったんですが、それを理解したうえでその状況を笑えればもっと楽しめたのかなぁ・・・。スラップスティックなドタバタは嫌いじゃないんだけどなぁ。

あと、セルビアあたりは政情が不安定なイメージが強いんですが、内乱的な部分も風刺化して笑い飛ばしてしまっている箇所もあって、なかなか奥は深そうなのですが、イマイチつかみきれず。

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映画「きみの友だち」

きみの友だち [DVD]

きみの友だち

日本

2008

08年7月公開

DVD鑑賞

とても気に入ってる重松清の同名小説を映画化した作品です。(原作感想

フリースクールでボランティアをする恵美のもとを取材に訪れたジャーナリストの中原は彼女から少女時代の「友だち」たちとのエピソードを聞く。

交通事故に遭い足が不自由になってしまった恵美は、一緒に長縄大会の縄持ちになったのを機に、幼い頃から体が弱くクラスで浮いてしまっていた由香と親しくなる。

恵美と由香の友情を軸に、恵美が出会うクラスメートや弟の友人など、人間関係に悩む「友だち」たちの物語を描いていく・・・

うーむ、例えば英国作品なんかは映画化に満足いくことが割と多かったりするんですが、邦画の場合、かなりの率で物足りなさを感じることのほうが多いですねぇ。てか、邦画業界、原作モノが多過ぎだよぅ。

原作が連作短編だったので、当然全てのエピソードは拾われないとは思っていましたが、原作において自分がとりわけ気に入っていたキャラが出てこなかったりするとちょっと残念ですよね。堀田ちゃんに会いたかったよ・・・。

どの場面もとても自然に撮影されていて、台詞も聞き取りづらいような個所が結構多いんですが、ドキュメンタリのような臨場感が感じられて、重松作品の映画化としてはなかなか上手い手法なんじゃないかと思いました。

しかし、原作から選択したエピソードの選択にかなり物足りなさが。

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2010年2月10日 (水)

「アメリカン・スクール」 小島信夫

アメリカン・スクール (新潮文庫)

アメリカン・スクール

小島信夫

新潮文庫 2007.12.
(original 1967)

芥川賞受賞(1954年)の表題作を含む8編を収録した短編集。

これは面白いという評判をチラホラと耳にするので読んでみました。解説が保坂和志氏だというのもちょっとポイント高し。

うーん、この回の芥川賞は庄野潤三の『プールサイド小景』とのW受賞なんですが、自分は『プールサイド小景』のほうが好きかなぁ。てか調べたらこの頃って選考委員に佐藤春夫や川端康成が入ってるんですね。熱い。

全体的に戦争を題材にとっている作品も多くて、そのあたりと関連して敗北感と恥というのが強く描かれた短編集で、読んでいてちょっとどんよりとしたな気分になってしまうんですよねぇ。滑稽なまでの描写も多いんだけど、笑うに笑えない。

収録作品で一番面白かったのは一番最初の「汽車の中」かなぁ。てか、網棚の上に乗るって、今の日本では考えられないですよね。

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2010年2月 6日 (土)

映画「ココ・アヴァン・シャネル」

ココ・アヴァン・シャネル特別版 [DVD]

Coco avant Chanel

フランス

2009

09年9月公開

DVD鑑賞

突如、映画ブームが到来したシャネルの伝記。現在もストラヴィンスキーとの関係を描いたものが公開中ですが、いくつかある中で、自分が一番観たいと思ったのはこの作品。ストラヴィンスキーのもちょっと気になりますが。

孤児院で育ったココ・シャネル(オドレイ・トトゥ)は姉と2人でお針子をしながら、歌手になることを夢見ていた。あるとき、歌を歌っていたキャバレーで貴族のエスティエンヌ・バルザンに見初められ、やがて、彼女は彼の屋敷で暮らすようになる。上流階級の暮らしを垣間見ながら、自らの生き方を模索する彼女であったが・・・

シャネルの人生なんてこれまで全く知らなかったので、彼女がデザイナーとして成功することは知っていても、割と先の読めない展開の連続でなかなか面白く観ることができました。映像も美しくまとまっているし、シャネルという女性の魅力を伝えることに成功していて、なかなか良い作品だったと思います。

ただ、若き日の彼女を支えた男性たちとの物語と、彼女の卓越したセンスを描くことがメインになってしまっていて、「成功の秘訣」みたいな部分がほとんど描かれなかったのはちょっと物足りなかったかなぁ。それがこの映画の目的ではなかったということだと思うんだけど、最後、一気に成功してしまっていたので、もうちょっと成功に至るまでを観たかったかなぁと。

シャネルというブランドのことも全然知らないに等しいんですが、彼女が、20世紀初頭までのドレスで着飾る社交界ファッションから男性と変わらない機能的な現代女性の服装の基盤を作り上げたということにまずビックリ。

そして、フランスの愛人文化(?)も結構衝撃的でした・・・。

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2010年2月 5日 (金)

エンタ☆メモ 1・2月号

2010年からの新企画です。

都心でも積雪があったりして2月に入るやいきなり寒い日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

毎月はじめに、簡単な近況報告などを交えつつ、前の月のまとめ&その月の注目情報をメモしようと思いますので、どうぞよろしくお願いします。月ごとにまとめると、年末のまとめがしやすくなるのでは、という魂胆です。

■ 今月の1枚

このコーナーでは前の月に撮影した写真の中から1枚を選んで載せます。

と、思ってたのに、デジカメを見てみたら1月はろくな写真撮ってなかったのでいきなり今月はパス。2月はもうちょっと意識して何か撮ることにします。思いつきで企画を始めるからこういうことになる・・・。

 

以下つづきます。

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2010年2月 1日 (月)

映画「Dr.パルナサスの鏡」

オリジナル・サウンドトラック『Dr.パルナサスの鏡』 

the imaginarium of doctor Parnassaus

イギリス

2009

10年1月公開

劇場鑑賞

大好きなテリー・ギリアム監督の新作。予告の雰囲気が『バロン』っぽかったこともあり、とっても楽しみにしていた作品です。

舞台はロンドン。悪魔(トム・ウェイツ)との賭けに勝ち不死となったパルナサス博士(クリストファー・プラマー)は、娘や助手たちと共に移動式のトレーラーを使った見世物をしていた。博士がトランス状態のときに舞台上に置かれた鏡をくぐると、その奥に、くぐった者の頭の中にある想像と欲望の世界が広がっているのだ。16歳になったら娘を悪魔に差し出す契約をしていた博士は、再び悪魔と賭けをし娘を救おうとする。

同じ頃、橋で首を吊っていたところを助けた記憶喪失の青年トニー(ヒース・レジャー)が博士の一座に加わり見世物を手伝い始める。果たして、博士は悪魔との賭けに勝つことができるのか、そして、トニーの正体とは・・・。というお話。

ヒース・レジャーの急逝で代役3人が出演するということで、一体どんな感じになるのかとちょっと不安もあったのですが、鏡の世界という設定を見事に使って、違和感なく(ちょっと説明的なところもあったけど)つなげていましたね~。

ギリアム作品ってかなり癖が強いので、決して一般ウケするものではないと思っていたんですが、この作品も、一見分かりやすそうなストーリーでありながら、善悪が曖昧で、そこに「選択」という非常に難しいテーマをからめてきたりして決して簡単な作品ではなかったです。ラストもかなりブラックなところに落としてきたし。結構、きつい感じで悪意を描きますよね。ギリアムはそもそものモンティ・パイソンも人を選ぶところがあるからなぁ・・・。シニカルでシュールな英国コメディ、僕は大好きなんですが。

そんなわけでミニシアターになってもおかしくないような内容だと思うんですが(前作『ローズ・イン・タイドランド』なんか完全にマイナー映画になってますし)、豪華キャストのおかげで、ものすごい大きく公開されちゃって、しかも、結構ヒットしてることにビックリです。

鏡の世界はギリアム氏のイマジネーションが大爆発で『バロン』好きとしては大満足!そして、CG満載のファンタジー世界の素晴らしさだけじゃなくて、一座のトレーラーや博士の回想など現実世界の作り方もかなり好き。

余談ですが、このあたり、ティム・バートンだったらもっと異形満載で見た目をブラックに作りこんでくるところだよなぁ、なんて思ってみたり。どちらの監督も大好きなんですが、そのあたり4月の「アリス」と比べてみるのも楽しいかもしれませんね。

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