映画「縞模様のパジャマの少年」
the boy in the striped pyjamas イギリス アメリカ 2008 09年8月公開 DVD鑑賞 |
マーク・ハーマン監督は『ブラス!』、『リトル・ヴォイス』、『シーズン・チケット』などTHE英国な作品が多いイメージの監督なのですが、そんな彼の新作はホロコーストを扱った作品ということでとても気になっていた1本です。
第2次大戦中のドイツ、8歳の少年ブルーノは軍人である父親が昇進し、ベルリンから郊外の土地へと引っ越してくる。屋敷の近くにはフェンスで仕切られた農場のような建物があり、ブルーノはフェンスの中にいるパジャマのような服装の人々のことが気になっていた。
やがて、ブルーノはフェンスの中にいる一人の少年と知り合うのだが・・・。
はぁ・・・。
この映画多分二度と観ません。
あまりにつまらなかったから、とかそういう理由ではなく、あまりに重かったので。
ラスト10分までは、かなり作品の世界にハマってしまって、完全に見入ってしまってたんですが、最後の最後でガツーンとやられてしまいました。コレに関しては後でもうちょい詳しく話します。
とにかく主人公の少年の瞳が素晴らしくて、少年の細かな心情がその瞳の中に見事に描かれていたように思います。物語も徹底した少年視点で描かれていて、彼の周りの世界がキラキラと輝いているのが感じられるような映像なのもとても良かったです。森を走り回る場面とかかなり好きでした。
これは、観るものにフェンスの中で起こっている出来事についてある程度の知識を持っていることが前提になっているわけで、子供視点で物語が描かれれば、描かれるほど、大人たちの様子に垣間見える真実に気づき、無垢な少年の頭の中にある世界とのギャップが強く感じられるつくり方はとても上手かったと思います。
少年達の友情の描き方も、「親友」というわけではなくて、自己の保身のために裏切ったりするあたり妙なリアルさがありました。やっぱり、後ろめたさとかもあったんだろうなぁ。あと、映画を覗き見てしまう場面の入れ方も上手かったと思います。映画を観ているときの少年の瞳がまた・・・。
この映画、上映時間が短いですが、余計な場面がほとんどなくて、1つ1つの場面がちゃんと生かされてラストまでつながっていたのも良かったですよね~。
ただ、このラストは本当に賛否両論だろうなぁと。
以下ちょいネタバレっぽいので反転させてどうぞ。
観ながら、ちょっとは予想がつく展開になっていくんですが、子供主役の映画だし、いくらなんでもまさかそこまではやらないだろうと思いながら鑑賞し、ラストが近づくにつれ、まさか、本気でそのラストにしてしまうのか!?と心配し、でも心のどこかで救いを求めて観ていたところで静かに物語が閉じられてしまい、観終えて後はただただ呆然でした。
あまりに理不尽で不条理で、こんな展開で衝撃を与えるなんてのはあまりにやりすぎなのではないかと怒りさえ覚えそうになるんですが、それこそが、戦争の持つ不条理さそのものなんだろうな、と。信じられないような出来事が普通に起こってしまうんだろうな、と。
この作品の描き方は、あまりに強いインパクトを与えすぎるもので、ちょっと過激すぎるような気もしますが、戦争というものの不条理さはこんなものの比ではないのかもしれません。
しかし、なんか最後の最後まで純粋な瞳で手を取り合ってた少年の姿は・・・。この映画、二度目を観る勇気はやっぱりないなぁ。
幼い子供にどこまで真実を話すかというのはとても難しい問題だと思いますが、誰が悪いとかそういうわけではなくて、フィクションとはいえ、こういうできごとを描けてしまうところが、「戦争」というものの怖さなんだろうな、と思います。
それにしても、ドイツ人の皆さんの流暢な英国発音は聞きほれてしまうくらいでした(笑)
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