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2010年3月26日 (金)

「天来の美酒・消えちゃった」 コッパード

天来の美酒/消えちゃった (光文社古典新訳文庫)

天来の美酒・消えちゃった
(Jove's nectar/gone away)

アルフレッド・エドガー・コッパード
(Alfred Edgar Coppard)

光文社古典新訳文庫 2009.12.)

幻想短編を得意とするイギリスの作家コッパードが20世紀前半に発表した短編の中から11の作品を選んで収録した短編集。

1行、2行の間にものすごい勢いで展開してしまう話が多くて、その勢いのままラストを迎えてしまいなんだか狐につままれたような気分になる作品が多かったように思います。特に表題作になっている「消えちゃった」は読み終えてしばし呆然としてしまいました。

全体的にちょっと読みづらい1冊だったのですが翻訳の問題なのかなぁという気が。新訳文庫で南條氏が翻訳した他の作品も同じようにちょっと読みづらかったように思います。

以下収録されてる作品から印象に残ったものに軽くコメントを。

「消えちゃった」

とてもインパクトのあるタイトルですが(ちょっと軽すぎる気もするけど)、まさにこのタイトル通りの物語。

不思議な世界に足を踏み入れたと思ったら、あれよあれよと消えちゃった。という感じです。読み終えた後はあまりの唐突っぷりにしばし呆然としてしまいました。

 

「天来の美酒」

なんだかしらないけれど、無茶苦茶美味しいらしいそのエールを飲んでみたいです。

「マス」のマークを使ってましたが、原文はどうなってるんですかねぇ。

 

・「去りし王国の姫君」

たった1行でさらりと語られる衝撃の急展開に驚いてしまいました。あまりの唐突さに悲嘆にくれる姫君を受け入れるのにさえ時間がかかってしまいましたよ。

でもなかなかに幻想的な美しさが感じられる物語で結構好き。

・「おそろしい料理人」

たかだかキノコで・・・。ただ、そこまで恐ろしくなかったような。

 

・「天国の鐘を鳴らせ」

中編といってもいいような長さのある作品でしたが、次々と自分の生き方を求めて職を変えていく主人公がなかなかに面白い作品でした。天賦の才をどのように使うのが本当の幸せなのか、素直に芝居を続けているのが一番良かったのではないかと思うのですが、どうなんですかねぇ。

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