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2010年3月13日 (土)

「水銀灯が消えるまで」 東直子

水銀灯が消えるまで (集英社文庫)

水銀灯が消えるまで

東直子

集英社文庫 2010.2.

歌人である作者の小説デビュー作品の文庫化。

「コキリコ・ピクニックランド」という架空のテーマパークが全ての作品に登場する連作短編集で、どこか居場所のない人々を描いていました。

歌人ということなので、もうちょっとみずみずしい感性に溢れた文体なのかと思ったのですが、特にそんな感じでもなかったかなぁと。全体を包み込んでいる、すぐにでも壊れてしまいそうなあやうい空気感の表現は上手かったです。

舞台となるピクニックランド、日本一長いゴーカートがあって、スライダーや観覧車があるって、モデルになってるのは相模湖ですよね。大学の時のサークルで毎年泊りがけで遊びに行ってた場所なので、ちょっと懐かしい気分に浸りながら読んでしまいました。

収録作品で印象に残ったものに軽くコメント。

・『長崎くんの指』

一番好きなのはこれかなぁ。主人公が長崎くんを見つめる様子やら、閉園になるテーマパークという題材やら好きな要素が多かった。

ただ、最後に『長崎くんの今』という短編があるんだけど、これは完全に蛇足だと思いました。長崎くんはミステリアスな消え方をしたから良かったのに・・・。

 

・『道ばたさん』

これも結構好きなお話。でも、「だから何?」な感じがしないでもない。

 

・『横穴式』

これ、怖いよ・・・。ラストの落とし方が「え?どうなっちゃうの!?」って感じで、かなりホラーな感じだったのでなおさら。最初、彼は長崎くんなのかとか勝手に思ってしまってた自分。

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