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2010年4月28日 (水)

映画「第9地区」

第9地区 [DVD]

District 9

アメリカ 南アフリカ

2009

2010年4月公開

劇場鑑賞

アカデミー賞の作品賞候補だった中でも一際異彩を放っていて、とっても観たかった1本。

1983年、ヨハネスブルグ上空に出現した巨大宇宙船がそのまま動かなくなってしまい、船内取り残された宇宙人たちは保護され、難民として第9地区と呼ばれる地区に隔離されることとなった。

現在、その容姿から「エビ」と呼ばれる宇宙人たちが暮らす第9地区はスラムと化し、犯罪や争いが絶えず、MNUという機関によって管理されていた。そんなあるとき、都市から離れた場所にある第10地区に宇宙人たちを移住させることとなり、MNUの社員であるヴィカスはリーダーとして第9地区に暮らす宇宙人たちを戸別訪問して回ることに。その際、宇宙人の家で謎の黒液体を浴びてしまったヴィカスの体に異変が起こり・・・

これは舞台が南アフリカになっていることからも明白で、第9地区ってのは、隔離政策を風刺した設定なんですが、宇宙人たちを使うことでもっと徹底的に皮肉ったブラックユーモアあふれる作品なのかと思っていたら、それは冒頭の疑似ドキュメンタリーの部分だけで、後半に行くにつれてアクション映画度がどんどん増してしまっていて、ちょっと肩すかしだったかなぁ。

ただ、宇宙人をこのように描いた発想の上手さはやっぱり評価できるところだと思います。黒人グループを上手く出してきて(この世界ではアパルトヘイト継続中?)、魔術的な信仰と宇宙人たちとの絡め方なんかも上手かったなぁと思います。

でやっぱり、冒頭の擬似ドキュメントになってるところが非常に面白いんですよね。さらに言うと、黒人たちが英語を喋ってるのにそこに英語字幕を出すという演出もブラックな風刺が感じられました。

でも、次第に、ドキュメンタリのカメラが映しえない映像が増え始めてしまい、疑似ドキュメンタリ部分とそうでない部分が入り混じるようになってしまって、この映画の立場がちょっと曖昧になってしまったように思います。最後の最後まで徹底してドキュメンタリにしてしまって、「再現映像」とかを織り交ぜるような作りでも良かったんじゃないかと思う。

でも、後半のアクション、実は結構楽しんで見てました。血なまぐさい映像が苦手な自分としては、目を覆いたくなる場面も多かったですが。まさか日本のアニメみたいなロボット(パワードスーツ?)が出てくるとは思わなかったし。でも、あのロボ、起動するときだけあんなに強かったのに、その後自動操縦みたいな機能はなかったんですかねぇ。

ヴィカスが終盤になってもやっぱりダメダメ人間なんだけど、彼が勇気を振り絞る展開なんかも面白い。しかし、ラスト、急にヒューマンドラマになってしまって、うっかり感動までしちゃいましたが、やっぱり冒頭のブラックユーモアに溢れた演出から比べて最後のシーンではちょっと軸がぶれてしまったような気がしないでもない。非常にハリウッド的なところに着地してしまったというか。

3年後の約束はどうなったのかが結構気になるところですが、もしかして続編があるんですかねぇ。

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コメント

こんばんは~!
何だかいろんなものを試してみました~的なてんこ盛り映画でしたね。
ドキュメンタリー調で幕を開け、社会派、スリルとサスペンス、アクションに、最後はヒューマンタッチの親子愛と友情、最後まで楽しめました。

しかし、エイリアンにヒューマンタッチってのも変な表現かもしれませんね( ´艸`)プププ

投稿: ryoko | 2010年5月 5日 (水) 20時33分

>ryokoさん

もうちょっと硬派でブラックユーモアにあふれた作品だと
思っていたので、
エンターテイメントに溢れた内容にちょっとビックリしてしまいました。
最後はヒューマン(笑)系の展開に思わずほろりとさせられましたし。

でも、3年後の続篇があるなら、是非見てみたいです。

投稿: ANDRE | 2010年5月 6日 (木) 23時58分

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