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2010年5月

2010年5月31日 (月)

映画「アリス・イン・ワンダーランド」

ALiCE IN WONDERLaND

Alice in Wonderland

アメリカ

2010

2010年4月公開

劇場鑑賞

感想を書くのが大分遅れてしまいましたが、3週間ほど前に劇場に鑑賞してきました。

3Dでの鑑賞だったんですが、眼鏡on眼鏡が上手くできないタイプの眼鏡だったので、鑑賞中ずーーーーっと手で3Dの眼鏡を抑えなければならずちょっと(?)疲れてしまいました・・・。

19歳のアリス・キングスレーは出席したパーティで突然皆の前で婚約を宣言されてしまう。戸惑う彼女は眼の前を走り抜けていった白ウサギを追いかけ穴の中へと落ちていく。

穴の下には小さな部屋があり、その部屋を抜けた扉の外には不思議な世界が広がっていた。不思議な生物たちが、アリスのことを「あのアリス」と呼ぶのだが、当のアリスは何の覚えもなく人違いされているのではないかと戸惑うばかりだったが・・・。

実は『不思議の国のアリス』&『鏡の国のアリス』は大好きな小説で、子供のころから何度となく読み返して、本棚には日本語訳だけでも5種類くらい並んでるし、原書でも読んだし、その他関連書籍も多数持っていたりします。

一方、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』をはじめとして、バートン作品も大好きなのでこの作品は企画が立ったというニュースを読んだ数年前から猛烈に楽しみにしていた1本です。

で、感想ですが、鑑賞前に悪い評判もちらほらと耳に入ったんですが、個人的にはかなり楽しめました。

一番の不満は登場人物の皆さんが割と「普通」で、ナンセンスっぽさがあまり感じられなかった(特に帽子屋)ところかなぁ。不思議の国の住民は筋の通ったことを喋ってはいけません。なので、この映画は原作の登場人物の名前と見た目を使用した全く別のファンタジー映画として観る必要があって、そう思えば結構楽しめる、そんな作品だったと思います。

しかし、至る所に登場する原作ネタにニヤニヤしっぱなしで・・・。

とりわけ、ジャバウォックの詩が原作だといっても良いくらいの扱いで登場したのが嬉しかったですね~。巻物のテニエルを踏襲したイラストだとか、モンスターの造形だとか、細かな固有名詞だとかが映像化されてるのを見ているだけでワクワクしちゃってました。

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2010年5月17日 (月)

「Sightseeing」 Rattawut Lapcharoensap

Sightseeing: Stories

Sightseeing

Rattawut Lapcharoensap

2005

(邦訳:『観光』
 ラッタウット・ラープチャルーンサップ
訳:古屋美登里
ハヤカワepi ブック・プラネット) 

邦訳が発売された当初から絶賛の声をいたるところで聞いていた作品で、このブログでもコメント欄でご推薦いただいたこともあって、自分もとっても気になっていた1冊。

短編ということで読みやすいのではないかと思い、せっかくなので原書でチャレンジしようと思ったのですが、割と大き目の書店の洋書売り場をのぞいてもなかなか現物を目にすることがなく(洋書は英語のレベル確認も含めてちゃんと中身をチェックしてから買いたい)、どうしようかなぁと思っていたところ、新宿の紀伊国屋さんにて平積みになっているのを発見!おりしも、「ワールド文学カップ」開催中だったので、もしや連動して大量入荷したのか!?などと勝手に妄想しつつ、無事購入に至りました。

さて、収録されているのは7作品。

著者は79年生まれの、アメリカ生まれのタイ育ちの若い作家で、収録されているどの短編もタイを舞台にしています。この作品が2005年の出版なので、20代前半頃に書かれた作品が多いのではないかと思うのですが、噂にたがわずどの作品もかなりのクオリティの高さ!

作者の年齢が若いこともあって、少年が大人になる瞬間を描くのがとても上手いなぁという印象です。

基本的にどの作品もとてもシンプルな表現ながら、読み手の語感をダイレクトに刺激してきて、かなりの現実味を持って作品世界を感じることができました。表題作のタイトルにあるように、この本を読んでいるその瞬間、まさにタイという国を「観光」できる、そんな力強さを持った作品だったと思います。

あまりに面白かったので、いつもとは違って、全ての作品に感想を書いてみました。

以下、やや長めですが、どうぞ。

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2010年5月15日 (土)

映画「九月に降る風」

九月に降る風 [DVD]

九降風

台湾 香港

2008

2009年8月公開

DVD鑑賞

昨年ちょっと気になっていた台湾の青春映画。

舞台は1996年の台湾。

ハンサムで女子からの人気も高いリーダー格のイェンを中心に3年~1年まで同じ高校に通う学年の違う7人の仲間たちは、時にいたずらが過ぎることがあり、呼び出しの常連であった。

あるときイェンがナンパした女性の彼氏が彼らの前に現れ、騒動の末に仲間の一人であるタンが負傷してしまう。それ以降、いつも一緒に過ごしていた彼らの絆に少しずつ溝が広がり始めていく・・・

高校の問題児グループという設定ではあるんですが、日本のいわゆるヤンキーとか不良とかとはちょっと違った雰囲気で、基本的に、見た目も良い子そうだし、やることも、そこまで悪くないので、近所にいそうな少年たちの姿は割と親しみやすかったです。

てか、学校一の問題児たちでこの程度だったらとっても平和な学校に違いない。

仲良しグループが学年の枠を越えているという設定なんですけど、彼らがどういうきっかけでつるむようになったのかなんかをもうちょっと掘り下げてくれると、もうちょっとその彼らの友情に深く入り込むことができたかなぁと思います。

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「猫の客」 平出隆

猫の客 (河出文庫 ひ 7-1)

猫の客

平出隆

河出文庫 2009.5.
(original 2001)

先日読んだ「ひとり日和」の後ろの河出文庫の既刊紹介に載っているのが目にとまり面白そうだなと思い手に取った1冊。

語り手である主人公は稲妻小路と名付けた通りにある屋敷の離れに妻と二人で間借りして暮らし始める。あるとき、隣家で子猫を飼い始め、その猫が頻繁に主人公の暮らす離れを訪れるようになる。その猫をチビと呼び、夫妻は次第にその存在を愛おしく感じ始めるのだが・・・。

どこまでフィクションなのかがほとんど分からない私小説ですが、自然描写をうまく練り込んだ文章がなかなかに心地よい作品。

家も猫も自分のものではないけれど、主人公夫妻の心にしっかりとその存在が刻まれ、なくてはならないものになっていく。基本的に可愛がるだけで良いので、こういう風によその家のペットを可愛がるというのは多分に良いとこどりなんだろうなぁ、とか思ってみたり。

ただ、多少のいざこざがあったとしても、このように文章の形となって、家も猫も持ち主がいなくなってしまった後でさえも、その存在が永遠に生き続けるというのはなんとも味わい深いものです。

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2010年5月10日 (月)

映画「ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式」

ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式 [DVD]

death at a funeral

アメリカ

2007

2009年8月公開

DVD鑑賞

フランク・オズ監督のコメディということでなかなか評判も良かったので気になっていた1本。

舞台は英国。主人公ダニエルは父が亡くなり間もなく始まる葬儀を取り仕切るので大忙し。人気作家の弟ロバートがNYから戻ってくるが、弔辞はダニエルが読むことになったため、緊張が隠せない。

ダニエルの従姉マーサは婚約者サイモンを連れ、弟トロイとともに葬儀を訪れるが、サイモンは精神安定剤と間違えてトロイの持っていたドラッグを飲んでしまう。

葬儀が始まり、親戚が集まる中、ダニエルは見慣れない男ピーターの存在に気づく。はたしてピーターは一体何者なのか・・・。個性豊かな親戚たちによって続出するハプニングの中、果たして葬儀を終えることはできるのか!?という物語。

監督がもともと英国出身ですし、舞台がロンドンということもあって、英国的なコメディセンスが強く感じられるブラックユーモアにあふれた作品でとても面白かったです。

実際、本当に曲者なキャラはそんなに多くないなのに、あれこれタイミングが悪いことが続いて、連鎖的にハプニングが続出していく様子はテンポもよくて飽きさせません。

冒頭、結構登場人物が多くてちょっと大変かなぁとか思っていたんですが、それぞれのエピソードが割と独立しているので群像劇としても観やすかったですね~。

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2010年5月 9日 (日)

エンタ☆メモ 4-5月号

GWに風邪をひいてしまい、完全にダウンしてしまったこともあり、やや遅くなりましたが今月のエンタ☆メモです。

4月はこれまでの生活に加えて、新しく仕事をすることになり二足の草鞋となったので、慣れないことも多くててんやわんやの一ヵ月となりました。

新しい仕事は通勤に片道2時間以上かかるので、読書時間が増えると思っていたんですが、疲れてしまってウトウトしてしまうことのほうが多かったかもしれません。

そんなこんなですが、4月に堪能したエンタメのまとめと5月に期待するエンタメ情報をφ(..)メモメモ。

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2010年5月 3日 (月)

映画「プレシャス」

Precious

precious
based on the novel Push by Sapphire

アメリカ

2009

2010年4月公開

劇場鑑賞

今年のアカデミー賞で話題になっていた作品。作品賞候補の10作品の中で是非とも観たい!と思った3本のうちの1本です。

主人公クレアリース・"プレシャス"・ジョーンズは実の父親との間の2人目の子供を妊娠し、学校を退学させられ、家では生活保護を当てにし、働かずに1日中TVの前に座っている母から冷たい仕打ちを受けていた。過酷な状況下で、彼女は人付き合いをせず、ただ自分が有名スターになる妄想の世界に逃げる日々を過ごしていた。

そんな折、彼女は「Each One Teach One」というフリースクールに通い始め、そこで出あった教師のレインやクラスの仲間たちと過ごすうちに人生が少しずつ変化し始める・・。

ものすごく良い映画でした!

いや~、これはプレシャス役の女優によっては評価がかなり左右されてしまう作品だとは思うのですが、プレシャスを演じたガボレイ・シディベは、外見や表情や仕草など、プレシャスというキャラクターに見事なリアリティを与えてくれていて、アカデミー賞ノミネートも納得。

プレシャスと言う呼び名が皮肉すぎるくらいに、世の中の考え得る過酷な状況をこれでもかというくらいに背負わされた主人公を描いている映画ですが(後半なんか、さらにそんなことまで!と不幸の押し売りに驚くばかり)、観ていてそれほど重さを感じないのは(十分重いんだけど)、彼女の心の世界に広がる夢を見せてくれるからでしょうね。

時には現実逃避の手段ともなっている彼女の妄想ですが、学校の先生への片思いやスターへのあこがれなど、前向きな夢を持っている限り、この少女はまだ大丈夫だな、という安心感を感じさせるのかもしれません。

この映画はこの妄想映像と過酷な現実とのバランスのとり方が非常に上手くて、原作付の作品ではあるけれど、原作は読んでませんが、映像化の方法としてはかなり成功しているのではないでしょうか。

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映画「シャーロット・グレイ」

シャーロット・グレイ [DVD]

Charlotte Gray

イギリス オーストラリア

2001

2002年2月公開

TV録画鑑賞

この映画観たのに、すっかり感想を書き忘れてました。3年近く我が家のHDDレコーダーに録画されて眠っていたものをようやく鑑賞。実は劇場公開時からずっと観たかった作品です。

第2次大戦中のロンドン、看護婦のシャーロット(ケイト・ブランシェット)は、パーティ会場で出会った青年ピーターと恋に落ちるが、間もなく空軍に所属する彼はフランスでの任務へと旅立ち、消息を絶ってしまう。

同じころ、フランス語が堪能な彼女はフランスでのレジスタンス運動の諜報部員に誘われ、その話を引き受ける。そして、厳しい訓練を終えた彼女は、フランスの山間の小さな村へと降り立ち、地元のレジスタンスのリーダーであるジュリアンらと共に活動を開始するのだが・・・。

ケイト・ブランシェットの存在感がとにかく凄い!!

もともと好きな女優TOP3に入る勢いで好きなんですが、ますます好きになってしまいましたね~。

ただ、この映画、とても残念なのが、フランス人が全員英語を話すこと。そもそもこの作品では主人公が諜報部員としてフランスに潜伏しているわけで、場面によって彼女が英語を話したり、フランス語を話したりすることで、彼女の活動が明確になるはずなのに、フランス語を話しているであろう箇所も全て英語になっているためものすごい違和感がありました。最初にフランスの村に到着したとき、ジュリアンが英語で話すものだから彼は英国の諜報部の仲間なのかと思ってしまったし・・・。

彼女の諜報活動が割とゆるい感じだったんですが、派手なことをしたらすぐにバレてしまいますし、実際はあんなものなのかもしれませんね。

消息を絶った恋人や、英国から来た者としてフランスの「仲間たち」との立場の違いなど、彼女の精神的な苦悩がしっかりと描かれていて、エンターテイメント性を保ちながら、戦争映画としても色々と考えさせられる深さがあり、作品自体はなかなか面白かったです。

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「麗しのオルタンス」 ジャック・ルーボー

麗しのオルタンス (創元推理文庫)

麗しのオルタンス
(la belle Hortense)

ジャック・ルーボー
(Jacques Roubaud )

創元推理文庫 2009.1.
(original 1990)

現在、新宿の紀伊国屋書店にて大好評開催中の世界文学ワールドカップの会場にてウリポの枠で選出されていた1冊。なにやらとても面白そうな雰囲気を感じその場の勢いだけで買ってしまったんですが、これがまたなかなかに愉快な1冊でした。

舞台は金物屋が夜間に侵入され店内に鍋が散乱する<金物屋の恐怖>事件に揺れるパリの一画。哲学を専攻する麗しき女学生オルタンスは偶然出会った青年モルガンと恋に落ちるのだが…。

事件を担当する警部のブロニャール、事件に首を突っ込む若きジャーナリストのモルナシエ、大学で哲学を教えるオルセル教授、個性豊かな商店の人々、そして高貴な猫アレクサンドルウラディミロヴィッチら様々な人物が入り乱れる中、明らかになっていく事件の真相とは!?

著者が語り手となるキャラクターたちに振り回され、さらにそこに編集者がツッコミを入れたり、はたまた、読者まで登場し、メタ小説的な要素に溢れた作品なんですが、この物語をさらに面白いものにしているのは、もはや<金物屋の恐怖>事件なんてどうでも良いのではないかという勢いでどんどん脱線しつつも必死にミステリ小説の体裁を保とうとする、なんとも愉快なノリ。

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