「配達あかずきん」 大崎梢
配達あかずきん 大崎梢 創元推理文庫 2009.3. |
先日読書好きの友人から、結構面白いと推薦された1冊。
駅に隣接するビルの中にある書店「威風堂書店」を舞台に、書店員たちが、身の回りで起こる書籍にまつわる謎を解いていく日常ミステリ短編集。
実は、過去に書店でバイトをしていたことがあるので、書店の仕事について書かれた部分に、そうそう!、と頷いたりして、なかなか楽しく読むことができました。
特に第1話冒頭の本の問い合わせのくだりなんかは、自分も非常に苦労したことがあったり、自分の知識を駆使してミラクルを起こしたこともあったりで、当時を懐かしく思い出しました。(余談:その後、CD屋でもバイトをしたんですが、本の問い合わせ同様にCDの問い合わせも結構やっかいなのが多かったです。いきなり歌われたりとか・・・。)
あと、この作品を面白くしているのは、実在の書名をふんだんに登場させているところですね。読書好きならば、次々と現れる書名&作者名に心ときめくこと間違いなしです。
そんなわけで、書店関係の部分では結構楽しめたんですけど、残念ながら、肝心のなぞ解き部分がちょいと物足りなかったかなぁというのが正直な感想。色々と推理を進めるわりに、最終的な解決が主人公たちの働きによってもたらされるんじゃなくて、成り行き任せで事件が解決してしまうエピソードが多かったんですよねぇ。もうちょっと、事件の解決に積極的に関わってくれるほうが自分は好きかなぁ。
あと「○○な人はこういう本は読まない」という台詞が結構登場して、何故あの人がこの本を読んだのか?みたいなことを考える場面が多かったんですが、そういうステレオタイプな分類をするのは自分はあまり好きではないです。
ちなみに「六冊目のメッセージ」のエピソード中で、あるお客さんに全くジャンルの異なる5冊の本を薦めた店員が誰なのかを探すんですが、自分はこの5冊、「4勝1敗」でした。てか、この5冊を全部知ってる書店員はなかなかいないというような書きっぷりだったんですが、そこまでマニアックなチョイスですか!?(たまたま自分が4冊知ってたからそんな気になってるだけかもしれませんが。)
色々書きましたが、続篇も数冊出ているようなので、気が向いたらまた読んでみようかなと。書店が舞台という魅力はやっぱり強い。
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