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2010年6月 9日 (水)

「The Road」 Cormac McCarthy

The Road (Vintage International)

The Road

Cormac McCarthy

2006

(邦訳:『ザ・ロード』
 コーマック・マッカシー
ハヤカワ文庫epi) 

近々映画版も公開されるコーマック・マッカシーのピュリッツァー賞受賞作。

TIME誌が選ぶこの10年の書籍で堂々の1位を獲得していたので、それならば読む価値はあるのではないかと思い頑張って原書で読んでみました。

崩壊してしまった灰色の世界をさまよう父と息子。彼らはショッピングカートに最低限の荷物をのせて、未来への希望を探し、ひたすら南を目指して旅を続ける。

 
なんというか、終始全くトーンが変わらず、ひたすら父子が荒涼とした土地を歩き続けるだけの話で、たまにちょこちょことイベントがあるんですが、そのイベントの前後で何かが変わるかといえば、そういうこともなく、どんな目にあっても、どんな人々と出会っても、ただひたすら自分の信念を貫いて、歩き続けるという内容で、結構読んでいるほうもそれなりの体力が必要だった印象です。

決してつまらなくはなかったんだけど、ひたすらどんよりとしていて、たまに父子の会話が微笑ましい以外は基本重いので、なかなか読み進まなくて読むのにも結構時間がかかってしまいました。

先の見えない暗闇を模索してさ彷徨っている感じが今の時代と見事にマッチしているのかもしれないけれど、こんな作品が10年間の1位に選ばれてしまうという時代というのはちょっと淋しいです。

ラストもちょっと切ない展開なんですが、はたして明るい未来があるのかといえば、その辺も自分にはそこまで希望が感じられなかったので、結局どんよりしたまま全てが終わってしまったかなぁと。大体、彼らが善人かどうかも分からないし・・・。

コーマック・マッカシーは映画の『ラストカントリー』は観たんですが、作品を読むのは今回が初。意外にも詩的な文体だったのでビックリ。

時に情緒さえ感じさせる文体で、淡々と語られる父子の旅は、必死に子供に人間としての尊厳を忘れさせまいとする父の姿は確かにぐっとくるし、2人の会話もとても良かったんですが、自分にはちょっと重すぎたかなぁ。ずっしりと何かを感じさせてはくれるんだけど、もうちょい起伏が欲しかったというか。多分もう50ページくらい長かったらリタイアしてましたよ・・・

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