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2010年8月

2010年8月27日 (金)

映画「抱擁のかけら」

抱擁のかけら [DVD]

los abrazos rotos

スペイン

2009

2010年2月公開

DVD鑑賞

公開時から気になっていたスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督作品。

かつて事故で視力を失った脚本家のハリー・ケイン(ルイス・オマール)は、古い知り合いである実業家のマルテルが亡くなったことを知り、時を同じくして、マルテルの息子が彼のもとに脚本を依頼しに訪れる。

14年前、マルテルの愛人であった女優志望の美女レナ(ペネロペ・クルス)はかつてマテオという名で映画監督をしていたハリーの作品の主演女優に抜擢され、マテオはレナの美貌にひかれていったのだが・・・

ミステリ調の展開に途中までは、物語がどのように展開するのかが全く読めなかったので、結構面白く観ていたんですが、最終的に、三角関係のドロドロ恋愛の行く末を描くところで落ち着いてしまったので、物語的にはそこまではまることができなかったかなぁ。

ま、でもこの物語でラストまでしっかり惹きつけられたのも事実なので、映画としてはよくできているのかもしれません。雰囲気はとても良かったし。

でも、ペネロペ・クルスの魅力が今回はそこまで引き出されていなかったように思う。

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「夜間飛行」 サン=テグジュペリ

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

夜間飛行
(vol de nuit)

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
(Antoine de Saint-Exupéry)

光文社古典新訳文庫 2010.7.
(original 1931)

以前から気になっていた作品が古典新訳文庫で出版されたので、これを機に読んでみることにしました。

新潮文庫の堀口大學訳&宮崎駿表紙も魅力的だったんだけどね。

舞台はパタゴニア。ブエノサイレスへと帰還する夜間郵便飛行のパイロット、ファビアンの操縦する飛行機は暴風雨に巻き込まれてしまう

地上では社長のリヴィエールの厳しい指揮のもと航空会社の部下たちは夜を徹して地上での任務にあたっていた・・・

いやはや、熱いドラマを堪能することができました。なんか良質のドキュメンタリー番組を見ているかのような男たちの仕事っぷりがとにかく熱い。

そして、人間たちの描写とは対照的に、詩的な表現で描かれる雄大な大自然の姿がまたとても良いのですよ。はっとするような描写がいたるところにあって、特に空から見た大地の描写は、サン=テグジュペリが実際にパイロットであったと思うと、その描写にものすごい説得力を感じ、読みながら何度も胸が熱くなってしまいました。

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2010年8月25日 (水)

映画「ペルシャ猫を誰も知らない」

 

Kasi Az Gorbehayeh Irani Khabar Nadareh

( no one knows about Persian cats )

イラン

2009

10年8月公開

劇場鑑賞

音楽を題材にした映画で気になるものはやはり劇場で、ということで渋谷にて鑑賞してきました。平日の昼間でしたが、中高年層を中心に一人客が多くて、意外にもなかなかの盛況ぶりでした。

イランでは、反イスラム的な音楽を演奏することが許されず、政府がミュージシャン達の活動を厳しく規制している。

そんな中、インディーズ・ロックを愛するアシュカンとネガルは国を離れて、ロンドンでライブをしようと、偽装ビザとパスポートを手に入れるために、便利屋のナデルのもとを訪れる。

彼らの音楽を気に入ったナデルは、彼らが国を離れる前にコンサートを開くことができるよう協力するようになり、彼らは一緒に音楽をするための仲間を探し、アンダーグラウンドで活動しているミュージシャン達を訪ねて回るのだが・・・

この作品、一応フィクションということになっていますが、扱っている題材が題材なだけに、バフマン・ゴバディ監督によりゲリラ的に撮影され、作中には実際に音楽活動をしているミュージシャンたちが多数登場し、主演の2人と監督は、撮影終了後にイランを離れたとのことで、ドキュメンタリー的要素も多く含まれ、それが故に、心に響く力強い作品になっていたと思います。

歌詞の内容に関して規制が加わるってのはまだ理解できるんだけれど、女性が3人いなきゃダメだとか、もしかしたらそれなりの理由もあるのかもしれないけれど、それだけ聞くと結構謎な規制も登場して、そんな中で自分のやりたい音楽、そしてそれを通して伝えたいことをしっかりと伝えようとする人々の凛とした姿は皆さんとてもかっこよかったです。

音楽活動が厳しく規制されているとはいえ、今の時代、インターネットなどもありますし、海外の音楽も大量に流入しているようで、作中に登場するミュージシャン達の音楽は、ジャンルもロックのみならず、ラップやら、伝統的な感じの音楽も登場し、バラエティに富み、どれもこれも、結構好きな感じの曲が多かったのが嬉しかったですね。シガーロスに憧れてるとか言ってたし。

まさに、音楽は国境を越える、というのを強く感じることができる作品でした。

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映画「新しい人生のはじめかた」

新しい人生のはじめかた [DVD]

last chance Harvey

2008

2010年2月公開

DVD鑑賞

この2人が主演というだけでちょっとワクワクしてしまうラブストーリー、公開時から気になってた1本です。

アメリカ人のハーヴェイ(ダスティン・ホフマン)はCM音楽の作曲家をしていたが、仕事が上手く進まず、世代交代の時期にさしかかっているのを感じていた。そんな折、離婚した妻とその再婚相手と共に英国で暮らしていた娘が結婚することになり、ハーヴェイは結婚式に出席するためにロンドンを訪れる。

空港でアンケートの調査員をしているケイト(エマ・トンプソン)は気づけば婚期を逃し、近所に暮らす母親の相手をする日々が続いていた。

娘からヴァージンロードは元妻の再婚相手である義父と歩きたいと言われ、仕事のために披露宴には出ずにいたつもりが、その仕事もダメになってしまったという連絡を受けたハーヴェイは空港の喫茶店で、近くに座ったケイトに声をかけ愚痴をこぼし始めるのだが・・・

欧米の恋愛映画って、出会って数時間後にはベッドインみたいな展開に目を丸くすることも多いですが、ここまで年齢が上がると、そんなこともなく、しっとりと落ち着いた大人の出会いを描いているので、日本人的感覚からすれば、安心して見られる作品でしたね。

ラブコメ的明るさに溢れてるわけでもなく、特に派手なエピソードがあるでもなく、重い問題を扱うでもなく、目新しさもないんだけれど、何年かに1本はこういう映画があっても良いよね、という感じのラブストーリーでした。

ただ、まだ20代なのに、こんな映画を楽しんで観てしまう自分ってどうなの!?という気がしないでもなく・・・。

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2010年8月24日 (火)

「最後の命」 中村文則

最後の命 (講談社文庫)

最後の命

中村文則

講談社文庫 2010.7.
(original 2007)

昨年刊行の「掏摸」が話題となった芥川賞作家、中村文則の作品です。

主人公の青年は長く疎遠になっていた幼馴染の冴木から連絡をもらい、久々に彼と会うことになる。そして、それから間もなく、主人公の部屋で女性の死体が見つかり、彼は冴木が指名手配されていることを知る。

主人公と冴木は小学生時代に衝撃的な光景を目撃し、以来、それがトラウマとなっていたのだが・・・

これまで読んだことのある「銃」、「土の中の子供」と同様に、とても読みやすい文体ながら非常に重いテーマを扱っている作品でした。相変わらず、丁寧すぎるくらいに説明的な饒舌な文章が気になったり、エピソードがあまりに「できすぎ」(小説だから構わないんだけど)な気もするんですが、作者の書こうとするテーマがとてもまっすぐの伝わってくる1冊だったと思います。

小学生時代のトラウマがそのまま、中学生時代の事件、そして、現代の主人公と冴木の心の中にいつまでも残り、彼らの人生に暗い影を落とし続けるという物語で、社会的・道徳的には許されることではなくとも、自らの、性質、性格、性癖といった「性」に苦しむ姿はなかなかの読みごたえ。

しかし、どんなに歪んでいても、彼らは自らの「性」と向き合い生きていかなくてはならず、ここで描かれる狂気とも見られかねない行動を我々は完全に否定することができるのか、決して共感はできないけれど、心の片隅に何かが引っ掛かる読後感に心がヒリヒリする作品でした。

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2010年8月21日 (土)

映画「セブンティーン・アゲイン」

セブンティーン・アゲイン 特別版 [DVD]

17 Again

2009

2009年5月公開

DVD鑑賞

近所のレンタル店にて自分が行く時はずーっと貸し出し中だった作品をようやく借りることができました。

主人公マイク・オドネル(ザック・エフロン/マシュー・ペリー)は、高校時代はバスケ部の花形スター選手として活躍していたが、当時交際していたスカーレットが妊娠し、有名大学からの推薦を断り、結婚をした。

それから17年、すっかり中年体形となったマイクは、妻のスカーレットから離婚を宣告され、子供たちからも煙たがられ、挙句の果てには仕事までクビになってしまい、高校時代からの親友ネッドの家に居候をしていた。

そんなとき、マイクは不思議な老人と出会い、ふとしたきっかけで橋から落下した彼が気づくと、なんと彼は17歳に若返っていた。高校時代、有名大学からの推薦という進路をけってしまったことを悔やみ続けていたマイクは、ネッドの子供ということで、再び高校に入学し、青春時代をやり直そうとするのだが・・・

もっとティーン向けの作品だと思っていたんですが、主役はあくまで高校生ではなく大人のマイクで、彼が失ったものを再発見するという内容なので、どちらかというと、高校生よりも、大人マイクの年代の人々に向けたメッセージの強い作品で、これはちょっと意外。

親友のネッドのキャラがなかなか愉快で、スターウォーズやらロード・オブ・ザ・リングやらのオタクなんですが、弱冠、物語の本筋とは関係なところのネタに力を入れ過ぎではないかと思いつつ、彼の物語はマイクの方が割とシリアスだったこともあって、上手い具合にバランスをとってくれていました。

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2010年8月20日 (金)

TV「南米大陸一周 165日の旅」

BS-hi 8月15日ー19日

「南米大陸一周 165日の旅」<全5回>

<8月23日より5日連続で12時半~同じくBS-hiにて再放送とのこと>

NHKサイト

 

夏休み、どこに旅行に行く予定もないのですが、TVで旅気分を味わうことができました。

番組の内容は、海外のツアー会社が企画したツアーに密着して、改造トラックに乗って、太平洋側のエクアドルのキトから南米をほぼ海岸沿いに反時計回りに移動して、大陸の最南端を通過し、太平洋側へと抜け、最後ベネズエラのカラカスに至るという全行程165日間の旅の様子を5夜連続で放送するというもの。

1回90分の番組で、450分かけて、南米を一周する様子が放送され、そもそものツアーが、アクティビティが非常に充実していて、その様子を見ているだけでも楽しいのですが、次々に現れる絶景の数々もとにかく美しくて、非常に見ごたえのある、素晴らしい紀行番組でした。

あと、世界各国からの様々なツアー参加者たちにもクローズアップして、見ているうちに自分も彼らと一緒に旅をしているような気分になれる構成だったのが良かったですね~。

アクティビティの様子や、色々な国で街を訪ねる様子、旅人同士の交流など、雰囲気としては恋愛のない「あいのり」みたいな感じで、旅番組としての「あいのり」が好きだった自分としてはかなり楽しめました。

旅番組は基本、旅行者が画面に映るもののほうが面白いし、いきなり絶景を見せられるよりも、そこに到達するまでの過程が観られる方が面白い。

TV観てただけなのに、すっかり行った気分です。

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2010年8月19日 (木)

映画「パーフェクト・ゲッタウェイ」

パーフェクト・ゲッタウェイ [DVD]

a perfect getaway

2009

2010年1月公開

DVD鑑賞

衝撃の結末的なことが書いてある映画はやっぱり気になってしまうんですよねぇ。

ハワイを旅するシドニー(ミラ・ジョボヴィッチ)とクリフの新婚カップルは、カウアイ島の奥地にあるビーチを目指しトレッキングをすることになる。そんな中、オアフ島で起こった殺人事件の容疑者である男女がカウアイ島に入ったとのニュースが入ってくる。

そして、2人はトレッキングの途中、どこか怪しげな2組のカップルに遭遇するのだが・・・

ハワイの景色がとーっても美しくて、それを見てるだけでも楽しい作品なんですが、衝撃の結末の方は、うーん、衝撃どうこう以前に見せ方がやや反則的な気が。

頑張って解釈すれば、「あ、あのときの会話はこういうことだったのか!」と思えなくもないけれど、そう思うためにはかなり頑張らなければいけない。てか、真犯人の会話がわざとミスリードさせるような内容で不自然すぎるため、真実が明らかになったときの爽快感がやや低めなのが残念。

あと物語が動き始めるのがちょっと遅い。なんだか分からないけど不気味、という雰囲気だけで作品の大半の部分を引っぱるんだけど、緊迫感や不気味さをもうちょっと感じたかったです。

真実が明らかになってからがこの作品の本番で、アクション部分はなかなかに面白かっただけに、もっと早い段階でネタばらしして、こっちのアクションにシフトしても良かったんじゃないかなぁと。

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「文字移植」 多和田葉子

文字移植 (河出文庫文芸コレクション)

文字移植

多和田葉子

河出文庫 1999.7.
(original 1993 『アルファベットの傷口』改題)

ずっと読みたくて探していた1冊を7月に国際ブックフェアにて発見。

主人公の女性翻訳家は海外の火山島にある知人の別荘に滞在し、現代版聖ゲオルク伝説を翻訳している。しかし、翻訳は思うように進まず並べられた単語の羅列を前に、彼女は島内を彷徨い歩く。

これはストーリーを味わうというよりも、「翻訳」という作業の持つ居心地の悪さをそのまま翻訳家の島での暮らしの中に具現化した作品という感じですね。

バナナ園とか、作者との散歩とか幻想的なエピソードの中に、ちょいちょい面白い表現が出てきて、この作家の書く日本語はやっぱり面白いなぁと思いつつ、全体的にすっきりと分かりやすい作品というわけでもないので、読むのはちょっと大変で、完全には理解しきれず、どこか消化不良な感じなのも事実。

作中で彼女が行っている翻訳は、逐語訳であって(まさに文字の移植)、果たしてこれを小説の翻訳として提示するのはどうなのか、ということに関し、なかなか興味深い議論が繰り広げられていて、その部分だけでも読む価値ありだと思います。

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2010年8月18日 (水)

映画「借りぐらしのアリエッティ」

 

借りぐらしのアエリエッティ

日本

2010

10年7月公開

劇場鑑賞

小学校の時にトトロが公開されたようなジブリ世代なもので、ジブリの新作と聞くとやはり心躍ってしまいます。

心臓の手術を控えた少年、翔は療養のために大叔母の暮らす屋敷に1週間滞在することになる。屋敷にやってきた日、翔は庭の草陰に小人の姿を見かける。

屋敷の地下には14歳の小人の少女アリエッティが両親とともに暮らしていた。小人たちは、人間の家から生活に必要なものを借りてくる「借りぐらし」をしており、人間にその姿を見られてはいけないという厳しい掟のもとで生活していた。

そんな中、アリエッティの姿が翔に見られてしまったことが発覚し・・・

この映画、かなり好きです!

近年のジブリ作品(「もののけ姫」くらいから)って変に説教臭いメッセージが前面に出過ぎていたり、無駄に話を小難しくしていたりで、観終わった後、結局なんだかよく分からなかったということも多かったんですが、この作品はとにかくシンプルにまとめていました。大作と言う感じではないけれど、TV放送の度にちょっと観てみたくなるような長く愛される作品になるんじゃないかなぁ。

メッセージも押しつけがましくなかったし(やや唐突な台詞がちょっと浮いてたけど)、音楽も映像も美しくて、シンプルなストーリーを抒情的に描いていたのがかなり良かったです。セシル・コルベルの音楽はかなり良かったなぁ。サントラ欲しい。

冒頭の「借り」(狩りと掛ってるところがまた良い)の場面、アリエッティの初めての冒険を観ている我々にも体感させてくれる見事な映像で、終始ワクワクしてしまいました。この場面もそうなんですが、お茶を入れる場面なんかにしても、ぱっと見、人間の世界と区別がつかなくなりそうな「小人の世界」が、見事に表現されていて、小人たちの暮らしを体験できるテーマパークにきているかのような面白さがありましたね~。鑑賞しながら、小人たちの世界に関してあれこれと空想が広がって、物語では描かれていない、世界観の広がりを感じることもできたし。

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2010年8月14日 (土)

映画「ワイルド・ガール」

 

Wild Child

2008

日本未公開

DVD鑑賞

レンタル店で目について面白そうだと思った未公開作品。これ、レンタル専用で、セルDVDすら発売されてないんですね。なかなか面白かっただけにもったいない。

アメリカ西海岸でセレブな高校生ライフを謳歌していたポピー(エマ・ロバーツ)は、あまりに生活が乱れているために父親によって英国の寄宿制の伝統ある女子高に転入させられてしまう。厳格な寄宿生活に馴染めないポピーは、問題を起こし、退学処分になろうとするのだが・・・

ルームメイトの仲間たちや、ポピーを敵対視する生徒会長ハリエット、ポピーを温かく見守る校長(ナターシャ・リチャードソン)と学園の生徒達の憧れである校長の息子フレディなどを巻き込み、ポピーの波乱の学生生活を描く青春ムービー。

アメリカ娘が英国の寄宿学校で大騒動を巻き起こすという作品ですが、主人公の成長あり、友情あり、ライバルあり、スポーツあり、家族ドラマありの安心感のある青春映画で定石通りの展開ながら、なかなか面白く観ることのできる作品でした。

アメリカVS英国(ちょっと「デイジー・ミラー」を思い出しますね)のギャップを軽快に描くコメディだと思ってたんですが、単にその枠にとどまらないで、普遍的な友情のあり方や、主人公の成長と家族への理解がしっかりと描かれたのが良かったですね。

英国の女学生たちが、ステレオタイプな描かれ方ではなくて、ちゃんと今時のティーンとして描かれていたのも好感。

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2010年8月11日 (水)

映画「ぼくのエリ 200歳の少女」

 

Låt den rätte komma in

スウェーデン

2008

10年7月公開

劇場鑑賞

スウェーデンのベストセラー小説「モールス」を本国で映画化した作品。ハリウッドリメイクも決定しているらしいです。北欧関係の仕事をしている友人がオススメしていたので楽しみにして観に行きました。

主人公は12歳の少年オスカー。学校でいじめられているオスカーは、家で殺人事件の新聞記事をスクラップし、ナイフを振り回してはストレスを解消していた。あるとき、マンションの隣の部屋にエリという少女が父親とともに引っ越してくる。夜中にだけ外に出てくるエリと出会ったオスカーは彼女に恋心を抱くようになる。

しかしエリは人間の血を欲するヴァンパイアで、彼女の父は彼女のために殺人を繰り返していた・・・

ヴァンパイアの少女といじめられっ子の交流を派手に盛り上げることなく抒情的に綴った作品で、ところどころホラー映画な場面もあったんですが、雪のスウェーデンの映像とその空気感にマッチした哀しい愛の物語はなかなか面白かったです。

なんとなく全体に説明不足な作品で、オスカーの家庭のこととか、ヴァンパイアのこととか、観ながら自分で判断してくださいという感じの作りなんですが、映像が奇麗なこともあって、余計な説明がないのもかえって好感。

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エンタ☆メモ 7・8月号

暑い日が続いていますが皆さまいかがお過ごしでしょうか。

8月の前半まで4月から始めた仕事の関係で猛烈な忙しさだったのですが、ようやく落ち着いてしばらくはゆっくりとできそうな感じです。ちなみに、ようやく落ち着いたまさにその日に、駅の階段で転倒し、現在、腕を三角巾で吊るされてたりします・・・。ま、でもPCできるくらいなので、御心配には及びません。

そんなわけで、ちょっと遅れましたが、7月のエンタメのまとめと8月の注目作品をφ(..)メモメモ

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2010年8月10日 (火)

「そんな日の雨傘に」 ヴィルヘルム・ゲナツィーノ

そんな日の雨傘に (エクス・リブリス)

そんな日の雨傘に
(Ein Regenschirm fur diesen Tag)

ヴィルヘルム・ゲナツィーノ
(Wilhelm Genazino)

白水社 2010.6.
(original 2001)

海外文学に限り、あまりに文庫落ちしなさすぎるので、業を煮やして月に1冊は文庫以外も可と自分の中のルールをゆるめた第2弾です。

そんなわけで、先日、国際ブックフェアにて購入した1冊。表紙のモノクロ写真からしてなかなか良い感じで、半分くらいはジャケ買いです。

主人公は恋人に逃げられ、定職には就かず靴の試し履きをしてレポートを書くという仕事をする46歳の男。街を歩きながら目についたものや、出会った人に関して、彼の頭に浮かぶ様々な思考や妄想をユーモアたっぷりに描き出す1冊。

どんなストーリーの作品なのかほとんど知らずに読み始めたので、予想をはるかに超えてユーモアにあふれた1冊だったことにビックリ。読みながら声を出して笑いそうになってしまった場面もチラホラありました。

他人が見れば、結構重い人生だと思うんだけど、のんきに皮肉たっぷりに構えている主人公のおかげで作品全体がほんわかムードになってるところが良いです。でもって、そこがまた悲哀ポイントになっているわけですが。

なんか鬱屈したインテリ男の妄想っていう感じは森見登美彦の「太陽の塔」がドイツ中年男になったような雰囲気だなぁとか思ってみたり。

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2010年8月 4日 (水)

映画「ゼロの焦点」

ゼロの焦点(2枚組) [DVD]

ゼロの焦点

日本

2009

09年11月公開

DVD鑑賞

昨年の公開時にTVなどでのプロモーションを見てちょっと気になっていた1本。過去に何度も映像化されている作品ですが、原作も未読だし、映像化されたものも観たことがないので、初「ゼロの焦点」でした。

禎子(広末涼子)は鵜原憲一(西島秀俊)と見合結婚をするが、新婚旅行から戻って間もなく、仕事の引き継ぎのため、金沢へと向かった憲一が失踪してしまう。

憲一を探し禎子も金沢へと向かい、そこで、自分の知らなかった憲一の過去を知るのだが・・・。

この物語にふれたのが初めてだったこともあり、事件の真相など結構新鮮に面白く観ることができたんですが、その一方で、何故この作品を今映画化したのだろうかという疑問も。

松本清張の生誕100周年ということで映画化されたのは分かるんですが、ここで描かれる価値観は現代とは結構違う部分もあるし、女性たちの地位の向上までの厳しい道のりがあったことも分かるんですが、それを2009年に映画化するにあたって、現在の我々にもっと何らかのメッセージを投げかけてくれる作品であって欲しかったかなぁと。何度も映像化されているのだからこそ、もうちょっと新しく映像化することの意義を感じたかったです。

あと、謎解きの爽快感がもうちょっと欲しかったかなぁ。

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2010年8月 3日 (火)

映画「オックスフォード連続殺人」

オックスフォード連続殺人 [DVD]

teh oxford murders

西 英 米

2008

日本未公開

DVD鑑賞

レンタル店で見つけた未公開作品。オックスフォード大学が舞台のサスペンスというだけで心躍ります。しかも何が面白いって、英国が舞台の英語の作品なのに、スペイン人スタッフによる映画だということ。原作はアルゼンチンの作家による同名小説。

アメリカからオックスフォード大学に留学してきたマーティン(イライジャ・ウッド)は、尊敬するアーサー・セルダム教授(ジョン・ハート)のもとで学ぼうと、教授の古い友人であるイーグルトン夫人の家に下宿を始めるが、教授と接する機会を持てずにいた。そんなとき、学内で行われた教授の講演会でマーティンは質問をし、自分の存在を印象付けることに成功する。

そんな折、イーグルトン夫人を訪ねたセルダム教授は玄関先でマーティンと出会い、2人は夫人が殺されているのを発見する。

教授のもとに届けられた殺害予告を手掛かりに、2人は犯人を探すのだが・・・。論理学や数学、哲学に彩られた知的サスペンス。

教授の語る論理学や、数学、哲学などが映画全体をとっつきにくいものにしてる印象はありますが、事件の真相につながる部分は結構シンプルだったので、見た目ほど難しい作品ではなかったですね。

文系的要素も理系的要素も非常に高いので、その部分でのとっつきにくさはこの作品最大の魅力にして、最大の問題だと思われます。

変わり者の教授とその弟子が難事件に挑むとか、数学に彩られたなぞ解きとか、どこかで聞いたことある感じですが、この作品は結構硬派に作られていて、スタイリッシュな演出がとられているわけでもなく、割と淡々と物語が進んでいくので、どこかで見たようなドラマとはまた違った雰囲気がありましたね。

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「1950年のバックトス」 北村薫

1950年のバックトス (新潮文庫)

1950年のバックトス

北村薫

新潮文庫 2010.05.
(original 2007)

北村薫の作品はミステリはものすごく好きというわけでもないのですが、新潮文庫から出ている、「スキップ」、「ターン」、「リセット」の<時と人>の3部作はかなり好きなシリーズで、この文庫本の帯に<時と人>の短編集と書いてあるのを見て、いてもたってもいられなくなり購入した1冊。

全部で23の割と短めの短編を集めた作品集で、ホラーあり、人情ものあり、ミステリありと、多岐にわたるジャンルが楽しめ、どれも一定のクオリティを保っているところに非常に器用な作家なんだなぁというのがつよく感じられました。

しかし、これ、<時と人>はほとんど関係ないですよね・・・。時間がからむ話も、SF的な設定があるわけではなく、単に昔のできごとと現代の出来事がつながるという程度で、3部作のようなものを期待していただけに、これはかなりの肩すかし。

収録されている作品の中ではホラーテイストの強い作品がとりわけ面白かったですね~。

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