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2010年8月27日 (金)

「夜間飛行」 サン=テグジュペリ

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

夜間飛行
(vol de nuit)

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
(Antoine de Saint-Exupéry)

光文社古典新訳文庫 2010.7.
(original 1931)

以前から気になっていた作品が古典新訳文庫で出版されたので、これを機に読んでみることにしました。

新潮文庫の堀口大學訳&宮崎駿表紙も魅力的だったんだけどね。

舞台はパタゴニア。ブエノサイレスへと帰還する夜間郵便飛行のパイロット、ファビアンの操縦する飛行機は暴風雨に巻き込まれてしまう

地上では社長のリヴィエールの厳しい指揮のもと航空会社の部下たちは夜を徹して地上での任務にあたっていた・・・

いやはや、熱いドラマを堪能することができました。なんか良質のドキュメンタリー番組を見ているかのような男たちの仕事っぷりがとにかく熱い。

そして、人間たちの描写とは対照的に、詩的な表現で描かれる雄大な大自然の姿がまたとても良いのですよ。はっとするような描写がいたるところにあって、特に空から見た大地の描写は、サン=テグジュペリが実際にパイロットであったと思うと、その描写にものすごい説得力を感じ、読みながら何度も胸が熱くなってしまいました。

特に印象的だった場面を2つばかり。

1つは夜明けに仕事に向かう夫を見送る妻を描いた部分。この場面、後に出てくるファビアンの妻の姿とも重なって、一晩の物語の中に「パイロットとその妻」の物語を見事に凝縮していると共に、ラストシーンのリヴィエールの強い思いへとつながっていき、メインの物語と直接からんくるわけではないけれど、確かな存在感のある章でした。

そしてもう1つは、ファビアンが上昇し、「光に輝く園」と描写される雲の上へと出る場面。世界の美しさにため息が出るとともに、ファビアンが通信士と笑顔を交わす場面の描写がまた美しく、彼らの最期に胸がしめつけられると同時に、その光景の美しさにこちらも安堵感に似た不思議な感情を抱き、読み終わった後もいつまでもこの場面が頭の中に残っています。

「星の王子さま」は昔から好きで何度も読んでるのですが、サン=テグジュペリの他の作品ももっと読んでみたくなりました。

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