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2010年9月 4日 (土)

来日公演「イン・ザ・ハイツ」

イン・ザ・ハイツ

in the heights

来日公演

2010年9月2日 14時

東京国際フォーラム ホールC

(original 2007)

TVでトニー賞授賞式を見たときからずっと気になっていたミュージカルの来日公演とあってとても楽しみにして観に行ってきました!

2008年のトニー賞で作品賞をはじめとして4部門に輝いた作品ですが、こんなに早く来日公演が実現するとは!!この勢いで、あれもこれもみーんな来日しちゃってー!

そんなわけで、舞台の感想を。

舞台は、独立記念日の前日7月3日、ヒスパニック系の移民たちが暮らすマンハッタンの北部にあるワシントン・ハイツ。

ドミニカ共和国からの移民、ウスナビは食料品店を営み、隣のヘアサロンに勤めるヴァネッサに思いを寄せながら、再び故郷へ戻ることを夢見ていた。そんな折、地域一番の秀才で街中の期待を一身に背負いスタンフォード大へ進学したニーナが夏休みでワシントンハイツの両親のもとへと帰ってくる。しかし、彼女は大学で落第してしまい、奨学金を打ち切られて、大学を辞める決意をしていた。

街の皆から慕われ、両親を亡くしたウスナビを育てたアブエラ、リムジン会社を経営するニーナの両親とその会社で働くベニーなど、ワシントンハイツに暮らす住民たちを、ラテンのリズムとヒップホップにのせて描いていく。

■作品全体の感想

会場に入って最初に驚いたのは、その見事なまでのセット。

割とシンプルなセットの作品が多い中、細かく作り込まれた街並みは本当に素晴らしくて、舞台の上には確かにワシントンハイツが存在していました。

でもって、この作品はストーリーが良いですね。ミュージカルでストーリーに感心したのは久々です。ヒット映画をミュージカル化した作品がやたらと増えている昨今のミュージカル業界において(ここ10年のトニー賞作品賞受賞作はほとんどが原作付。)、こういうオリジナル作品が出てきたことは非常に価値があると思います。

ミュージカルに出てくるヒスパニック系の移民たちといえば、『ウェストサイドストーリー』がすぐに思い浮かぶんですけど、WSSの名曲「アメリカ」で歌われた移民たちの夢と憧れが50年の時を経て果たしてどのようになっているのか、ここで描かれる移民たちの暮らしの厳しさは非常に興味深いです。「アメリカ」とはまるで逆に、故郷へ戻ることを夢見る主人公達の姿、しかし、アメリカでの夢に再びかけてみようとする姿がとても印象深かったです。

あと、劇中で猛暑になってる場面が、まさにこの夏の日本とオーバーラップして妙に共感できましたね(笑)

ミュージカルとしては、初めてラップを取り入れたことでも話題になっていた作品ですが、ミュージカルとラップ、別に相性は悪くないです。

ただ、ラップになると言葉の情報量が増えるため、見てる側も字幕にかかりっきりになってしまう危険性もあり、来日ミュージカルだとそのあたりがちょっと厳しいかもな、とも。字幕だと、押韻の面白さも伝わらないしね。あと、聞き取れた部分の英語と比べても、全体的に字幕の情報量はかなり少なめになってたなぁ。

あと、ラテン系のミュージカルってことで、とにかくダンスがカッコ良かった!メインキャスト達は言わずもがなですが、アンサンブルの人たちが、「街の人々の日常」を様々なダンスで見事に再現していて、かなりの見ごたえがありました。

舞台全体で日常の描写をとても大切にしていて、それぞれの場面でメインのキャラクターが歌っている影の部分で、他のキャストたちが、ちゃんと自分たちの日常を演技していて、常に舞台全体がワシントンハイツそのものになっていました。これ、全部をちゃんと見ようと思ったら何度か見ないとダメですね。

 

■ キャストの話

キャスト陣は女性陣が素晴らしかったです。

ヴァネッサのレクシー・ローソンは昨年のRENTとはまた違った印象があって、なかなか役にはまっていたと思います。のびのびとした歌声が良い。

個人的に注目したのはニーナを演じたアリエル・ジェイコブス。歌も演技も結構好きでした。

そして、鳥肌モノだったのはアブエラの独唱ですね~。

一方で男性キャストはちょっとパンチが弱かったかなぁ。特にウスナビのジョセフ・モラレスは、とても丁寧にまとめているという印象で、もうちょいガツンとしたカリスマ性が感じられたら良かったのになぁと。主人公のはずなのに存在感が薄かったように思う。

 

■ 楽曲の話

このミュージカル、最大の弱みは、愛唱歌的に歌い継がれるようなコレ!っていうテーマソング的な曲がないことかなぁ。

耳に残るフレーズはいくつかあって、「In the heights!」というコーラスや、「Look at the fireworks!」っていうコーラスや、「Carnaval del barrio」っていうコーラスなんかはついつい口ずさんでしまいます。

上述したようにアンサンブルたちのダンスが素晴らしかったんですが、音楽面でも、コーラス部分のほうが印象深かったんですよね。

In the heightsというタイトル通り、ワシントンハイツという場所に暮らす全ての人が主人公という捉え方をすれば良いのかもしれないけれど・・・

なんてことを言いながら、上記コーラス部分以外に気になった曲をいくつか。アップテンポなナンバーはダンスが映えて魅力的だけど、曲としては バラード系のほうが好きなものが多かったです。

 

・「In the heights」

オープニングナンバー。

登場人物を紹介しながら展開していく形式は結構好きなのですよ。「美女と野獣」のオープニングとか。

ラップのインパクトもあるし、街の人たちとの掛け合いも面白いし、ノリの良い明るいナンバーに仕上がっているのも良い。

 

・「Breathe」

故郷へ戻ってきたニーナが胸に秘めた思いを歌う曲。メロディの美しさに哀愁をおびたスペイン語のコーラスが加わって心に響く名曲に仕上がってたと思います。多分この曲が一番好き。

 

・「Paciencia y Fe」

冒頭の「暑い!!!!!」っていう部分がまさにここ一ヵ月の自分の思いを代弁してくれていたので、鑑賞後は、どうしても暑いときに、この部分を歌いたくなってしまったり。一見、そんなに声量がなさそうだったアブエラの歌唱力に脱帽でした。

 

・「Alabanza」

追悼のバラード。これは純粋に良い曲。

この作品、ラテン版RENTなんて言われてるみたいですが、社会の現実に正面から取り組んでることもそうですが、この曲の入るタイミングとか、ストーリー全体のテンションの構成もちょっと似てるかなぁと思いました。

 

* * *

そんなわけで、いつも通り、ああだこうだ感想を書きましたが、なんだかんだ言ってもとーっても楽しんで鑑賞していた自分なのでした。

空席が目立ってたのがちょっともったいない。新しい作品ということもあって、知名度が低いってのもあったのかなぁ。客席のノリもいまいちだったので、役者さん達はちょっとやりづらかったんじゃないかなぁとか思ってみたり。

この作品、映画化が決まっていて、「ハイスクールミュージカル」シリーズや「THIS IS IT」のケニー・オルテガが監督なので、ダンスシーンが印象的な良い作品になるんじゃないかなぁと期待してます。映像化が合いそうな作品だったし。

ところで、この作品の生みの親、リン・マニュエル・ミランダ、なんと僕と同じ歳。すげー。

 

* * *

ミュージカル来日公演、次は12月のAvenue Qですね!なんとなくとったチケットが最前列のセンターだったことが発覚し、今からワクワクしてます♪

12月はアダム・パスカル&アンソニー・ラップの来日コンサートもあるし、楽しみが多すぎる!!

チラシによると来年3月にはロイド=ウェバーのJoseph and the amazing technicolor dreamcoatの来日公演があるらしい。なんか全く予期せぬ作品の来日にビックリ。

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コメント

後ろの方が空席ありましたね。
とにかく字幕を追うことが大変で、舞台の端と演技を行ったり来たり、目線を追っているのに疲れてしまって、途中寝てしまいました。
私のお隣の方も爆睡してました(笑)

単に、ラテン民族の話をブロードウェイ風にした感じ・・・ と言えなくもないんですよね。 そっちに流れる危険性はありました。
難しいですよね。
そして、確かにメインテーマの曲が頭に残ってないんですよね。
ですがケニー・オルテガなんで、『HSM』に負けない仕上げにしてくれるようにも思います。
映画期待しましょう~。

投稿: rose_chocolat | 2010年9月 8日 (水) 20時54分

>rose_chocolatさん

コメントどうもありがとうございます。

自分が観た回は後方どころか
前方にも結構空席がありました。
さらに自分の前に座っていたグループは
途中退席しそのまま戻ってきませんでした・・・。

字幕問題は映画だとすっきりと見やすくなると思うので、
やはり映画版に期待したいですね~。
歌もダンスも上手く演出してくれたら
結構良い作品になるんじゃないかと思います。

投稿: ANDRE | 2010年9月 9日 (木) 01時03分

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思いがけず、チケットが手に入ることになり、行って参りました。日本語タイトルとしては、「イン・ザ・ハイツ」じゃなくて、「インザハイツ」って一気につなげて書いていいみたい。... [続きを読む]

受信: 2010年9月 4日 (土) 20時45分

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