「武士道シックスティーン」 誉田哲也
武士道シックスティーン 誉田哲也 講談社文庫 2010.2. |
部活を題材にした青春ものは小説も映画も漫画も結構好きです。特に野球とかサッカーとかではなくて、普段あまり読んだり観たりできない部活のときは、色々と興味津々。映画化もされた剣道小説のシリーズ第1作目。
香織は幼いころより剣道を始め、全中で準優勝した剣道のエリート。しかし、中学時代最後に参加した区民大会でまさかの予選敗退。
日舞から剣道に転向し、勝敗は気にせず、とにかく楽しく剣道をしていた早苗は、中学時代最後の区民大会で思いがけず公式戦での初勝利をおさめる。
2人は同じ高校に進学し、香織は自分を負かした早苗に強いライバル心を持つのだが・・・。性格も、剣道への姿勢も正反対の2人が、互いに近づき、ぶつかり、成長していく物語。
香織視点の章と早苗視点の章が交互に現れ、1つの物語を2人の主人公それぞれの視点から描いていくことで、2人の剣道や部活への姿勢や温度差などが非常に分かりやすく対比されて、テンポの良い語りもあって軽快に楽しめる爽やか青春小説の王道を行く作品でした。
ストイックに練習に励むのか、とにかく楽しさを追求するのかってのは部活において常に問題になってくることで、自分も全くの文化系ではあったけれど、高校や大学で何度もこういう問題に直面していたので、考え方の違う2人が歩み寄っていくのを読むのはとても興味深かったです。
早苗の不思議な剣道が日舞によるものだっていう展開は、女子高の柔道部を描いたコミック「からん」でも似たようなキャラクターが描かれていていますが、日舞と武道はなかなか面白い関係にあるんですかねぇ。
主人公2人のキャラクター(特に香織)の個性があまりに強く描かれているので、やや現実味はなくて、ちょっと漫画的な部分もあるのですが(昼休みの過ごし方とか・・・)、そんなところも含めてかるく楽しめる作品だったので、続編も文庫化したらすぐに読んでみたいなと。
普通につづきが気になる感じで終わってたし。
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