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2010年9月23日 (木)

映画「大男の秘め事」

gigante

ウルグアイ アルゼンチン 独 蘭

2009

第7回ラテンビート映画祭

 

「アベルの小さな世界」と同様、ラテンビート映画祭にて鑑賞。

ウルグアイの映画を観るのはもしかして初めてかも。

主人公はスーパーマーケットで夜間警備をしている巨漢のハラ。あるとき、監視カメラに映る夜間清掃員のフリアに一目惚れをしたハラは、やがて強い恋心を抱くようになり、フリアを尾行し始めるようになるのだが・・・

一言でいえばキモピュア可愛い映画。

ベルリン映画祭で3冠(銀熊賞、新人監督賞、アルフレッド・バウアー賞)に輝いたというだけあってなかなかに面白い映画でした。

ストーカーとなって惚れた女性をつけまわす男を描いた作品で、犯罪すれすれの行為に不快感を覚えてしまったら多分この作品を受け入れることはできないんじゃないかと。

ただ、ハラという男が本当にピュアで、常に一定の距離を保ちながら、「編み物の全て」(一番笑ったのはここかも)を片手に彼女には全く気付かれずに後を付け回して、ネットカフェでも映画館でも必死に彼女ばかりを見つめる姿は、同時に、見事なまでに彼の人の良さが溢れるように描かれていて、いつしか彼を応援したくなっている自分がいました。

と、言いつつ、リップクリームはさすがに自分もどんびきでしたが・・・。

影を絶妙に配置した映像もなかなか見ごたえがあって、テンポの良い尺の短さもあって、良質のCMを見ているような感覚のある作品だったように思います。

フリアが、恋愛映画よりもB級ホラーを愛し、音楽の趣味も似ていたり、ネットで知り合った男には「変わり者」呼ばわりされていたけれど、ハラとは相性が良さそうだということがなんとなく分かってくる、そして、それを知るたびにハラが感じる嬉しさがこちらにも伝わってきて、ラスト、ハッピーエンドで終わると良いなぁと思っていたのですが、はてさてどうなるのかはここでは書きません。

ハラの恋模様をユーモラスに描く一方で、スーパーマーケットの労働問題とか、ハラが同居するシングルマザーっぽい姉と甥とか、垣間見える社会情勢も興味深い。

ところで、フリアと親しげなスーパーの男は恋人じゃなかったの!?

ただ、個人的にはエンドロール直前のラストはガーンとメタルをかきならしてくれたほうが映画としてまとまったような気がします。

これも全国公開されるといいなぁ。

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