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2010年9月15日 (水)

映画「瞳の奥の秘密」

 

el secreto de sus ojos

アルゼンチン

2009

10年8月公開

劇場鑑賞

アカデミー賞の外国語映画賞は毎年良い作品が多いので、今年の受賞作であるこの作品もとても気になっていました。

ブエノサイレスの裁判所を定年退職したベンハミンは25年前の事件を小説にしようと執筆を始める。

25年前、新婚女性が自宅で暴行を受け殺害され、ベンハミンは相棒のパブロや新しくきた上司のイレーネらと共に事件を捜査していた。彼らの活躍の甲斐もあり、事件は解決をしたかのように思えたのだが・・・

終盤に差し掛かるまで、つまらなくはないけれど、外国語作品賞を受賞するほどの作品かと言われれば、そうでもないかなぁ、なんて考えながら観ていたんですけど、ラストにガツーンとやられました。

ただの刑事モノの枠を超えて、鑑賞後にいつまでも、正義について考えさせられる深いテーマが盛り込まれていて、心をとらえて離さない作品でした。

結構ユーモアのあるシーンもあって、パブロやイレーネとのやりとりにも微笑ましい場面があったり、犬が走ってくる場面では劇場が静かな笑いに包まれたり、していて、シリアスさとのバランスもよくとれていました。また、競技場での場面なんかはカメラワークも面白く、ハラハラとした見どころもあり、映画として娯楽要素をうまく盛り込みながら、重いテーマをしっかりと扱っているところは見事だったと思います。中盤の捜査の場面がやや間延びしていて、そこまで長い映画ではない割に、ちょっと長さを感じてしまった部分もあったけど。

死刑か無期懲役か、法が下した決断により果たして遺族の犯人への思いは癒されるのか、何が正解かを決めることは難しい問題ではあるけれど、こういう映画を観て、たまにはじっくりと考えてみるのも良いかもしれません。

アルゼンチンという国の時代が反映されている部分も少なからずありそうで、そういうところはやはり深く理解しきれていないのがちょっともったいなかったかなぁ。これは完全に自分の知識不足が理由なんだけど。

全く関係ない感想ですが、スペイン語、ちょっとだけかじったことがあるので、ところどころ聞き取れたりして、そんなところも結構楽しんで観てました。外国語の映画はちょっとでも分かるところがあると、作品との距離がぐっと近づくように思います。

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