« 2010年9月 | トップページ | 2010年11月 »

2010年10月

2010年10月30日 (土)

「神と野獣の都」イザベル・アジェンデ

神と野獣の都 (扶桑社ミステリー)

神と野獣の都
(la ciudad de las bestias)

イザベル・アジェンデ
(Isabel Allende)

扶桑社ミステリー文庫 2005.7.
(original 2002)

テレビで南米の旅番組を観て、なんとなく南米ものを読みたいなと思っていたときに書店で目についた1冊。著者は「精霊たちの家」などで知られるチリの女性作家イザベル・アジェンデ。

15歳の少年アレックサンダーは母が入院することになりNYに暮らす祖母ケイト宅で過ごすことになる。ケイトは雑誌の取材でアマゾンの探検隊に同行することになり、アレクサンダーもその旅に参加することになる。密林に潜む野獣を追う人類学者をリーダーとする探検隊は、アマゾンの奥地へと向い、そこでアレクサンダーは現地のガイドの娘ナディアと親しくなる。やがて呪術師ワリマイに認められた2人は密林に潜むインディオたちと出会うのだが・・・

完全に若い読者を対象にして書かれた作品で、かなりストレートに少年の成長と冒険が描かれているのですが、舞台となるアマゾンのできごとは結構読み応えのあるエピソードも多く、大人の読者でも十分楽しめる作品だったと思います。

ただ、ちょっと盛り込み過ぎな感じもあって、そのせいで、中盤、ハラハラドキドキを狙ってはいるんだろうけど、ちょいと淡々とした調子が続き、やや退屈に感じてしまったかなぁと。もう少しコンパクトにまとめたほうが読みやすかった気がします。それでも、インディオたちが登場してからは先の読めない展開に物語に引き込まれてしまい、幻想的な密林の奥の世界観に酔いしれながら最後まで一気に読めてしまいましたが。

続きを読む "「神と野獣の都」イザベル・アジェンデ"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月26日 (火)

舞台「ファンタスティックス」

ミュージカル「ファンタスティックス」("The Fantasticks")

@ bunkamura シアターコクーン

10月15日

1960年にオフブロードウェイで初演されて、40年以上のミュージカルの最長ロングラン記録を持つ作品を、宮本亜門が演出する舞台。作品そのものにもとても興味があったのと、宮本亜門演出の作品を一度生で味わいたいというのもあって観に行ってきました。

16歳のルイザ(神田沙也加)と大学生のマット(田代万里生)は隣同士に住み、互いに愛し合っていたが、2人の父親(モト冬樹・斉藤暁)が犬猿の仲であり庭に高い壁を建ててしまったため、親の目を盗んでは壁越しに愛を語り合っていた。

ところが、この父親たち、実は大親友で、子供同士を結婚させようと考えていた。子供は親の言うことに反発するものであると考えた2人は、犬猿の仲を演じ、2人の交際を強く反対することで2人の愛を強くさせていたのであった。

計画の仕上げとして、自然な流れで和解し2人の結婚を認めるように持っていこうと、2人はルイザをわざと誘拐させ、それをマットに救わせる形で両家が和解するというシナリオを思いつく。謎の男エル・ガヨ(鹿賀丈史)に誘拐犯の役を依頼し、劇役者のヘンリー(二瓶鮫一)とその付き人モーティマー(矢部太郎<カラテカ>)らと共に狂言誘拐を企てるのだが・・・

ほとんど予習などせずに行ったんですけど、アットホームな空気のとても楽しい作品でした。

以下、ものすっごい長い感想です。

続きを読む "舞台「ファンタスティックス」"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月25日 (月)

映画「ロード・トリップ パパは誰にも止められない」

ロード・トリップ パパは誰にも止められない! [DVD]

college road trip

アメリカ

2008

日本未公開

DVD鑑賞

軽いコメディを観ようと思って借りてきた未公開作品。

警察署長のジェームス(マーティン・ローレンス)は成績が良く弁護士を志している娘のメラニーを溺愛し、彼女が家から通える距離にある大学に進学することを強く望んでいた。しかし、メラニー自身は遠く離れたジョージタウン大学への進学を希望し、運良く面接を受けられることになる。友人らと共に大学の下見を兼ねた旅を計画するのだが、ジェームスが娘のジョージタウン大学への進学を阻止しようとして・・・。

予想通りと言うかなんというか、内容が無いよぅという感じの作品で、ドタバタを楽しみながら家族愛にホロリとしましょうという映画ですね。

ものすごく面白いかと言えばそうでもないのですが、つまらなくもないので、ボケーっと深いことを考えずに軽く楽しむにはちょうど良いのではないでしょうか。ディズニー作品とはいえ、あまりにも「教育上悪くない」作品に仕上げすぎてる感はありましたが。

ドタバタのスケールがどんどん大きくなっていって最後はいくらなんでもそれはやりすぎだろ、という感じで目的地の大学の到着してしまうのにはビックリ。

それにしても、これは子離れができてないとかそういうレベルを超えてる気がする。普通に犯罪レベルだし。

続きを読む "映画「ロード・トリップ パパは誰にも止められない」"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月17日 (日)

映画「トレジャー・オブ・スケルトンアイランド」

トレジャー・オブ・スケルトンアイランド [DVD]

the three investigators
and the secret of skeleton island

ドイツ 南アフリカ

2007

日本未公開

DVD鑑賞

レンタル店で何気なく見つけた未公開作品。

原作は「カリフォルニア少年探偵団」の邦題でも知られるアメリカの大人気児童向けシリーズThe Three Investigatorsの一編。名前に聞き覚えがあるので、自分も小学校のころにちょっと読んだことがあるんじゃないかと思うんですが(かなりうろ覚え)、内容は全然覚えてません。

ちなみにドイツ製作ですが、英語の映画です。

「T3I」(The 3 Investigators)として、数々の難事件を解決してきたピート、ジュピター、ボブの3人は休暇で南アフリカを訪れる。そこで、ケープタウン沖にあるドクロ島と呼ばれる島のレジャー施設の建設予定地を訪れた3人の前で、その関係者たちが謎の怪物に襲われるという事件が発生する。現地で知り合った少女と共に3人は島に秘められた謎を解き明かそうとするのだが・・・

人気スターが出ているわけでもなく、もともとの原作が日本ではマイナーなこともあり、未公開DVDスルーは仕方ないかなぁとも思いますが、子供向け映画とはいえ、謎解きもアクションも結構見ごたえがあってなかなか面白い作品でした。終盤のクライマックスの飛行シーンなんかはいかにも合成ではあったけれど、大人がみてもハラハラでしたし。

この映画、シリーズの映画化としては第1作目なんですが、物語がいわゆる「エピソード0」的なものを一切排除して、冒頭から3人の少年が子供探偵として大活躍している場面から始まるので、変に説明的な部分もあまりなくすんなりと本編に入れるのが良かったです。

冒頭のシーンは絶対に夢オチかと思ったんですけどね。少年たちが普通に超人級の活躍を見せるので、子供たちは見ていて気持ちが良いのではないでしょうか。

続きを読む "映画「トレジャー・オブ・スケルトンアイランド」"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月11日 (月)

「少年少女飛行倶楽部」 加納朋子

少年少女飛行倶楽部

少年少女飛行倶楽部

加納朋子

文藝春秋社 2009. 4.

加納朋子はとても好きな作家で、この作品も発売と同時にとても気になっていたのですが、国内作家の作品は基本「文庫派」なため、文庫になるのを首を長くして待っていたところ、同じく加納朋子好きの友人が、この作品はとても面白いからすぐに読むべきだと言って貸してくださいました。どうもありがとうございます。

中学に進学した海月は必ず部活に入らなければならず、野球部の先輩、海星に憧れる幼馴染の樹絵里と共に先輩が兼部しているという「飛行クラブ」に入部することになる。

「飛行クラブ」は変わり者の神が部長を務め、部員は神の幼馴染である海星と2人だけ。クラブの目的は自分の力だけで空を飛ぶことであったが、どのような活動をしているのかは謎に包まれていた。やがて、野球の苦手なのに親の期待を背負って球児と名付けられた少年や、入学早々転落事故にあったという高所平気症の朋なども入部することになるのだが・・・

とにかくとても楽しくさわやかな青春小説でした。このタイトルの作品がつまらないわけがないですよ。完全にタイトル勝ちだと思う。

加納朋子というと、やはり日常ミステリの名手というイメージなんですが、この作品では完全にミステリ要素を排除し、純粋に中学生達の日常を描く作品に仕上げていて、そしてまた、それがとても良い感じにまとまっているのが非常に嬉しい1冊でした。

主人公たちがどのようにして空を飛ぶのか(ちゃんとラストは飛行シーンが用意されている)、もちろんそれも楽しみなんですが、彼らのやりとりの居心地の良さに、自分も飛行クラブの部員になったような気持ちになれるのが良かったですね。主人公たちを描く際の適度な距離感の上手さがなせる技だと思います。

ただ全体のノリがあまりに軽すぎるってのも事実で、底抜けに楽しい作品ではあるんだけど(しかも、こういう作品にありがちな「漫画っぽい」感じにも陥ってないところが良い)、もうちょっと物語に深みがあったほうが良かったかなぁと。テンポは良いんだけど、淡々とし過ぎているというか。それぞれのキャラクターにちゃんと表と裏があって、悩みがあるんだけれど、そこを掘り下げることよりも、全体の軽快なテンポを重視しすぎてしまった感は否めず。

続きを読む "「少年少女飛行倶楽部」 加納朋子"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月 5日 (火)

映画「脳内ニューヨーク」

脳内ニューヨーク [DVD]

synecdoche, New York

アメリカ

2008

2009年11月公開

DVD鑑賞

予告の映像が面白かったので、気になっていた1本。

主人公は劇作家のケイデン(フィリップ・シーモア・ホフマン)。妻子が家を出て行き落ち込んでいる彼のもとに賞の受賞の連絡が舞い込み、大金を手にした彼は、とんでもないプロジェクトを発案する。それは巨大なセットを構築し、自分の頭の中にあるニューヨークをそっくりまるごとそこに再現するというものであった。

よく考えたら、チャーリー・カウフマン作品は「エターナル・サンシャイン」もそんなに好きな映画じゃなかったや。

なんか物語も主人公の自己満足に溢れているんだけど、この作品そのものがまさに作り手の自己満足という気が・・・。もっとシンプルでいいのになぁ。

再現されたNYの中に、主人公自身を演じる役者がいて、そうすることで、再現されたNYの中の再現されたNYが作れるはじめ、入れ子構造のようになっていくんですが、そのあたりで、物語が混沌を極めて、最後、彼は自分が作り出した世界に飲みこまれてしまうような展開なんですが、一番ラストの落としどころで、狐につままれたような感じで完全に「???」となってしまい、結局なんだかよく分からない作品という印象ばかりがつよく残ってしまいました。

続きを読む "映画「脳内ニューヨーク」"

| | コメント (2) | トラックバック (2)

2010年10月 4日 (月)

映画「ニューヨーク、アイラブユー」

ニューヨーク, アイラブユー [DVD]

New York, I love you

アメリカ

2009

2010年2月公開

DVD鑑賞

『パリ、ジュテーム』がとても良かったので、そのNY版ということで楽しみにしていた1本。

12人の監督が愛をテーマにNYを舞台にした物語を共作。

公式ではオムニバスではないということになっているようですが、ま、オムニバスですよね。

全体的な感想としては、『パリ、ジュテーム』のほうがずっとずっと面白かったかなぁと。あちらのほうが作品にバリエーションがあって見ていて飽きなかったです。

今回はどの作品も全体のトーンがちょっと暗めで、さらには1つ1つの個性がそれほど強烈ではなかったので、雰囲気の統一感はあったものの、なんだかいまいち物足りなかったです。あと、妙にぼやかしたような終わらせ方をする監督が多くて、いくつもそういう短編が続くと、いちいち余韻に浸る余裕もないので、ちょっとお腹一杯な感じでした。

以下、印象深かった作品に軽くコメントを。

続きを読む "映画「ニューヨーク、アイラブユー」"

| | コメント (0) | トラックバック (2)

« 2010年9月 | トップページ | 2010年11月 »