映画「17歳の肖像」
an education イギリス 2009 2010年4月公開 DVD鑑賞 |
英国好きとしては見逃せない1本。本当は劇場で観たかったんですが、ようやくDVDにて鑑賞。英国作品ではあるんですが、監督は「幸せになるためのイタリア語講座」のデンマークの女性監督ロネ・シェルフィグ。
1961年のロンドン。主人公は、オックスフォード大を目指す16歳の中産階級の娘、ジェニー(キャリー・マリガン)。ある日、彼女は路上で声をかけられた2倍以上歳の離れたデイヴィッド(ピーター・サースガード)と親しくなり、やがて、彼とその友人のダニー(ドミニク・クーパー)とその恋人であるヘレンと共に出歩くようになり、大人の遊びを覚え、デイヴィッドへの恋心を強くしていくのだが・・・。
期待通りに良い作品でした。
表面のストーリーだけをなぞれば、幼い娘がちょっと苦い経験をして大人への階段を上るという、特に目新しくもない内容なのですが、そこに英国の階級社会が上手いことスパイスとして効かされていて、中の下のジェニーの家族の階級コンプレックスが彼女やその両親の行動に説得力を持たせていたのが良かったです。
学問と文化的な教養、品性など、恵まれた生活をする上で本当に必要なものは何なのか、ジェニーが出会う大人達がしっかりと描き分けられていて、様々な人間性を描いていたのも面白かったですね。
ストーリーで良いなと思ったのは、ジェニーが反発した担任の先生が、最終的に彼女を良い方向に導いてくれたこと。彼女の存在も階級社会において、良い大学を出るとはどういうことかという問いに深みを持たせてくれたように思います。そのおかげでラストが爽やかに閉じてくれたのも嬉しかったです。
「17歳の肖像」という邦題よりも原題の「教育」というほうが作品の内容は捉えているように思いますが、このタイトルじゃお客さんは呼べないだろうなとも思うので難しいところですね。
出演していることを知らなかったので、ジェニーの通う高校の校長先生がエマ・トンプソンだったことにビックリ。これは非常に嬉しかったです。彼女の英語はいつ聞いてもうっとりしてしまいます。
ドミニク・クーパーはこのところ引っぱりだこですね。彼は教養もあるし、そんなに悪そうではないように描かれていたけど、何故、彼らと付き合っているのだろうかとちょっと疑問に思ってみたり。
期待の大型新人キャリー・マリガンは、ヘップバーンと比喩するのはどうかと思うけど、子供の顔も背伸びした大人の顔も上手く演じていてなかなか良い感じだったと思います。
彼女、ドラマ版「ノーザンガーアベイ」や、BBCでドラマ化されたディケンズの「荒涼館」にも出演していたようだし、映画も「プライドと偏見」にも出演していて、さらには「わたしを離さないで」にも主演と、文芸女優の道まっしぐらという感じですね。マキューアンの「初夜」の映画版(マキューアン自らが脚本を書くらしい)にも主演するっぽいし。
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関連過去レビュー
現在の英国中産階級の高校生達がオックスフォードを目指す映画
・キャリー・マリガン出演作品
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