映画「プチ・ニコラ」
le petit Nicolas フランス 2009 2010年10月公開 劇場鑑賞 |
この秋は気になるヨーロッパ映画が沢山あって、ちょうど時間が取れたので何か1つ観ようと思いこの作品を選んでみました。フランスの子供映画って結構面白いものが多くてお気に入りなのです。
原作はフランスでは知らない人はいない国民的ベストセラー「プチ・ニコラ」シリーズ。
小学校の作文の時間に将来の夢を書くように言われたニコラは悩んでいた。愉快なクラスメートたちと大好きな両親と過ごしている今の時間が楽しくて仕方なく、将来のことなど考えることができないのだ。
ある日、クラスメートに弟が生まれ、ニコラは弟なんか生まれても両親の愛情を持っていかれ良いことなど何もないという話を聞く。そんな折、両親の様子がおかしいことに気付いたニコラは自分にも弟が生まれるのではないかと勘違い。さらにそのタイミングで父親がやたらと森にピクニックへ行こうと誘い始め、ニコラは自分が捨てられるのではないかと思い始める。
友人たちに悩みを打ち明けたニコラは、自分が捨てられないよう様々な作戦をしかけるのだが・・・。
一方、ニコラの両親は父親の昇進をかけて、社長夫妻を夕食に招こうと準備に追われてた。
学校での友人たちとのエピソードを交えながら、弟問題に揺れるニコラと夕食会でてんやわんやする両親をユーモアたっぷりに描いていく。
面白かったー!!こういう映画大好きです!
かわいいし、笑えるし、皮肉もあるし、ドタバタもあるし、とにかくセンスが良い。
原作のイラストをふんだんに使用した立体絵本仕掛けのアニメーションになっているオープニングから最高にワクワクさせてくれて、最後まで中だるみすることなくたっぷり笑って、幸せなひと時を過ごせる作品でした。
舞台設定は恐らく作品が最初に描かれた1960年代頃なんだけど、「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」なんかと同じように、そういう時代をベースにしつつ、ユートピア的に美化された「古き良き時代」といった感じの描き方で、どこか普遍的に郷愁を誘う何かを感じさせてくれるところが良かったです。
ところどころ漫画的な演出もちょいちょいあるんだけど、それが幼稚な感じにならないギリギリのところで保たれていたのも上手かったなぁと思います。日本で「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」を実写にすると、変に漫画っぽくなりすぎて実写としては不自然だと思うことが多いですが、この作品はそんなこともなくちゃんと実写映画として完成していました。
ニコラのクラスメートたちがとにかく個性豊かで見ているうちに一人一人が愛おしくなってしまうのも良かったですね。どの少年も変に大人びたりしないで、ちゃんと子供なのが良い。しかも、それぞれが与えられた役目をちゃんとこなしていて、こちらが期待するところでちゃんと期待通りに動いてくれるのが嬉しいんですよ。
一番のお気に入りはクロテールかなぁ。でも花輪君的存在のジョフロアも結構好き。
個人的にお気入りの場面をいくつか。微妙にネタバレっぽいかもですが。
・テレビを買ってきたパパの横でずっと飛び跳ねてるニコラ。
この圧倒的なまでの無邪気な可愛さはずるいだろ。
・パパが鬼に変身
絶妙のタイミングで森に誘うパパが最高。
・無言で席を立つクロテール
すっかりそれが日常の一部と化してしまったんだね・・・
・お礼の手紙
結局そうするんかい!っと誰もがつっこみたくなること間違いなし。
・代理の先生の登場シーン
ただ歩いてるだけなのに、観てるこちら側もものすごい威圧感を感じてしまいましたよ。こういう子供目線を疑似体験させてくれる演出が地味に上手い。そして代理の先生の場面での子供たちの評価の逆転はシニカルで面白い。
・「セーヌ川」
大爆笑しちゃったけど、大臣がいることなんかそっちのけであんなに盛り上がってくれる同級生達がいるってことがとっても素敵だと思う。なんてことを思ってしまうと、うっかり目頭が熱くなりそうになる。この映画、両親もだけど、同級生達もみんなが愛に溢れてるところが最大の魅力。
・大臣の寒いギャグ
こういうときに限って聞きわけの良い子供たち。
・夕食会
作品のクライマックスの1つですね。ボロ出しまくりのママはもう笑えるのを通り越して痛々しい。オマールエビ・・・。
・落ち込むニコラを笑わせるパパ
このシーンがそのままラストにつながっていくところが良い。
・巻き戻し
夢崩壊(笑)
うーん、でもこのほかの場面もあれもこれも好きだったんだよね。車運転しちゃうエピソードはちょっとやりすぎかなぁって気もしたけど、「点子ちゃんとアントン」でもアントンが運転する場面があったよなぁとか思い、ヨーロッパの子供は運転シーンに憧れるのかなぁとか思ってみたり。
あと、クラスの皆で合唱をするけどバラバラすぎて崩壊しちゃうっていう短い場面で、合唱の指揮をしていたのが同じくフランスの大ヒット映画「コーラス」で指揮者の先生をしていたジェラール・ジュニョ。こんなパロディ的なちょっとしたシーンに御本人出演とか気前良すぎ!
こういう出演者たちがみんなとっても楽しそうに演じてる作品は観ている側もとても楽しい気持ちになれますね。DVD出たら買っちゃうかも。
ちょっと探してたら、フランス版の予告編で大人キャストのみんながニコラの服装で出てくるものがあって、何を言ってるか分からないけど、子供キャストのみならず大人キャストの皆さんがとても楽しそうにこの映画に臨んだのがよく伝わってきて、とても雰囲気の良い予告編だと思います。(仏版公式サイトで見られます。Les VideosのTEASER Pasticheというビデオです。)
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 映画「天使の分け前」(2013.06.13)
- 映画「屋根裏部屋のマリアたち」(2013.05.29)
- 映画「ハッシュパピー バスタブ島の少女」(2013.05.27)
- 映画「リンカーン弁護士」(2013.05.06)
- 映画「偽りなき者」(2013.05.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント