映画「ツイステッド・ルーツ」
Vaarat juuret
フィンランド
2008
フィンランド映画祭にて鑑賞
「プチ・ニコラ」を鑑賞した時、同じ劇場(恵比寿ガーデンシネマ)で開催されていたフィンランド映画祭の作品も鑑賞してきました。10代のころに日本で暮らした経験を持つという女性監督サーラ・サーレラ氏によるトークショーも聴くことができました。
主人公ミッコはアンティーク家具店を営みながら、妻のミルミハ、思春期の娘ピラ、そして、幼女の中国人少女ルミと4人で暮らしていた。
ミッコは遺伝性疾患であるハンチントン病が進行し、意識障害や運動障害などが起こるようになり、店の経営も危なくなっていた。そんな折、長く音信不通になっていたミッコの前妻との息子であるサカリが現れ、しばらくの間一緒に生活をすることになる。
ミッコは子供たちに一族が遺伝性の病気を患っていることを打ち明け、子供たちは動揺し、そんな中でサカリにもまたハンチントン病の初期症状が現れるようになる。サカリにはまた、別れた妻との間に長らく会っていない息子がいた。
そして、互いに反目し合いながらも、同じ病を抱える家族の中で、幼女のルミは自らのルーツを求め、部屋の壁に穴を掘り続けていた・・・
冬のフィンランド北部が舞台ということもあり、画面に映る街の映像なども寒々しいんですが、描かれるドラマもまたどんよりと重いものでした。
アメリカ映画なんかでは近頃は血のつながりこそなくとも家族の絆は生まれるのだというようなことを描く作品が多いですが、この映画では、本人たちが望まなくとも、確実に血でつながれた家族と言う絆があることを描いているところに、フィンランドでの家族観を感じることができたように思います。家族の絆や愛情に溢れた映画でしたね。
そこにアンティーク家具や遺伝性の病の存在がまた上手くきいていて、物は捨てられるけれど、血の繋がりは切れることがないということが、ややあからさまではあるけれど、分かりやすく描かれていたように思います。
養女のルミは決して不幸な暮らしをしているわけではないし、皆からとても愛されているんだけれど、それでも自らのルーツを求めるというのがとても興味深くて、幼い彼女が壁に穴を掘り続ける姿は、力強さと苦しみが混在して、作品のテーマをさらに強く浮き彫りにしていたように感じました。ラスト、魔法のような奇跡が起こって、全体に重い空気の漂う作品ではあるけれど、希望を感じさせてくれる終わり方になっていましたね。
良い作品ではあるんだけれど、ちょっと設定や描き方があからさま過ぎるような感じがしたのと、淡々としすぎているような感じがあったのとで、強くオススメできるような作品ではないかなぁ。
あと、あんなに寒そうなのに、外で泳いでるシーンがちらほらと出てきたんですが、あれはフィンランド的には普通のことなのか!?とちょっと疑問に思ってみたり。
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