「エロマンガ島の三人」 長嶋有
エロマンガ島の三人 長嶋有 文春文庫 2010. 7. |
個性的な作品が集まった長嶋有の異色短編集といった趣の1冊。「○○の▲人」という書名ですが、同作者の「ジャージの2人」とは全く関係ありません。
表題作は、雑誌の企画で、名前だけはやたらと有名なエロマンガ島へ実際に行ってそこでエロマンガを読むことになった男たち3人の旅の様子を描いた一編。作者が聞いた実話をベースにしていることもあり、普通に「旅行記」として楽しむこともできる内容でちょっとゆるい空気感とあわせてまぁまぁ楽しい作品ではあるんですが、小説としてはちょっとパンチが弱い印象でした。
ところが、ラストに収録されている「青色LED」という作品がこの表題作につながるように書かれているんだけど、この作品によって「エロマンガ島の3人」という作品の世界がぐぐっと深まって、元々感じていた物足りなさが見事に払拭されました。
その他3作品が収録されていますが、幻想短編のような雰囲気もあって、長嶋作品としてはかなり異色揃い。3つの中では「女神の石」が一番好きかなぁ。
収録作品が「異色作品集」というくくりだけでまとめられている感じで、もうちょっと全体に統一感があると嬉しかったかなぁという気もします。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「足音がやってくる」マーガレット・マーヒー(2013.05.30)
- 「SOSの猿」伊坂幸太郎(2013.05.05)
- 「死美人辻馬車」北原尚彦(2013.05.16)
- 「俺の職歴」ミハイル・ゾーシチェンコ(2013.04.01)
- 「エムズワース卿の受難録」ウッドハウス(2013.03.24)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント