「アサッテの人」 諏訪哲史
アサッテの人 諏訪哲史 講談社文庫 2010. 7. |
芥川賞受賞作の文庫化です。
行方不明になった叔父に題材をとった「アサッテの人」という小説を書いている男が主人公。幼いころから吃音に苦しんでいた叔父は、突然「ポンパ」、「チリパッパ」など意味のない言葉を口にすることがあり、そうした「アサッテ」の行動をめぐり、叔父との思い出や、叔父の残した日記などに基づき考察を進めていくのだが・・・
自分結構、意味のない擬音語を発したりするの好きなんですよね。しかも、最初は適当に発してるんだけど、途中から微妙に活用させて文法を与えたりして。なので、アサッテの行動そのものにはそこまでの違和感を感じずに読み進めてしまいました。
しかし、この作品では幼少時からの叔父の苦しみも描かれ、初めこそ、ユーモラスに感じられた言葉が、そこから飛び出そうとする心の叫びとして感じられるようになると、滑稽でありながら物哀しさのほうが強みをましてきたように思います。
途中、アサッテの言葉達を細かく分析する場面があるんですが、発音の仕方なども細かく書いてあって、電車内で読みながら思わず小声で発音練習しそうに(笑)。
とても癖の強い作品で、万人にオススメできるという感じではありませんが、自分は結構面白く読めました。
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