映画「マザーウォーター」
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マザーウォーター
日本
2010
2010年10月公開
劇場鑑賞 |
「かもめ食堂」、「めがね」、「プール」につづくシリーズ4作目。このシリーズは全て劇場鑑賞しているので今回も楽しみにしていました。
舞台は京都。
ウィスキーバーを営むセツコ(小林聡美)、喫茶店でコーヒーをいれるタカコ(小泉今日子)、豆腐屋のハツミ(市川実日子)、銭湯のオトメ(光石研)とジン(永山絢斗) 、そしてそんな店に集まる街の人々(加瀬亮、もたいまさこ)のゆったりとした日常を静かに映し出す。
いつも通りのゆったりまったりとした空気は健在で、心地の良いリラックスしたひとときを満喫できる作品でした。それにしても、驚くほどにストーリーがない。
そしてこのシリーズといえば食べ物なのですが、これまたどれもこれも食欲をそそられるものばかりで、観終える頃には豆腐やらグラタンやらを食べたくなってしまいましたね~。劇場のいたるところから響く空腹音にも納得です(笑)。ただ、今回、食べ物をアップで映すシーンがほとんどなかったのがちょっと残念。
途中、何度か夢の世界に誘われそうになりつつも、ほんわかとした世界を楽しんでいたのですが、ちょっと物足りない箇所があったのも事実。このシリーズ、今までの作品は桃源郷的な癒し空間を描くにあたって、必ず、外の世界からやってくる人物の視点で描いていて、それによって、我々が暮らす現実世界との接点を感じることができていたように思っています。
ところが今作では、外界からの人物というキャラクターがいなくて、映画が始まった時点で、全ての登場人物が「マザーウォーター」の世界に最初から溶け込んでいるので、鑑賞している側としては、ちょっと突き放されてしまったような感覚を覚えて、作品の世界との間に距離感を感じてしまい、そこまで深く入り込むことができなかったんですよねぇ。うーむ。
「プール」でも感じたけれど、やはり萩上監督が築いた世界を模倣しすぎて、それでいて、模倣しきれずに中途半端な印象を与えているような気がするんですよねぇ。
ただ、もはやお馴染みの顔ぶれがそろったキャストは非常に安心感がありますね。新キャストの皆さんが作り上げられている空気を壊すことなく加わっているのが良かったです。
ところで、ポプラという名前は本名なのでしょうか。ちょっと吉田篤弘の書く小説に出てきそうな名前ですよね。てか、この作品の世界観そのものが似てるような気がします。ポプラの母は冒頭に、ほんのちょっとだけ後ろ姿が写った伽奈さんという解釈で良いのかな(冒頭で、おや伽奈かな?と思ったものの、その後一向に出演しないので思い違いかと思いきや、エンドロールで名前を発見)。
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» マザーウォーター [LOVE Cinemas 調布]
京都を舞台にゆったりとした流れの中で豊かな生活を送る人々を描いた作品だ。『かもめ食堂』、『プール』を手がけた製作チームが集結し、今回は松本佳奈監督が演出を務めた。出演は小林聡美、もたいまさこ、小泉今日子、加瀬亮、市川実日子といった実力派が揃う。独特の京都の街並みや、何気ない風景、そして川のせせらぎに癒される。... [続きを読む]
受信: 2010年12月14日 (火) 00時29分
» マザーウォーター [映画的・絵画的・音楽的]
「かもめ食堂」のスタッフが再集結して作った作品だというので、これまでの腐れ縁(?!)もあって『マザーウォーター』を見に銀座シネスイッチに行ってきました。
(1)例によってストーリーらしいストーリーは一切ありません。
登場人物は、小さなバーを営むセツコ(小林聡美)、喫茶店を経営するタカコ(小泉今日子)、それに豆腐屋のハツミ(市川実日子)。
3人とも地元の人ではなく、別の土地からここに流れてきたようです。
3人とも一人暮らしで(家族関係は一切不明)、映画開始時点まではお互いの交流もなく、それぞ... [続きを読む]
受信: 2010年12月20日 (月) 08時10分
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水。花。木の椅子。ぴとぴと変化する。。。 [続きを読む]
受信: 2010年12月20日 (月) 08時16分
» 『マザーウォーター』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「マザーウォーター」□監督 松本佳奈 □脚本 白木朋子、たかのいちこ□キャスト 小林聡美、小泉今日子、加瀬 亮、市川実日子、永山絢斗、光石 研、もたいまさこ、田熊直太郎、伽奈■鑑賞日 10月31日(日)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> 松本佳奈監督がメガホンを取り、出演者は『かもめ食堂』や『めがね』、『プール』など、 小林聡美(セツコ)やもたいまさこ(マコト)、光石 研(オトメ)、加瀬 亮(ヤマノハ)、市川実... [続きを読む]
受信: 2010年12月20日 (月) 08時28分
» 【マザーウォーター】 [日々のつぶやき]
監督:松本佳奈
出演:小林聡美、小泉今日子、もたいまさこ、加瀬亮、市川実日子、永山絢斗、光石研
あしたへは、ダイジなことだけもってゆく。
「どこかの小さな街
そこで暮らす人々の穏やかで静かな日々」
ウイスキーしか置いていないバーの店主セツコ
コ... [続きを読む]
受信: 2010年12月20日 (月) 10時13分
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『かもめ食堂』『めがね』『プール』を手掛けた製作チームが、 今度は京都を舞台に描く癒しのスローライフ・ムービー。 街の中を流れる川の水に引き寄せられるように京都に暮らし始めた3人の 女性を中心に、ゆったりと流れていく男女7人の日々の営みを美味しそうな 料…... [続きを読む]
受信: 2010年12月20日 (月) 20時29分
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受信: 2010年12月21日 (火) 22時56分
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受信: 2011年2月18日 (金) 14時08分
コメント
本当に、ドラマもストーリーもなかったですねぇ。それを心地よいと取るか、物足りなく感じるか、でしょうか。
なるほど、外からの視点…言われてみたらそうですね。
で、わたしはどう観ていたのだろうと思い返してみたら、
わたし自身が、小林さん(ポプラ以外、役名忘れました)の店に入って黙って様子を見てたり、
お豆腐屋さんの前で食べてる人たちをこっそり盗み見したり、黙ってコーヒー飲んで黙って帰ったり…
という、自分が外から来た人になってたんだと思いました。
自分が同年代の頃は、子育てや地域と繋がる時期だったので、
この人たちは、ここまでの人生に何があったんだろうな…なんで1人でここにいるのかな…、
わたしなら、どこで誰と話し始めるだろうな…と
あれこれ思い巡らしていたら、終わってたという感じでした。
ホント、吉田篤弘さんの作品の世界観によく似ていますね。
わたしも、ポプラの母は、鴨川べりでうずくまっていた伽奈さんだと思います。
投稿: 悠雅 | 2010年12月20日 (月) 08時27分
>悠雅さん
うわぁーっ、1週間近くレスが遅れてしまい
本当に申し訳ありませんでした。
今週は、仕事関係のことに加え、
観劇やらコンサートやら、
趣味で自分がやってる音楽の本番やらもあって、
ずっとてんやわんやでした。
今作は確かに我々自身が
外からあの世界に入っていく人物の役割を
担っているような作り方でしたよね。
吉田篤弘さんの作品と雰囲気が似ているということに
御同意いただけて嬉しいです!
このチームで吉田作品を映画化したら
面白いモノができるのではないかと思ってます。
投稿: ANDRE | 2010年12月27日 (月) 00時57分