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2010年12月13日 (月)

「緑の家」 マリオ・バルガス・リョサ

緑の家(上) (岩波文庫)  緑の家(下) (岩波文庫)

la casa verde

Mariio Vargas Llosa

岩波文庫 2010.8.
(original 1966)

一度結構がんばって記事を書いたものの、うっかり消去してしまうという凡ミスを犯してしまったので再度書きなおし。テンションが下がったので記事もシンプルにまとめました。

ノーベル賞受賞を予見したかのようなベストすぎるタイミングで文庫化をした岩波文庫さんの快挙には全国の読書愛好家さんが驚いたのではないでしょうか。ノーベル受賞のニュースを聞いて、積読してあった文庫本をあわてて読みました。

舞台は南米のジャングルの奥地。

治安警備隊の隊員、修道院のシスター、犯罪者、ピウラに暮らす人々、そして、「緑の家」と呼ばれる娼館に携わった人々などなど、数十年の間に起こった様々なできごとを、時系列をばらし、鮮やかに描き出していく。

一言で言うならば、万華鏡のような作品でした。

次々と変化していく場面と鮮烈な印象を与える描写の数々にくらくらとしてしまう(様々な意味で)小説で、結構夢中になって読むことができました。

てか、ストーリー説明書きづらいよぅ。そもそもストーリーの全貌を完全に把握しきれてないし・・・。実は削除してしまった最初の記事のほうは1つ1つのエピソードについてちゃんとあらすじを書いて、それぞれに感想を書こうとしていたのですが、一度書いたものが削除されたこともあり、疲労の末、一気に簡略化してしまいました。

最初、軽い気持ちで読み始めたんですが、途中で、頭を整理しなければついていけなくなることに気づき、相関図などを軽くメモってようやく最後までたどり着くことができましたよ。途中、同段落内で違う時系列になってる部分まで登場して、「???」となることもしばしばだったし。

ただでさえ時空がこみいってるのに、同一人物が違う名前で出てきたりするものだから物語の複雑さが余計に増しているんですが、語り口そのものは非常に読みやすくて、人物や自然の描写の面白さには引き込まれるものがあったし、ちゃんと読者が理解できるギリギリのところで物語をつなげているところは本当に見事としいか言いようが無いですね。

エピソードで一番好きだったのはボニファシア関連かなぁ。修道院でのやりとりから始まり彼女の辿る運命は非常に読み応えがありました。ただ、その全貌を把握するのにかなりの労力を要しましたが。ちゃんと読み切れてるかという自信もないですし・・・。

いきなり日本人が出てきたのにも驚きましたが、このエピソードも時空を把握するのに非常に苦労しましたね~。てか、フシーアってのも分かりづらいよ(ANDREに言われたくないだろうけど)。

年表でも作るような勢いで何度かしっかりと読みこんでいけば、物語全体をちゃんと把握できるんだろうけど、なんだかよく分からない感じも含めて、熱帯のクラクラとした空気に翻弄されるのを味わうのもまた一興かなと思います。

最後に、何に一番驚いたかって、リョサがこの作品を書いたのが今の自分と同じ年齢の頃だということ。ノーベル賞受賞者と凡人の違いをこれでもかというくらいに見せつけられた気分です。

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