「ラスト・チャイルド」 ジョン・ハート
ラスト・チャイルド ジョン・ハート ハヤカワ文庫 2010. 4. |
普段ミステリはあまり読まないのですが、NHKの「週刊ブックレビュー」で紹介されているのを見て是非とも読んでみたいと思い手に取りました。
主人公は13歳の少年ジョニー。
双子の妹が失踪し、やがて父も失踪し、母親は地元の有力者に近付き酒に溺れるようになる。そんな中、ジョニーは離ればなれになった家族の再生を信じ、親友と共に妹の居場所を探し続けていたのだが、同じ学校に通う少女が行方不明となり、事件が大きく動き始める・・・。
とにかく設定が重い。文庫版(ポケミス版も同時発売だった)は上下分冊になっているんですが、上巻を読み終える時には、あまりの重さに下巻にはちょっとくらいは救いのあるラストが待っていて欲しいなと願わずにはいられなかったんですが、下巻も終始同じペースが続き、ラストも全てがハッピーエンドというわけにもいかず、とにかく読んでいる間中胸が締めつけられる作品でした。
この作品に出てくる大人たちはとにかく歪んでいて、そんな中、一人で苦しみもがいて憤って闘い続ける少年の姿は非常に読み応えがありました。ラストも子供と言う存在にちゃんと希望を託してくれたところが嬉しいです。
ただ、各所で大絶賛されているほど面白いかと言われれば自分はそこまでハマれなかったかなぁ。一番しっくりとこなかったのは神の要素が結構強く作品に関係してきた部分。アメリカの作品だからある程度は仕方ないのかもしれないけれど、こういうリアルな重さに溢れた作品で、突如、超現実的な展開を見せられると、ちょいと興醒めしてしまうというか。
あと、ものすごく引っぱりながら、次のチャプターでは全く別のシーンを描いたりするある種TV的な読ませ方は上手いとは思うけど、自分はちょっとくどいように感じてしまいました。
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