« 映画「ローラーガールズ・ダイアリー」 | トップページ | 「縛り首の丘」 エッサ・デ・ケイロス »

2011年2月21日 (月)

映画「ヤコブへの手紙」

postia pappi Jaakobille

フィンランド

2009

2011年1月公開

劇場鑑賞

 

昨年フィンランド映画祭で上映されているときに面白そうだなぁと思っていた作品が無事公開になりました。本国フィンランドでは大ヒットとなり数多くの賞を受賞したとのことです。

舞台は1970年代のフィンランドの田舎町。

恩赦を得て刑務所から出てきたレイラは、行くあてもなく、すすめられるままに盲目の牧師ヤコブのもとで嫌々ながら住み込みで働き始める。彼女の仕事は毎日ヤコブのもとに相談の届く手紙を読んで聞かせ、返事を代筆することであった。

ヤコブのもとに手紙を届ける郵便配達夫は刑務所からきたというレイラを快く思わず、配達夫は彼女を避けるようになっていく。

そんなあるとき、毎日届いていた手紙が突然1通もこなくなってしまい・・・

3人の登場人物だけで、静かに展開する物語で、派手さもないし、物語も特に驚くべき展開をするわけではないけれど、小品ではあるけれど心に深い余韻を残す作品でした。普通に良い物語。

後述しますが、公式サイトに面白い記述があって、それをもとに改めて映画を振り返ってみると、見た目以上にずーっと奥深い物語になっているようで、鑑賞中に気付けなかった自分の読みの浅さが悔やまれます。DVD出たら二度目の鑑賞をして色々と確認しなくては。

上述したストーリーを見れば分かると思いますが、この映画も北欧作品おなじみの人生にまとまわりついたような重さがあって、これまた、北欧ならではの美しい自然がそれを見守っているという作品になっていました。終盤の牧師やレイラの葛藤はなかなかの見ごたえでしたね。

これ、公式サイトに「郵便配達人を巡るギモン」として書いてある部分を見ると、呑気で人の良さそうなキャラだった彼がもしかしたら、見た目以上に曲者なのではないかと思われてきて、思っていた以上になかなか奥深い作品のようです。作品を見た人は是非、公式サイトをご覧あれ。てか、自転車が途中で新品になってるとか気づかなかったよー。レイラを避けた理由はやましさからだったのか!?

ただ、手紙が突然届かなくなってしまった謎は郵便配達がからんでいるような感じでしたよね。まさか毎回彼が偽手紙を書いていたとは思えないけれど(ラストに明らかになる真実もあるし)。てか、レイラ以前はどうしてたのでしょうか。

そもそも手紙はもともとあまりきていなかったという可能性も!?でも牧師のほうも盲目とはいえ、何をどこまで気づいていたのかってのは分からないですよね。

レイラ、牧師、郵便配達が三者三様に牽制し合っていたと思うと、この映画かなり面白い。

あと、この作品、劇場で販売されていたパンフがなかなかユニークでした。

便せんに入っていたんですけど、パンフ本体が冊子ではなく、中にはバラのポストカードが入っていて、表に映画のシーンの写真、裏にパンフの記事が書いてあるという、ちょっと凝った作り。しかも、監督からのメッセージは便せんに手書き文字(フィンランド語)を印刷したものが入っていて、監督から観客に向けての「手紙」という形になっていました。

映画のパンフってどれもこれも似た構成ですけど、こういうちょっとこだわりのパンフに出会えるとなんか嬉しいですよね。

|

« 映画「ローラーガールズ・ダイアリー」 | トップページ | 「縛り首の丘」 エッサ・デ・ケイロス »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

去年授業で見ました。これをもとに「フィンランド性(的)」(suomalaisuus)とは何かを話し合うって授業。

口に出さないでも伝わるものに対する肯定的なイメージは日本もフィンランドも共通してあると思います(だから伝わらないことははっきりと言わなきゃいけないってのが違う気がするけど)。

映画では3者3様(正確には4者)に言葉に出さないものがあって、傍から見ているともどかしいばかりですが、我々のコミュニケーションの場面も往々にして同じようなことの繰り返しだなーと実感させられます。

ちなみに、フィンランド語でコミュニケーションはviestintäで、viesti(メッセージ)の派生語なところが興味深いところ。

白樺の森がフィンランドっぽい!!!

投稿: とも | 2011年2月25日 (金) 00時10分

>ともさん

遠いところからコメントどうもありがとう~。

そういう授業で使うくらいに
典型的なフィンランド像が見られる作品なのだね。
牧師さんとレイラの関係は終始もどかしかったねぇ。

見ているときにはそれほど気にしなかったんだけど、
郵便配達夫が実はかなり裏がある人物っぽいことを読んで
なかなか奥深い作品だなぁと後から感心してました。

フィンランド映画、春にもあるみたいなので、
そっちも観てsuomalaisuusに関して理解を深めときます!!

投稿: ANDRE | 2011年2月25日 (金) 01時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/145222/50928391

この記事へのトラックバック一覧です: 映画「ヤコブへの手紙」:

» ヤコブへの手紙 [LOVE Cinemas 調布]
フィンランドの片田舎にある教会に一人で住む盲目の老牧師と、恩赦で刑務所を出所した元囚人の女性の交流を描いたヒューマンドラマだ。主演はカーリナ・ハザードとヘイッキ・ノウシアイネン。監督はフィンランドの俊英クラウス・ハロ。ヤコブ牧師の行動が、固く閉ざされた女性の心を溶かしていく繊細なタッチに注目。... [続きを読む]

受信: 2011年2月21日 (月) 02時01分

» ヤコブへの手紙 [映画的・絵画的・音楽的]
 『ヤコブへの手紙』を銀座テアトルシネマで見てきました。 (1)この映画は、さあこれからさらにどんな展開がというところで幕となります。ただ、そういう思いにさせられるのは、映画のそこまでの展開からのことではなく、単にその短さのためです。終わってみれば、確か...... [続きを読む]

受信: 2011年2月22日 (火) 05時57分

» ヤコブへの手紙 [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。フィンランド映画。原題:POSTIA PAPPI JAAKOBILLE、英題:Letters to Father Jacob。クラウス・ハロ監督、カーリナ・ハザード、ヘイッキ・ノウシアイネン、ユッカ・ケイノネン、エスコ ... [続きを読む]

受信: 2011年2月22日 (火) 07時37分

» ヤコブへの手紙 [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
公式サイト言葉少ない物語だが、最後には静かな感動に包まれる小さな秀作。根底に流れるテーマは、孤独と贖罪だ。1970年代のフィンランドの片田舎。12年間暮らした刑務所から恩赦に ... [続きを読む]

受信: 2011年2月22日 (火) 23時46分

» ヤコブへの手紙 [ケントのたそがれ劇場]
★★★★  登場人物は盲目の牧師ヤコブと、終身刑を恩赦され、ヤコブの家で働くことになったレイラと、たまに来る郵便配達の三人だけ。そしてほとんど会話もなく、舞台はヤコブの家と教会だけというかなり地味なフィンランド映画なのである。  そのうえ上映時間は僅か70... [続きを読む]

受信: 2011年2月24日 (木) 22時16分

» 『ヤコブへの手紙』 [・*・ etoile ・*・]
'11.1.19 『ヤコブへの手紙』@テアトルシネマ これ見たかった! 仕事中、今日は水曜だからレディースデーじゃないかと思いつき、急遽行くことに決定! *ネタバレありです 「終身刑となり12年服役していたレイラは、恩赦により釈放となった。早速、ヤコブ牧師の家に住みで働くという仕事を紹介される。毎日届く手紙を盲目の彼の変わりに読んで欲しいというもので、行くあてのないレイラは渋々引き受けるが…」という話。これは良かった。1時間15分と短いけれど、生きること、生かされることがしっかりと描かれてい... [続きを読む]

受信: 2011年2月25日 (金) 00時42分

» ヤコブへの手紙 Postia Pappi Jaakobille [映画の話でコーヒーブレイク]
「クレアモントホテル」との2本立てで見ました。 たった3人しか登場しない、言葉少ない静かなフィンランド映画です。 この2本立て、どちらもお勧めの心に残る作品です。    ***  *****************              ヤ コ ブ...... [続きを読む]

受信: 2011年6月29日 (水) 23時44分

» mini review 12550「ヤコブへの手紙」★★★★★★★☆☆☆ [サーカスな日々]
1970年代のフィンランドの片田舎を舞台に、人を寄せ付けない元囚人と悩める人々を癒やす盲目の牧師との繊細な交流を描き、各国の映画祭で称賛された感動的な人間ドラマ。刑務所を出所したヒロインが牧師のために手紙を音読する日々と、二人の心に宿る絶望と希望とを淡々と...... [続きを読む]

受信: 2012年1月 7日 (土) 19時50分

« 映画「ローラーガールズ・ダイアリー」 | トップページ | 「縛り首の丘」 エッサ・デ・ケイロス »