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2011年3月21日 (月)

「また会う日まで」 柴崎友香

また会う日まで (河出文庫)

また会う日まで

柴崎友香

河出文庫 2010. 10.
(original 2007)

文庫になったら必ず読むようにしている柴崎友香の作品。今回は作品の舞台が関西ではなく東京ということで、ちょっと楽しみに読んでみました。

大阪に暮らす有麻は1週間の休暇を東京を訪れ、都内に暮らす友人たちと過ごし、高校時代に不思議な感覚を覚え意識をしていたものの卒業以来一度も会っていなかった同級生の鳴海くんを訪ねる。彼のもとにはストーカーのように彼につきまとう凪子がいたのだが・・・

関西が舞台の作品は登場する場所を想像力で補完するしかないのだけれど、東京が舞台だと一つ一つの風景が頭の中でしっかりとイメージを結ぶので、こういう特定の都市を舞台にして日常を描く物語だと非常に臨場感が増しますね。

ただ、関西から来た人が見た東京という視点になっているので、風景の描かれ方などに、関東在住者のそれとは異なる視点が加わっていてなかなかに面白い。

「その街の今は」と同様に主人公が写真を趣味にしているという設定で、「その街~」を読んだ時にも思ったのだけれど、柴崎作品は一つ一つの情景の描写がその場面を一枚の写真にして本のページに焼き付けたかのような感覚を与えてくれるので、こういう設定が作風と非常に上手く溶け合っているように感じられるのが嬉しいです。

ただ柴崎作品を読むといつも思うことなんだけど、関西弁の会話を上手く脳内再生できないので、作品の魅力を半分も味わえてないような気持ちになるのは今回も同じです。

ちょっと癖のある登場人物が多いし、正直、彼らの感覚についていけないと思える部分も多くて、物語としてはちょっと物足りない部分も多かったのですが、彼女の過不足のない素敵な文章をじっくりと堪能できる作品だったので、結構面白く読むことができました。

凪子の存在が最後まで自分には肯定できずに終わってしまったんだよなぁ・・・

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コメント

写真のような情景描写がデキちゃうわけ!?

やっぱり才能ある方は違う・・・(作家さんだし当たり前ですね)
訓練のたまものなんでしょうけど、こんな事を書いてるサイトも。
http://www.birthday-energy.co.jp/ido_syukusaijitu.htm

作者、柴崎さんの才能として、
「客観性に優れ物の裏側を読み取る」
だそうで、こりゃまた生まれ持ってのものなんですね。

また、「街灯りも薄らとしかなく、寂しい風景。」
って例えていて、なるほどね~。
誕生日だけでここまで分かるかという、感じですよ。

ちょっと視点が違うとオモシロイもんです。

投稿: さとし | 2011年7月25日 (月) 23時51分

>さとしさん

コメントどうもありがとうございます。

>「客観性に優れ物の裏側を読み取る」

というのはまさにその通りだと思います。

今まで考えたこともなかったのですが、
このような診断を作風と照らし合わせるというのも
なかなか面白いですね。
御紹介どうもありがとうございました!


投稿: ANDRE | 2011年7月28日 (木) 23時25分

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