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2011年6月 8日 (水)

「ブーベ氏の埋葬」 ジョルジュ・シムノン

ブーベ氏の埋葬 【シムノン本格小説選】

ブーベ氏の埋葬
(L'enterrement de Monsieur Bouvet)

ジョルジュ・シムノン
(Georges Simenon)

河出書房新社 2010. 10.

メグレ警視の原作でおなじみ(とは言うものの、メグレ警視は読んだことがない)のシムノンの本格小説を刊行するというシリーズの1冊。書店で目にしてなんとなく面白そうだったので読んでみました。

舞台はパリ。セーヌ川岸の古本屋で版画集を見ていた76歳のブーベ氏が突然倒れ、急死。やがて、新聞にブーベ氏の死亡記事が出ると、自分はこの人物を知っていると言う人物が次々と弔問に訪れるのだが、彼らは皆、ブーベ氏を異なった名前で呼んでいて・・・。

果たしてブーベ氏の身元を調査するボーペール刑事が明らかにしたブーベ氏の人生とは!?

なかなか面白い作品でした!

特に奇抜なところもなく、思ったよりも普通な物語ではあったけれど、次から次へと明らかになっていくブーベ氏の過去に、「彼は一体何者!?」という好奇心がかき立てられて、ページをめくる指が止まらないような状態で一気読み。世界をまたにかけた人生はなかなかに素敵なものでした。

本格小説シリーズということではあるけれど、刑事の調査を中心にしてブーベ氏の人生が徐々に浮き彫りになっていくストーリーはミステリのなぞ解きそのもので、推理小説を読むのと同じような楽しみが得られる作品でした。メグレ警視で有名なだけあって、この手のストーリーテリングがとても上手いなぁと。

あと、ブーベ氏の正体以上に彼を取り巻く人間模様が面白くて、それぞれのキャラクターが活き活きと小説の中で生きているのが感じられるのが良かったです。

人が誰かを知っているとき、あくまで、自分の前でその人が見せていたその人物の断片しか知りようがないわけで、葬儀という場面で、その人物に関わりがあった人々が集まったときに、それぞれがが断片を出し合って1人の人物の人生が初めて明るみに出るというのは、実際に葬儀に参列して経験したことあるけれど、なんだかとても不思議な面白さがありますよね。果たして、自分が亡くなるときに、人々はどのように自分のことを回想してくれるのだろうか、なんて思いながら読んでいました。

シムノン、他の作品も読みたくなったので、このシリーズの他の作品も要チェック。メグレ警視も読んでみようかな。

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