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2011年10月 5日 (水)

「きみのためのバラ」 池澤夏樹

きみのためのバラ (新潮文庫)

きみのためのバラ

池澤夏樹

新潮文庫 2010. 8.
(original 2007)

池澤夏樹氏の8つの短編を収録した短編集。かなりオススメの1冊です!!

東京、バリ、沖縄、南米、ヘルシンキ、パリ、メキシコなど世界各地を舞台にした短編が収録されていて、じんわりと心に染み入る話から、幻想的な物語までバラエティに富んだ内容で人と人との出会いを静かでに力強く描きだす作品で、非常に読み応えのある1冊でした。

以下特に気に入った作品の一言感想。

「都市生活」

散々な1日を過ごした男がレストランでおいしそうにデザートを食べる女性に声をかけるという物語ですが、なんてことない話なのにいつまでも余韻が残る不思議な魅力のある一編でした。

「レギャンの花嫁」

バリ島が舞台ですが、これ、「花を運ぶ妹」の番外編ですね。思いがけず他作品とのリンクが登場して驚いてしまいました。

「連夜」

病院を舞台にした男女ものと思わせつつ、沖縄を題材に取った幻想的な展開をみせ、なんとも壮大な物語へと発展していくところに、読みながらゾクゾクしてしまいました。

「レシタションのはじまり」

マジックリアリズムな空気にあふれた南米を舞台にした物語。とーっても面白かったです!この作品大好きです。

「20マイル四方で唯一のコーヒー豆」

これはもう完全にタイトル勝ち。そして、ちゃんと物語も面白い。

「きみのためのバラ」

この短編は構成が見事で非常に面白かったです。何度も読み返したくなる作品で、総じてレベルの高いこの短編集の表題作となっているのも納得。

同じ行為や言葉がまるで違う意味を持つようになる瞬間を折り重なるエピソードの連続の中に見事に切り取っている巧さだけでなく、そこにテロ前後の世界によって変化した日常が映し出されているのも興味深い作品でした。

そしてなんといってもラストシーンが素敵すぎる。

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