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2011年11月

2011年11月26日 (土)

「The Heights」 Peter Hedges

The Heights: A Novel

The Heights

Peter Hedges

2010

映画「ギルバート・グレイプ」の原作や、「アバウト・ア・ボーイ」の脚本などで知られる著者が12年ぶりに発表し昨年本国アメリカで話題になっていた小説です。

主人公は博士論文を書きながらニューヨークの高校で歴史を教えるTim Welch。彼は2人の子供と妻と4人で郊外の住宅地に暮らしている。あるとき妻が職場復帰することになり、Timは論文を仕上げる目的で専業主婦に。

セレブなママ友や、セレブな妻の元彼、Timにぞっこんなサイコな女生徒などが登場し、一家が迎えることになる危機を描いていく。

この作品、数ページごとに語り手が変わっていくというスタイルをとっているのが特徴的なんですが、終盤でその形式を非常に巧く使ってスピード感を演出していて、非常にスリルあふれる展開を小説というメディアで体験することができるのがとても面白かったです。

結構日常を描いたエピソードが多い作品で、ホームドラマを見ているような感じがあり、ママ友たちとの交流の面倒な感じなど、なかなか興味深い場面も多かったものの、中盤は結構中だるみだったかなぁ。ま、ラストでかなり盛り返して満足度は高かったですけどね。

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「ジーヴズの事件簿」 P・J・ウッドハウス

ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻 (文春文庫)  ジーヴズの事件簿―大胆不敵の巻 (文春文庫)

ジーヴズの事件簿

The Case book of Jeeves

P・J・ウッドハウス
(P. J. Woodhouse)

文春文庫 2011. 5 & 6.

英国のユーモア作家ウッドハウスのジーヴズシリーズが待望の文庫化!

今回文庫化したものは連作短編という感じでまとめられていますが、2冊で続いた物語になっているので、「才知縦横の巻」と「大胆不敵の巻」となっているのはどちらが1冊目なのかが分かりづらくてちょっと不親切なように思います。

作品自体は抜群に面白くて、読みながら電車内などで声を出して笑ってしまうこともしばしば、このところ人から面白い本がないかと聞かれたときには、あちこちでこの作品を薦めています。

物語の舞台は20世紀初頭の英国。のほほんとした主人のバーティとやたらと惚れっぽい友人のビンゴや、恐怖の叔母さまが巻き起こすドタバタをしっかり者の執事ジーブズがひっそりと丸く収めるというのが基本パターン。

とにかくバーティとビンゴがアホすぎて最高に笑わせてくれます。一番お気に入りのエピソードはビンゴが一目ぼれした女性にかっこいいところを見せるため、川で溺れる少年を助ける姿を見せようと計画するお話。1人盛り上がるバーティで散々笑わせたところで、さらにその上をいくビンゴのボケっぷりが被さってきてとにかく面白かったですよ。

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2011年11月25日 (金)

「鼓笛隊の襲来」 三崎亜紀

鼓笛隊の襲来 (集英社文庫)

鼓笛隊の襲来

三崎亜紀

集英社文庫 2011. 2.
(original 2008)

奇想天外なアイデアが巧いのでついつい読んでしまう三崎亜紀の短編集。

やっぱりこの人はアイデアが抜群に面白い。「世にも奇妙な物語」が好きな人は絶対に楽しめます。「世にも~」で三崎亜紀の特別編とかあったら普通に面白いんじゃないかと思います。

でも作品の面白さとしては「バスジャック」に載ってた作品のほうが上かなぁ。(こんな風に感じてしまうところも「世にも~」っぽい。)

表題作を読んで以来、台風が来ると鼓笛隊を思い出さずにはいられなくなってしまいました。

お気に入りは「彼女の痕跡展」と「遠距離・恋愛」。特に前者はかなり好き。

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映画「4月の涙」

4月の涙 [DVD]

kasky

フィンランド

2008

2011年5月公開

劇場鑑賞

夏にフィンランドに行く予定があったのでフィンランド映画は見逃せまいと見に行った作品。(鑑賞は5月です。)

1918年のフィンランド内戦、左派の女性兵士たちが右派の兵士たちに追い詰められ、仲間たちが次々と殺されていく中、リーダーのミーナは捕えられ、准士官のアーロと共に裁判所に行くことになる。

その道中、乗っていた船が転覆し無人島に流された二人はそこで過ごすうちに互いにひかれるようになる。その後、裁判所に到着すると判事のエーミルによりミーナは拘束されてしまう。自らの素性を正直に告白しないミーナにアーロはすべてを話せば無罪になると説得しようとするが・・・。

北欧の寒々しい風景とこの映画の重さが見事にマッチしていてとても見応えのある作品でした。

なんといっても終盤明らかになる事実がこの映画の最大の見どころなのですが、あまりに衝撃的すぎて、まさかそのような方向に物語が進むとは思っていなかったので、観ながら「えーーーー!!!!!」と声を上げそうになってしまいました。

とにかく判事が曲者で、何を考えているのかがよく分からなかったのですが、そう思って見てみると、なるほど、確かに最初からすべての行動に納得がいくというか。

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2011年11月 3日 (木)

6周年

皆様こんにちは。

このブログは11月2日が開設記念日。無事6周年を迎えることができました。実は先日ブログの前にやっていたホームページをひっそりと閉鎖したのですが、ホームページ時代から数えるともう11年もネット上に文章を書いていることになります。

11年前からお付き合いいただいている方も、6年前からの方も、その後常連さんになって下さった方も、本日たまたま立ち寄っただけという方も読者の皆様には大変感謝しております。

昨年の5周年の記事では「更新が1か月遅れになってしまって」などと書いていたのですが、すっかり半年遅れに近くなってしまい自分でもどうしたものかと思いつつ、ゆっくりマイペースに続けてまいりますので、これからもどうぞよろしくお願いします。

そんなわけで以下、毎年恒例の年間人気記事ランキング。

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映画「コクリコ坂から」

 

コクリコ坂から

日本

2011

2011年7月公開

劇場鑑賞

ジブリ好きとしては見逃すことのできない新作。監督の前作「ゲド」がちょいアレな感じだったので不安もあったのですが、蓋を開けてみればなかなか素敵な作品でした。(と言いつつ、辛口感想になってますが・・・)

1963年、主人公松崎海の通う高校ではカルチェラタンと呼ばれる文化部の部室棟が取り壊されることになり、文化部の生徒たちは反対運動を起こしていた。そんな中、海は新聞部の手伝いをすることになり、派手なパフォーマンスで校内の注目を浴びる新聞部の部長風間俊に思いを寄せていくのだが・・・。

事前に耳にしていた主題歌の感じからもっと抒情的な作品を想像していたので、思いがけず明るいノリの場面も多いところにちょっと驚きました。

舞台となっている昭和30年代の初期の空気は色々と工夫されていて、街の様子や人々の会話(わざとらしく時代感を出していたように思ったけど)なんかも細かいところがなかなか面白かったです。

特にカルチェラタンはサブストーリーとして、活気ある学生たちの様子がよく描かれていて面白かったですね。ジブリっぽくないイラストのタッチのキャラクターもちらほらいて新鮮でした。この辺を掘り下げてスピンオフが沢山作れそうな世界観の奥行きが感じられたのが良かったです。同居人達ももっと彼女のたちのエピソードを観たいなと思わせるキャラクターが多かったしね。文化部出身としてはこういう活気ある文化部の風景がとっても心地良い。

ただ、ストーリーもキャラクターも音楽も個々ではとても良いのに、演出の仕方がやっぱりちょっと苦手だったかなぁ。

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「おっぱいとトラクター」 マリーナ・レヴィツカ

おっぱいとトラクター (集英社文庫)

おっぱいとトラクター
(A short history of tractors in Ukrainian)

マリーナ・レヴィツカ
(Marina Lewycka)

集英社文庫 2010.8

(original 2005)

キャッチーすぎるタイトルにひいていたのですが、いざ読んでみると結構骨太で非常に興味深い内容に溢れた作品でした。

大学講師のナージャは84歳の父から突如50歳近く年下のバツイチ子連れの巨乳美女ヴァレンチナと再婚すると告げられる。相手の目的は金に違いないと、犬猿の仲の姉と相談し、なんとか2人の仲を引き裂こうとするのだが・・・。

英国を舞台にしたウクライナ移民の一家のドタバタ劇が繰り広げられる。

まず何と言ってもウクライナというこれまで全く触れたことのない国の人々が描かれるのがとても面白かったです。

個性の強いキャラクター達によるテンポの良いドタバタ劇の中で、一家の歴史に合わせて戦後のウクライナの歴史が語られていく構成もとても巧い。

 

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