「時が滲む朝」 楊逸
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時が滲む朝 楊逸 文春文庫 2011. 2. |
この作品の前の「ワンちゃん」も積読されていたのですが、芥川賞シーズンだったので、芥川賞受賞作であるこちらから読んでみました。
貧しい村の出身で高校でトップを争った浩遠と志強。希望を胸に北京の大学に進学した2人はやがて民主化運動の波に身を投じていき・・・
最近の純文学は私小説的な些細な日常を描くようなものが多いので、こういう激動の歴史を生きる男の半生を描くような物語性の強い作品はかえって新鮮に感じますね。
中国人である作者が自分の国を描いたものを、翻訳を通さずに読むことができるというのは日本ではとても貴重なので、それだけでも面白い作品ではあるんだけど、こういう熱い時代を生きた若者を同時代の小説として受け止めるのは自分にはちょっと難しくて、どうしても一歩ひいたところから読んでしまうので、最後まで「ふ~ん」という感じで終わってしまったかなぁ。言葉の問題もあるのかもしれないけれど、彼らの心の動きみたいなものをもっともっと深く描いてくれたら読み応えのある小説だったんですけどねぇ。
あとこの小説そのものが中国ではどのように受け止められるのかが気になります。作者が日本語で作品を発表しているというのもそういう意味では興味深い点です。
言葉のチェックは入っているのだろうけど、やっぱりところどころちょっと読みづらいなと思うところもあるので、もっと力量をつけて中国の近代史を生きる市井の人々を描くような大作を書いてくれることに期待したいです。
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