« 「夢宮殿」 イスマイル・カダレ | トップページ | 「何もかも憂鬱な夜に」 中村文則 »

2012年8月19日 (日)

舞台「サンセット大通り」

ミュージカル「サンセット大通り」

6月20日

赤坂ACTシアター 

オリジナルの映画版を以前見て、その面白さに完全にノックアウトされてしまった「サンセット大通り」。この作品がアンドリュー・ロイド=ウェバーによってミュージカル化されてトニー賞7部門を獲得したことは知っていたので、ずっと見てみたいと思っていたのですが、ついにその機会が訪れました。

ストーリーは映画版とほとんど同じ。

売れない脚本家ジョー(田代万里生)は借金取りに追われ、とある屋敷へと迷い込む。そこにはサイレント時代の大女優ノーマ(安蘭けい)が執事のマックス(鈴木綜馬)と暮らしていて、ノーマはジョーに自分の主演作品の脚本を書くよう依頼し、屋敷に住まわせるのだが・・・

事前にロンドン版のサントラを聞いてから舞台を見に行ったのですが、この作品、なんといっても曲が良いです。さすがはロイド=ウェバー。もともと、ストーリーの面白い映画だったので、そこに名曲が加われば、つまらない作品になるはずがありません。

お屋敷のセットや衣装は豪華絢爛だし、ステージ上を車が行き交ったりと、ストーリーや、音楽、役者の演技以外にも様々な点で見応えのある舞台でした。

とはいうものの、オープニングの1曲目、Let's have lunchは正直あまり良くなかったです。ちょっと失敗したかなぁと見に来たことを後悔してしまったくらい。この曲はアンサンブル中心だったのだけれど、全体的にもアンサンブルとメインの力量差がちょっと大きいかったかなぁ。頑張ってる感じが伝わってしまったというか。

メインのキャスト、田代くんは年々上手くなってるんだけど、この役に限って言えば、もうちょっと野望を持つ感じ欲しかった。上品すぎて、ちょっと草食すぎるイメージだったんですよねぇ。

安蘭さんは非常に良かったし、熱演なんだけど、この役をするには綺麗すぎるし若すぎるんだよね。ノーマは見た目にも昔のスターでなければならないのだけど、彼女は現役すぎる。鬼気迫っていくノーマがどんなに白髪にしても、安蘭さんだと、やっぱり綺麗なんですよ。オリジナルの映画版のグロリアのイメージが強いからかもしれないけど・・・。

とても良かったのは鈴木綜馬氏。歌も演技もパーフェクトと言って良いと思う。マックスは脇役のはずなのに、彼がメインで歌う場面は完全に彼が主役になっていて、ものすごくひきつけられました。

音楽の話題ついでに、好きな曲をいくつか。

「the lady's paying」
洋服を作るときの歌。明るくノリの良いダイナミックなメロディが印象的な曲です。このテーマ、色々なところで使われてるけど、この場面で歌われる時が1番良い。

・「サンセット大通り」
タイトルナンバーということもあって、とにかくカッコいい。マイナーコードかつ変拍子で突っ走っていくところとか最高です。難しい曲ですがこれを歌いこなせるようになりたいなぁ。田代氏、声が軽くて甘いんだけど、ここはもうちょい渋みがあっても良かったかなぁ。

・「The greatest star」

上述の鈴木綜馬氏がとにかく素晴らしかった1曲。聞き入ってしまいました。

・「With one look」

ノーマの曲も良いものが多いですが、最初から良いソロ曲が用意されてます。たっぷりと歌うと気持ち良さそう。続くサロメのおどろおどろしさとの対比が良いです。

・「Girl meets boy」
甘ーーいメロディのデュエット曲。2回目に歌われる時は甘さがググッと増量していて聴いているこちら側も一緒にとろけてしまいそう。

----

<以下、ちょいネタバレなストーリー感想>

この作品、どう考えてもミュージカル向きではない物語なので、なぜこれをミュージカル化しようと思ったのかなぁと考えながら見ていたのですが、終盤まできて、なるほど納得しました。これ、「オペラ座の怪人」とほとんど同じ話なのですね。

ノーマがファントムで、愛した人に若い恋人ができて嫉妬するところも同じならば、最後に、どちらかを選べと迫るところも全く同じ。ロイド=ウェバーは男女逆転のオペラ座をやりたかったんだろうなぁ。しかし、最後の最後の落とし方がオペラ座とはまるで違っていて、こちらのほうがドロドロが半端ないところが男と女の違いということなのでしょうか。

<ここまで>

上演される機会が少ない作品のようですが、作品としてはオペラ座にもひけをとらない名作ミュージカルで、観ることができて大満足です。

|

« 「夢宮殿」 イスマイル・カダレ | トップページ | 「何もかも憂鬱な夜に」 中村文則 »

ミュージカル」カテゴリの記事

舞台」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/145222/55455059

この記事へのトラックバック一覧です: 舞台「サンセット大通り」:

« 「夢宮殿」 イスマイル・カダレ | トップページ | 「何もかも憂鬱な夜に」 中村文則 »