「勝手にふるえてろ」綿谷りさ
勝手にふるえてろ 綿谷りさ .新潮文庫 12年8月 |
久々の綿谷作品。インストールや蹴りたいは嫌いではなかったので、あれから年月が経ってどのような作品を書いたのか結構楽しみに読んでみました。
これまで男性経験のない26歳のオタク女子が、中学の時から片思いしているイチと自分に好意を持って接してくる職場の二との脳内二股に悩み成長していく姿を描く。
作品全体に流れる自然な雰囲気がなかなか心地よい1冊ですが、全体に軽すぎるくらいに軽かったかなぁ。1つ1つのエピソードも面白いし、結構印象に残る場面も多いし、割とストーリー性もあるんだけど、もうちょい重みがあったほうが作品がしまったように思います。
このタイプの人は自分の周りに少なくないし、自分も奥手なほうなので、多少デフォルメが強い感じはしましたが、このヒロインの気持ちは分からなくないです。ま、SNSでの行動力にはちょい驚いたし、自分が標的(表現が悪いですが・・・)にされたら結構ひいちゃうと思うけど。
一人称の視点がよく生かされた作品で、彼女の主観でものごとが描かれて、周囲の人の印象もかなりのフィルタが入っていたり、人間関係に対して繊細な様子が感じられたり、イタイ感じが伝わってきたりというのがとても巧く書かれていて、結構面白く読むことができました。
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