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2013年3月10日 (日)

映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」

 

Life of Pi

アメリカ

2012

2013年1月公開

劇場鑑賞

世界中で大ベストセラーになった原作を映像化した話題作。原作を読んだときにそのような印象が全くなかったのに、映像美が話題になっていることが気になったので、3D鑑賞しようと劇場へ行ってきました。

主人公"パイ"・パテル(スラージ・シャルマ)はインドで動物園を経営する父のもとに生まれ、彼が16歳の時に一家はカナダへ移住することになる。動物たちを連れて日本の貨物船に乗っていたところ、太平洋上で嵐に遭遇し、そのとき偶然デッキに出ていたパイは1人救命ボートに投げ出され、シマウマ、オランウータン、ハイエナ、トラと共に太平洋上を漂流することになってしまう。

物語はかなり原作に忠実。序盤の漂流し始めるまでが割合長くてちょいと退屈なとこもそのままです。主人公の宗教観など作品全体につながる少年時代の重要なエピソードが提示されるとはいえ、トラと漂流する話だと思って見にくると、なかなか本題が始まらないから意表をつかされます。ちなみに原作も漂流する前にリタイアしそうでした。

そんなわけで原作にかなり忠実な映画だったのですが、それにもかかわらず非常に魅力あふれる映像の連続だったかとにはかなり驚かされました。鑑賞前に、この作品は映像が美しいというのを耳にしてはいたけれど、原作には全くそのイメージがなかったので、これには本当にやられました。アカデミー賞で監督賞を受賞したのも納得です。

この原作、10年くらい前はどこの洋書売り場でも平積みになっていたし、実際に全世界で700万部(アマゾンさんのkindle版のページ参照)以上売れた作品で、「みんなが知っているあの物語がついに映画化」という側面も大きかったと思います。しかも、この作品はラストのどんでん返しが非常に印象的な作品なだけに、そこをネタバレした状態で観る人も少なくないことを考えると、映像化のハードルは高かったはずですが、アン・リー監督はそこを見事にクリアしたのではないでしょうか。

漂流後の映像はいわずもがなですが、冒頭の動物園のシーンも3Dが生かされてて良かったです。動物モノのドキュメンタリー映画みたいでした。漂流してからは幻想的な映像が次々と現れるのだけれど、これは、ネタバレした状態で観ていた自分には、「なるほど、そうきましたか」という感じで、非常に面白かったです。

さて、原作を読んでてネタバレ状態で観ていたことで、一番面白かったのはやっぱり漂流直後の場面。あんなこと、こんなこと、作品に仕掛けられた様々なことに釘づけでした。

そんなわけで以下ネタバレっぽい感想を少しばかり。

(以下反転させてます。スマホなどで読まれている場合は、反転部分をコピーしてメモアプリなどに貼り付ければ読むことができます。)

さて、この作品のラストのオチの部分、原作を読んだときに、イアン・マキューアンの「贖罪」(映画版は「つぐない」)を思い出したのですが、作品全体の構成も、よく似ています。

子供時代のエピソード→

「物語」→

後年になって「物語」の真実性に関する衝撃の事実が明らかになる

真実をつぐなうための物語というテーマも共通しているのだけれど、自分は「贖罪」のほうが物語の重厚さがあって、好きなのですよね。「ライフ・オブ・パイ」の原作はブッカー賞を受賞しているのだけれど、その前年、「贖罪」は同賞の候補になりながら、受賞を逃しているというのが自分としては納得がいかなかったり。

なんてことを映画を観ながら思い出してしまったのでした。

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スピリチュアル(神秘的)な考え方が根底にある。しかし、そんなに深読みしなくてもいいと思う。相棒ではあるが決して友達にはなれない、獰猛なトラと心優しい少年の不思議な冒険物語。空と海だけの美しさに慣れていた目を、島の動植物の色鮮やかさが刺激する。CGを駆使し…... [続きを読む]

受信: 2013年3月30日 (土) 03時25分

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