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2013年3月24日 (日)

「エムズワース卿の受難録」ウッドハウス

エムズワース卿の受難録 (文春文庫)

エムズワース卿の受難録
(The Misgivings of Lord Emsworth )

P・G・ウッドハウス
(P. G. Woodhouse)

文春文庫

文春文庫はウッドハウス作品を順調に文庫化してくれてるのが嬉しいですね。ウッドハウス選集はまだ2冊あるから今後も続々文庫化されることを期待。さらには文庫オリジナルで続刊も期待。

さて、こちらはエムズワース卿を主人公とするシリーズの短編を集めた1冊。

ブランディングス城を舞台にカボチャや豚の綿菓子のようは脳を持った貴族のエムズワース伯爵を中心に軽薄な息子フレデリック、執事のビーチ、妹のレディ・コンスタンスといった人々を巻き込んで繰り広げる大騒動を描く連作短編集です。

ウッドハウスのジーヴスシリーズではしっかりもののジーヴズが全体を引き締めていたのに対して、このシリーズはボケ役が多すぎだし、お互いが自分の言いたいことだけを言ってひたすらかみ合わない会話を続けたりで一向に物語が先に進まない場面もチラホラあって、面白いには面白のだけれど、真剣に読んでしまうと結構疲れます。そしてそのせいで、ジーヴズものよりも物語のドタバタ具合もかなり強烈。自分はジーヴズのほうが好きかなぁ。

個性的なキャラが多く登場する作品ですが、一番のお気に入りはフレデリック君。ダメダメでどうしようもない青年だと思われたのに、アメリカの社長令嬢と結婚し、ドッグビスケット販売にいそしむ姿は父親よりもずっとしっかりしているのではないかと。ま、血は争えない感じのところも多いのだけれど。

収録されている中で特に良かったエピソードを1つだけ選ぶとしたら次のお話です。

「豚、よォほほほほーい!」

もうタイトルからしてバカバカしいですよね。英語だとPig-hoo-o-o-o-ey!だそうです。

品評会を前に「ブランディグズの女帝」として知られる豚が餌を口にしなくなったからさぁ大変、というお話なのですが、そこに姪の結婚話がからんできて、最後はタイトルになっているおバカな掛け声をみんなで連呼して、いつの間にやら大団円というなかなかステキな一編。

このエピソード、冒頭部分でレディ・コンスタンスが娘が婚約破棄して別の男と結婚すると宣言したことを相談しているのに、エムズワース卿はひたすら豚の話しかないという全くかみあってない会話がかなりツボ。そしてこの掛け声がこれでもかっていうくらいに連呼されるバカさ加減もかなりツボ。

それでいて、複数のプロットを見事に一つの話としてつなげている物語構成の巧さもかなりのものです。

 

ところで、この本を読んでいて、初出がストランド誌だとあったのでちょっと調べてみたら、20世紀初頭のストランド誌って同じ号にホームズとジーヴズが掲載されてたりしてあまりに豪華すぎる内容だったことが分かり非常に驚きました。

  

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