« 映画「王になった男」 | トップページ | 映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」 »

2013年3月 6日 (水)

「乙女の密告」 赤染晶子

乙女の密告 (新潮文庫)

乙女の密告

赤染晶子

.新潮文庫 12年12月
(original 2010)

2010年の芥川賞受賞作が文庫化したので読んでみました。

舞台は京都の外国語大学。主人公のみか子はドバックマン教授のもとでイツ語のスピーチコンテストに向けて「アンネの日記」の暗唱に取り組んでいた。乙女と呼ばれる女学生たちの間で囁かれる教授に関する黒い噂、そして、乙女たちの世界とアンネの世界が交錯していって・・・。

「アンネの日記」と特殊な環境に置かれた女学生たちとを重ねて描こうとする意欲は非常に面白いと思うのだけれど、それが成功していたかというと、ちょっと物足りなかったように思います。

アンネは1人の少女の日記である以上に政治的な色合いも強く持っているし、人類の歴史においてかなり重い意味を持つ作品だと思うのだけれど、その一方で、そこに重ねられていく現代の少女たちの抱える闇は、比べ物にならないくらいに軽いと思うのですよね。根拠のない噂話に脅かされる心情を密告されるアンネとオーバーラップされてもなぁと。

あと、現代の日本の大学が舞台になっているのだけれど、全体の雰囲気は女子高生たちを描いているようで、その辺にも少し違和感がありました。思春期の女子たちのあやうさみたいなものを描くには大学ってのはちょっと年齢が高すぎるように感じるのですよね。読んでいるときに一番しっくりときたイメージは英国の全寮制女子高で、登場人物たちも勝手に英国の役者さんたちで映像化されてしまったのだよね。作者の出身大学がモデルになっているようですが、その大学はああいう雰囲気の学校なんですかねぇ。

てか、バックマン教授が色々な意味でちょっと怖くて、その強烈すぎるキャラクターの印象が一番強く残ってしまったのでした。

|

« 映画「王になった男」 | トップページ | 映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/145222/56900677

この記事へのトラックバック一覧です: 「乙女の密告」 赤染晶子:

« 映画「王になった男」 | トップページ | 映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」 »