「足音がやってくる」マーガレット・マーヒー
the haunting マーガレット・マーヒー 岩波少年文庫 2013.2. |
1983年にカーネギー賞を受賞した作品です。
主人公は父が再婚し、もうすぐ子供の生まれる継母と2人の姉と5人で暮らす8歳の少年バーニー。あるときバーニーの前に幽霊のような少年が現れ、「バーナビーが死んだ!ぼくはとってもさびしくなるよ」と告げる。動揺したバーニーが帰宅すると、バーニーがその名前もらった叔父のバーナビーが亡くなったと聞かされ、バーニーは意識を失ってしまう。そして、その日からバーニーには近づいてくる足音が聞こえるようになり・・・。
何かにとりつかれてしまったバーニーであったが、やがてバーニーの実母の家系に隠された秘密が明らかになり、一家の運命が大きく動き始める。
児童文学なんですが、子供のころに読んでたら確実にトラウマになったと思われるくらいに、怖い場面の怖さが半端じゃなかったです。
序盤の怖さからホラーなのかと思って読んでいると、だんだんと実母の家族に隠された秘密を暴いていくミステリー的な展開になって、物語は思いがけない方向へと進みます。
特殊な力を持った人間の孤独を、その力を持っている者や家族の生き方を通して、様々な形で描いた作品で、人と違うということに対して、我々がその運命をどのようにして受け止めるのかという問題に力強く向き合った終盤はかなり読みごたえがありました。
バーニーは主人公ではあるけれど、感受性が強い内向的な少年なため、目立った活躍をするわけでもなく、やや影が薄め。そんなわけで、物語を動かすのは作家志望で常に喋っているバーニーの姉なのだけれど、彼女のキャラクターがあまり魅力的でなかったのと、もうちょっとバーニー視点で物語を動かしてほしかったかなぁというのがあって、面白い物語ではあったのだけれど、その語り方にやや物足りなさを感じてしまいました。
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コメント
怖すぎます
なぜか自分のことのようになってきました。
投稿: | 2015年3月13日 (金) 17時04分